「わろてんか」脚本・吉田智子にインタビュー!クライマックスを戦時中にした“深い意図”とは

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出典:https://news.walkerplus.com/article/141683/

いよいよ最終週へ突入した連続テレビ小説「わろてんか」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。

3月26日の放送では、覚悟を決めて北村笑店を解散させたヒロイン・てん(葵わかな)が、つばき(水上京香)やトキ(徳永えり)らを連れて滋賀に疎開。新しい生活を始めたところへ、風太(濱田岳)たちの残る大阪が空襲で焼け野原になったとの知らせが入り──という、厳しい展開が描かれた。

SNS上では、「しんどい展開だ…」や「ずっと泣かされている」といった声に加え、「とうとう最終週なのに。先が、終わりが読めない」など驚きのコメントも相次いでいる。

本作の脚本を務めた吉田智子にインタビューを行い、制作の裏話から本編では描かれなかった幻のエピソードまで、ここでしか聞けない話を聞いた。

■ “朝ドラ”執筆は山登り!

──よく“朝ドラ”脚本の執筆はマラソンやトライアスロンに例えられますが、完走されていかがでしたか?

私にとっては、山登りでした。頂上が見えてからがきつかったですね。登山靴の裏に雪の固まりがついてだんだん足取りが重くなるような、そんな感覚で登っていきました。

でも、登山は登頂した時が最高に気持ちいいですから。泣けましたし、清々しかったです。何より、葵わかなちゃんを座長とした出演者の皆さんが本当の家族のようになっていて、プロデューサーや監督陣、スタッフを含め、「みんなで登りきったんだ」と思えたのが大きかったですね。

──やはり“朝ドラ”ならではのことですか?

そうですね。151話を通して、キャラクターおよび役者さんたちが成長し、一つになっていく。そこが醍醐味だなと感じました。

役者さんたちもよくインタビューで答えていますが、これだけ長い時間を、同じ共演者、スタッフさんたちと一緒に過ごすことって、無いと思いますし、貴重な経験ですよね。

──葵わかなさんのクランクアップにも、駆け付けられていましたが、どんな様子でしたか?

わかなちゃんは、座長らしく、凛としていました。大役を務め上げたその姿に、私も胸が熱くなって…。濱田岳さんや徳永えりさん、松尾諭さんら、共演者のみなさんも感無量といった様子で、泣いていました。

撮影終盤は誰かがクランクアップするたびに、わかなちゃんは涙し、濱田さんや松尾さんらは号泣していたそうです(笑)。

■ 光る演技が、脚本に影響も

──「わろてんか」に携わっていた期間は、どのくらいですか?

執筆のオファーを頂いたのは、2年ほど前になりますが、企画がかたまったのは、(放送開始の)1年ちょっと前。それからリサーチをし、26週分のストーリーを練っていって、脚本を書く作業に入り…長い間携わってきました(笑)。

──放送が始まってからも書き続けるという点では、キャストの皆さんの演じ方が脚本に影響を与えることもあったのでしょうか?

ありましたね。特に、濱田岳さんや広瀬アリスさん、徳永えりさん、岡本玲さん、堀田真由さん…。他にもいらっしゃいますが、そのお芝居が素晴らしくて。

私が映像を見る前に、撮影現場からそういった声が届いていましたし、役にのめり込んでいるのが、画面を通して伝わってきました。

「この人たちをもっと描きたい!」と思って、台本にも反映させていきました。

──確かに、てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)の物語でありながら、風太(濱田岳)とトキ(徳永えり)の夫婦も人気でしたし、ずっと見ていたくなるキャラクターが多かった印象です。

ヒロインだけではなく、「全員が主役」のドラマになっていきました。

でもそれは、てんが太陽のような笑顔でみんなを照らし、その光でみんなが輝いていたからだと思います。

■ キャラクター設計は、てんと3人の男たちから

──太陽のようなてん、頼りないけれど魅力的な藤吉、絶対的王子様の伊能(高橋一生)…というように、登場人物がそれぞれ粒立っていました。キャラクター設計や配置について、意識されたことはありましたか?

キャラクター設計は、まずはてんを中心に、藤吉、伊能、風太という、全く違ったタイプの男性3人を配置するところから始めました。

彼らは違う立場、眼差しで、てんを生涯に渡って支えていく、重要なキャラクターです。最初はてんを奪い合うような、恋愛的なライバル配置に見える3人ですが、てんを通して、互いに男として引かれあい、絆を結んでいく構造になっています。

また、3人にはそれぞれモデルとなる人物がいるのですが、そもそも個性豊かなキャラクターなので、そこから逆算してヒロインは、彼らを受け入れる懐の深いキャラクターにしました。

伊能は、王子様として描くつもりはなかったのですが、最初の登場の印象で視聴者の皆さんが盛り上がって下さって(笑)。彼は紳士然としていますが、実は人を信じられず、鎧をまとっていた人間です。その鎧を、てんや藤吉が外していく。そういう設計でした。

──ストーリーの面では、“藤吉の死”が一番大きな転換点だと思います。そこで加速度がついて、また新しい物語が始まったという印象を受けたのですが、どんな意図があったのでしょうか?

藤吉が亡くなったことで、てんは女興行主としてひとり立ちしなければならなくなります。そのてんを支えようと、風太や伊能、北村笑店のみんなが結束していく。

役としてもそうですが、まだ19歳のわかなちゃんご本人も、「私が座長だ」という覚悟をしたんじゃないでしょうか。そういう気概を感じました。

■ てんの涙は「本物」です

──いま物語序盤の映像を見ると、たった半年間とは思えないほどの葵さんの変化に驚かされますよね。

本当にそうなんです! 演技にも奥行きが出てきましたし、隼也(成田凌)の母親としても違和感がない。戦時中パートでは50代のてんを演じているのですが、とてもいい表情をしていると思いました。第25週でてんが泣くシーンは特に、「本物だ」と思いました。

──クランクアップ時には、葵さんにどんな言葉を掛けられたのですか?

「本当にお疲れ様!」と。体調をかなりケアしながら臨まれたそうで、「大変だったね…」という話をしました。てんとして、やりきれたこと、やれなかったこと、その沢山の苦労や悩みを思うと、彼女への感謝で胸が一杯になり、泣けてきました。

■ 本作を貫く「笑い」とは

──最終週の見逃せないポイントを教えてください。

北村笑店の家族が、戦争でバラバラになります。大阪の街も戦火で灰じんに帰し、人々は俯き、途方に暮れます。その中でてん達が、「笑い」を支えに明日に向かってどう立ち上がっていくのか…それが見どころです。

第1週からふってきたものが回収されていき、最後にちょっとした仕掛けが用意されています。今までの“朝ドラ”にはない、異色の最終回です。

──制作発表会見の時に「笑いを大阪に広めた“魂”を描けたら」と仰っていましたが、その「魂」とは何だったと思いますか?

私自身が、昔から疑問に思い、何度か使ってきたセリフに、「生き物の中で、人間だけが笑う。それはなぜなのか…」というものがあります。人間は、恋愛から人間関係まで、苦しみが多く、時に争い、果ては戦争まで起こす愚かな生き物です。それを乗り越えるために生まれたのが「笑い」ではないでしょうか。

つらいことがあった時の「笑いの力」は大きいと思うんです。「面白ければいい」という「笑い」ではなくて、前に進むための「笑い」、それが笑いの真髄だと思います。

──第1週で「つらい時こそ笑うんや」というせりふが印象的に登場し、最終週で戦後の復興が描かれます。そこにも今うかがったテーマが表れているのですね。

そうです。この構成は、初めから決まっていました。枝葉の部分は変わりましたが、この幹は変わっていません。

──てんと藤吉の「ロミオとジュリエット」展開から始まり、最後はずっしり。「胸キュン」の朝ドラから、だいぶ印象が変わっていきました。

私は着地点が見えていたので、あまり印象が変わったというイメージはありません。

ただ、第1週の冒頭で、テーマを提示した方がいいのか、迷いはしました。そういうプロットも書いてみたりしました。

分かりやすいのは、まず戦争が出てきて、瓦礫の中でたくましく笑う人々を描いて、「笑うということ」ということの意味を問いかけてしまう手法です。もしくは、「これから笑いの変遷を描きますよ」という、芸人さんたちのモンタージュを入れるとか。

そういったこともプロデューサーや監督と話し合ったのですが、役者さんも視聴者も、どこに向かうか分からないのが“朝ドラ”の面白さだと思いまして(笑)。

■ 幻の「プロジェクトX」?

──スピンオフの他に、もし「わろてんか」がもう1週あったら、どんなエピソードを描きたかったですか?

てんちゃんを中心とした、「女チーム」の話ですね。先ほども話題に出た、てんちゃんが女興業主になるあたりのエピソードは、実は脚本上ではもっと長かったんです。

「プロジェクトX」というのがありまして。「X」と書いて、「テン」と読みます(笑)。てんがリリコ(広瀬アリス)や歌子さん(枝元萌)たちと一緒に、北村笑店を盛り上げていくんだと決意する部分を描いていたんですが、尺(放送時間)の問題で編集でカットされて(笑)。あの時代に頑張った女性たちの物語を、もう少し描きたかったですね。

あとは、伊能さんとてん、風太とトキの、その老後を描いてみたい(笑)。

──最後に、“朝ドラ”という大きな枠を経験された吉田さんの、今後の展望を教えてください。

“朝ドラ”で知ったのは、キャラと役者さんが成長していくということです。

それを目の当たりにできたことは、私にとってかけがえのない経験でした。いつの日か、“戦後の北村笑店の歩み”を描けたらと思いますが…(笑)。

まずは、わかなちゃんが女優として大空に羽ばたいていく姿を見守りたいです。(ザテレビジョン)

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