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今の20代が優先しないのは「運動・勉強・恋愛」ある種の快感を知らない若者たち

  • 2018.3.3
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婚活支援サービスを提供するパートナーエージェントが、20~29歳/40~49歳の男女1,960人に対して「20代(当時)の仕事・恋愛・結婚」に関するアンケート調査を実施した結果が公開されました。
複数の調査結果の中でとりわけユニークだったのは、今の20代が優先しているもの・優先していないものに関する調査結果。

■今の20代が優先しているもの・していないもの

<優先しているもの上位3つは「趣味(遊び)」(45.9%)、「仕事」(39.1%)、「睡眠」(33.2%)となりました。>
<優先していないものとしては「運動」(30.0%)、「勉強(資格取得など)」(27.7%)、「恋愛(恋人)」(25.0%)がトップ3となりました。>
理由がなかなかユニークで(ちょっと切なくて)、たとえば優先しないものとして「恋愛・家族・食事」を挙げた29歳の女性はその理由を<恋人はいないし、家族と特に仲がいいわけでもないし、食事は小食だから>と述べています。
元気か? と、思わず彼女の人生をまるっと心配しちゃいました。
「仕事・勉強・恋愛」を優先しないと答えた別の29歳の女性は、<幸福な人生に特別必要ないと思っているから>。「恋愛・運動・食事」と答えた24歳の女性は<積極的に行ってもいいことがない気がするから>。
ごくシンプルな答えとして、運動を優先的にやらないと答えた28歳の男性は、<(運動が)あまり好きでないので>とのこと。うん、これはなんか理解できる気がする。

■運動、勉強、恋愛に共通すること

さて、真剣に生きることとか、(ちょっと誤解を招くかもしれませんが、ざっくり言い切ってしまうなら)情熱的に生きることに命を燃やしているのは、たとえば世界的な建築家・安藤忠雄氏。
氏は著書の中で「影の中から遠くにある光を見据えて、ひたすら歩き続けること、それこそが生きるということである」というニュアンスのことを述べています(『建築家 安藤忠雄』安藤忠雄著(新潮社)2008)。
ゆとり世代とかさとり世代と呼ばれている今の20代と真逆の生き方に見える、非常にわかりやすい代表的な言葉のように感じられますが、
これも今回の調査で「ゆとりとか、さとりみたいなイメージで語られるのはいい気分がしない」と回答した20代は4割にのぼるそうです。

運動、勉強、恋愛に共通するのは、やれば自分が変化するということ。人生の足元が激震して、生きている心地がしないほど誰かのことを好きになるのが、恋愛の神髄とは言わないけど、まあほぼ最高の恋愛経験でしょう。
勉強だって本気でやれば人生が変わりますよね。資格試験を受ける前と後で、人生ががらりと変わった人だっているでしょう。
ふつうに本を読んでいても「人生は変わる」と、作家の石田衣良氏は言います(『作家の本棚』ヒヨコ舎編(2012)。運動もおなじでしょう。

■40代にして思うこと

恋愛して(勉強して・運動して)自分が変化するというのは、いわば精神の死と再生のこと。
なので安藤忠雄氏とか、その世代前後の著名な人たちは、死ぬほどなにかを真剣にやれば新しい自分に生まれ変わることができるし、
新しい自分を他人に見せることはなにも恥ずかしいことではない(むしろ快感である)という考えを、(口にしないまでも)お持ちなのではないか。
対して今の20代は、新しい自分に生まれ変わる快感のようなものをほとんど味わったことがないのではないか。昨日とちがう自分を他人に見せることを恥ずかしいと思っているのではないか。
でも心のどこかで生まれ変わりたいと思っているから「ゆとり世代とかと呼ばれることにいい気がし」ていないのではないか。

<恋人はいないし、家族と特に仲がいいわけでもないし、食事は小食だから>という状況説明の中に、じつは恋人ほしい、家族と仲良くしたい、食の楽しさを知ってみたいという切実な思いが隠されているのではないか。
<幸福な人生に特別必要ないと思っているから>というまるっと人生を投げているような言葉の裏に、じつは「生きたい」という乾いた喘ぎ声があるのではないか。
安藤さんのような激しい生き方をしてきた世代VS今の20代という対立構造的な捉え方ではなく、精神的な死と再生というものを先に知っている人と、これから知る人たちとの精神的な交流がないと、
言われたことを言われたとおりにしかやらない人が増えることになって、でも我が子にそういうふうに生きてもらいたいと思っている親って案外少ないのではないか?
もっと「生きているように生きてほしい」と子に願っているのではないか?
40代になると、余計なお世話かもしれませんが、今の20代にこんなことを思ってしまうのです。(ひとみしょう/文筆家)
(愛カツ編集部)
 
※参考・引用 ゆとり世代、4人に1人が「恋愛は面倒」、2人に1人が「合コンに参加したことがない」(PRTIMES/株式会社パートナーエージェント)

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