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窓の外からジーっと熱視線♡家猫と野良猫、運命の恋の結末とは?

  • 2018.3.18
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猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。木工作家のサノアイさんもその一人。今回はサノさんちの家猫・ペコに一目惚れした野良猫のジトミが、運命の恋を成就させるまでのお話です。

ジーッと見ているジトミちゃん

キジ猫のペコ(オス・15歳)と、元野良猫のジトミ(メス・推定8歳)の飼い主は、木のものをはじめ動物や植物にまつわるものを扱う「ショップ&ギャラリー もりのこと」のオーナー兼木工作家のサノアイさん。

ペコとジトミを語る上では、先住猫のペコを差し置いて、ジトミの紹介から始めた方がいいかもしれません。窓の外から「ジーッと見ている」ことから、サノさんにジトミと名付けられた野良猫が、家猫になるまでのお話…というよりラブストーリーです。

「6年前のある朝、カーテンを開けると、窓に貼りつくようにして家の中を見つめていたのが、当時まだ野良猫だったジトミです。ジトミの熱い視線は一心にペコに注がれていて、朝・昼・晩、2日と空けずにやってきては、窓越しにジーッというより、どちらかというとジトーッとペコを見続けていました(笑)
ペコのことがそんなに好きなら…と、私が窓を開けようとしても逃げてしまうし、窓を開けたままにして気配を消しても、決して家の中には入って来ようとはしないジトミ。野良のままでいたいのか…と、無理やり家に入れることもしないまま時が過ぎていきました」

ジトミの大けがとまさかの…!?

ジトミのプラトニックな通い愛がスタートして4ヵ月ほど経過したある日、カーテンを開けると窓の外には、首のあたりから血を流したジトミの姿がありました。

「大けがでした。ジトミの望む・望まないに構っている場合ではないと、すぐに保護して動物病院へ向かいました。すると、お医者さんから『ケガは大丈夫だけど、この子、妊娠してるね』と告げられてびっくり!でも、おかげで覚悟が固まりました。ケガの療養のため、また、安心して出産してもらうために、ジトミをうちの子にする覚悟が固まったんです」

外に出してと鳴きわめくジトミの声に耐えながら、押入れ奥に専用スペースを作り、少しでも気が休まるようにとカーテンをつけ、その押入れに無理なく上がれるように階段までこしらえても、近づけばシャーと威嚇される日々。

それでもサノさんは「尽しているのにまったく気にとめない屈託のなさが、最高ですよね、猫って」と目じりを下げて語ります。

「ジトミは押入れの奥で4匹の子猫を出産。出産から1ヵ月ほどして子育てが落ち着くと、自ら押入れの外へ出てくるようになり、私たち人間には相変わらず触らせてもくれませんでしたが、最愛のペコには24時間べったり。子猫たちも無事に里親さんの元へと巣立っていきました」

ペコとジトミのなんでもない日常

窓越しにスタートした運命の恋は、このような経緯を経て、ようやく窓の内側で成就することとなり、ジトミがサノさんちの猫になってから6年が経ちました。最近やっと触らせてくれるようになったというジトミの頭の中は、相変わらずペコ一色と言います。

「一方のペコは、いつ何時も気になるのは自分のごはんのことだけで(笑)。来るもの拒まずの大らかさで、いつも体のどこかがペコに触れていないと気が済まないジトミのいいようにされています。相性もいいのでしょうね」

ペコとジトミがカリカリを食べる器はサノさんが作りました。食欲旺盛で早食いのペコには、少しでもゆっくり食べてもらえるようにと、カリカリが滑る深めのお皿。ジトミには鼻ペチャでも食べやすい平らなお皿。二匹並んでごはんを食べる「なんでもない日常」は、サノさんのとっさの決断と行動、そして覚悟によってもたらされたものです。

「ジトミの場合は、大けがをして目の前にいたから、考えるよりも先に手が出たし、ケガや出産などほっておけない事情があったから、家に迎え入れる覚悟を決めることができたけど、こういうアクシデントがなければなかなか決断できることじゃなくて…」

頭よりも先に体が動いてしまう瞬間。その先に、心穏やかな「なんでもない日常」があるとは限りません。でも、とっさに出た手を引っ込めない覚悟だけはしていようと、サノさんのお話を聞きながら思います。

さて、次回は、今回のお話の続きともいえる猫にまつわる「日々是葛藤」です。お楽しみに。
writer / 宇佐見明日香 筒井聖子

取材協力

ショップ&ギャラリー もりのこと
http://www.sano3.net/3/mori/

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