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谷根千散歩で立ち寄りたい。谷中キッテ通り沿いのベイクショップ「サクセション」|by PARIS mag

  • 2018.3.27
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毎日の暮らしのなかで少しだけ心が弾むような豊かさをお届けするWEBマガジンPARIS mag(パリマグ)から、今回は谷中にあるベイクショップ「Succession(サクセション)」をご紹介します。

レトロな街並みが散策にぴったりの谷根千エリア。その中でも最近注目されている「谷中キッテ通り」に新しいベイクショップ「Succession(サクセション)」が2017年6月にオープンしました。焼き菓子を中心に、パンやサンドウィッチもいただけるということで、さっそくお店にお邪魔してきました。

谷根千エリアのニューストリート「谷中キッテ通り」に店を構えたワケ

江戸時代から続く千代紙の老舗「いせ辰」の角を曲がって根津方面に続く小道を「谷中キッテ通り」といいます。くねくねと曲がる「へび道」とほぼ平行になっている道ですが、最近かわいいお店が集まっていると話題の通りでもあります。「サクセション」を目指し千駄木駅から歩いていると、オーダー家具の木工所が運営する工作教室や、古今東西のアンティークショップなど気になるお店が並んでいました。

幼稚園児がお散歩しているのどかな雰囲気の谷中キッテ通り沿いにお店が見えてきました。店内に入るとちょうど焼きたてのお菓子たちが続々と店頭に並び始めるところ。さっそく店主の岩本進さんにお話をうかがいます。この地にお店を出す前は茨城県笠間市でパン屋さんにパン作りの指導をしていたという岩本さん。なぜ谷根千エリアにお店をオープンさせたのでしょうか?

「茨城県つくば市で5年ほど自分のお店を経営し、その後笠間市でシェフとして、そしてパン作りの講師として仕事をしていました。当時茨城から常磐線で上京すると、よくこのエリアに来ていたんです。その頃から『この辺りにお店を開きたいな』と思うようになりました。谷中キッテ通りは最近通りの名前が決まったくらい、新しい通り。たくさんのお客さんに来ていただけたらと、毎月各お店の店主が集まってこの通りを盛り上げる話し合いを重ねています。谷中キッテ通りの黎明期に携われていることは本当に楽しいですし、地域のみなさんと一丸でがんばっています」。

実はパティシエとしての経験もあるという岩本さん、パンとスイーツのハイブリット職人さんだったんですね!

最もこだわる“食感”はどのように生まれる!?

約40種類ほどある「サクセション」の焼き菓子から、岩本さんがおすすめするのは「ガトーショコラ」。その理由を教えてもらいました。

僕がついつまみ食いしてしまうのがガトーショコラです(笑)。あんこみたいにどっしりとはさせず、あえて軽い口当たりにしています。でも食べた後はしっかりと満足感があります。スペインの『チョコヴィック』というメーカーのチョコレートを使っているので、カカオ本来の深い味わいを感じることができるんです」。

羊羹のような食感や、トロリとチョコレートが流れ出すガトーショコラもありますが、こちらのガトーショコラは口に含むとホロリとほどけるくらい軽い口当たり。でも、しっかりとチョコレートの香り、甘さ、苦味を感じることができるので、コーヒーとのマリアージュも楽しめます。ちなみに温めても、冷やしてもおいしいガトーショコラですが、岩本さんのおすすめは常温だそうです!

一方、おすすめはどんなパンなのでしょうか?

「『ロデヴ』というフランスの地方都市の名前がついたパンです。小麦粉と同量の水を混ぜて、何度も発酵させています。3日ほど熟成させるので手間がかかりますが、パン作りの基本が学べるような“育てる”パンのひとつです」と岩本さん。

小麦粉、水、塩、発酵種だけで作られる「ロデヴ」は、外側は香ばしく、中はもっちりとしていてとても素朴な味わい。料理のお供だけでなく、サンドウィッチにしてもおいしそうなパンでした。

岩本さんが焼き菓子やパンをつくるうえで最もこだわっているのが食感。そこには「焼く」という作業に実直に向き合う岩本さんの思いがありました。

「食感って、ふわふわ、さくさく、ほろほろ、もっちりと実は多彩なんですね。お菓子、パンの理想の食感になるように試行錯誤を繰り返しています。パンは水をたっぷりと使い、長時間熟成&発酵させ、もっちりとした食感にしているんです。また、小麦粉も作るお菓子やパンの種類によって小麦の品種や挽き方の異なる粉をブレンドしています。その商品をどんな仕上がりにしたいかを想像して、それに合った材料を見極めているんです」。

店内ではイートインもでき、ランチタイムには、季節の野菜を使ったクロックムッシュやカチャトーラ、バターチキンカレーなど、ベイクショップのイートインとは思えないほどしっかりとしたお食事がいただけます。ドリンクにはコーヒーや紅茶のほか、自家製のジンジャーエールやレモンソーダもありました。自家製であることに驚いていると「煮込み料理も、シロップを作るのもそんなに難しくないんですよ」と岩本さん。焼き菓子、パンだけでなく、料理もドリンクも作ってしまうなんて、まるで魔術師のようです。最後に店名である「サクセション」に込めた思いについてうかがいました。

「『サクセション』は継承するという意味。この場所から今まで僕が学んできたお菓子やパン、そしてそれらを作る技術や考え方を伝えていけたらうれしいですね」。

地元の方から、谷根千エリアを散策中の方まで、広く愛されている岩本さんの焼き菓子とパン。谷中の新名所谷中キッテ通りの発展とともに、岩本さんの思いがつながっていく予感がしました。

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