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親の介護と育児の「ダブルケア」を体験。保育園、仕事…限界をどう乗り切ったか

  • 2018.2.25
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「ダブルケア」という言葉を知っていますか? 晩婚化や晩産化などを背景に、子育てと親の介護同時に担わなければならないことをいいます。

政府が行った調査によると、ダブルケアを行う人は約25万人いると推計されていて、男女ともにその8割を30~40代の働き盛りと言われる世代が占めています。ダブルケアにより業務量や労働時間を変更しなければならなかった人は女性で約4割、男性で約2割いて、社会の問題として考える必要性も訴えられ始めています。

筆者はおととし母をみとりましたが、約10年に及ぶ母の闘病において、2人の子どもの世話と母の病気による介護とのダブルケアを経験しました。今回は、ダブルケアとは一体どんな状況なのか、そして乗り切るためにできることは何か考えてみたいと思います。

■ダブルケアで女性にかかる重圧とは

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母の病気がわかったのは筆者が学生のとき。転移が進んだ大腸ガンで、手術や入院を繰り返しながら、病状は落ち着いたり悪くなったりしました。発覚したときは絶望的に悪かった母の病状は、かかりつけ医に「奇跡的」と言われるほどまで回復して、日常が過ごせるように。

その間に筆者は結婚して母となりました。しかし、2人目が産まれる1年ほど前から母の病状は深刻になり始め、身体的、精神的なケアを必要とするようになったのです。

当時、実家から離れて暮らしていた筆者ですが、父がフルタイムで働いていたこともあり、1年の3分の1ほどを実家で過ごすことにしました。母から頻繁に連絡が来たため、見放せないと感じたこともあります。

政府の調査では、ダブルケアをしている人のうち約66%は女性だとわかっています。親の介護や子育てにおいて、頼られがちなのはやはり娘であり、母親なのかもしれません。身をもって女性の役割を実感することとなりました。

■介護中、子どもの預け先をどうする?

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2人目が1歳になったとき、実家に帰ることに。母は緩和ケアしか手立てがなくなっていましたが、幸いにもかかりつけの病院に入院させてもらえることになりました。

しかし、毎日洗濯物を取りにいったり、日中の世話をしたりと、3歳と1歳の子どもを世話しながら1人で母の世話はできませんでした。そこで長男、次男の預け先確保に動きました。

里帰り先で年少だった長男を受け入れてくれる幼稚園を探しました。実家近くには私立の幼稚園しかなかったため、事情を話して特別に受け入れてもらえることに。

さらに次男の一時保育先を確保するために、10件以上の保育園に電話をかけました。ほとんど空きがなく、ようやく見つかったのは自宅から自転車で20分ほどかかる保育園。そこの保育園も、空きがないと一度断られかけたときに、「ご事情は?」と尋ねてもらい、心遣いでねじ込んでもらったような状況でした。

市町村によっては、祖父母の家から通う場合は一時保育を利用できるなどの措置もあるようなので、預け先を探すときは一度役所に相談してみるといいでしょう。

■経済と家事の負担を軽くするには

介護を行うにあたって、最重要課題は介護保険サービスの「要介護認定」を受けられるかどうかだと思います。また子育てしながらの介護となるために、3つめの問題「家事」についても検討する必要が出てきました。

●介護保険サービスによって経済的負担が軽減

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母が自宅に戻ってくることも想定し、入院中に「要介護認定」を受けてもらいました。介護保険制度では、介護を必要とする状態になった場合や、家事や身支度などの日常生活における支援を必要とするなどの場合、介護サービスを受けることができます。

その際、介護や支援が必要かどうか、そのなかでどの程度なのか判定を行うのが要介護認定です。市町村に設置されている介護認定審査会において、自宅や施設、病院などに職員が訪れて判定されます。

程度や地域にもよって異なりますが、支給限度額のなかであれば、さまざまな介護サービスを自己負担1~2割で使用できます。介護サービスを受けることができれば、経済的に大きな手助けになります。

●民間サービスを利用して家事の負担を軽減

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子育てと母の世話を行う生活において、家事は大きな負担になりました。祖母が同居していましたが、80代後半になるため、家事や育児を頼める状況ではありません。

そこで、週に3度、「買い物と食事作りを3時間でしてもらう」という家事代行サービスを依頼することに。とても大きな助けになりましたが、介護サービスとは逆に経済的な負担はかなり重くのしかかります。わが家は父が仕事をしていなければ、このサービスを利用することは難しかっだろうたと思います。また、長期的となった場合には、このサービスを利用すること自体、選択肢には上がらなかったでしょう。

■介護で仕事をどうするか?

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筆者には4歳差の姉がいて、公務員をしています。母が深刻な病状になったとき、姉は2歳の子どもを育てながら時短勤務をしていましたが、しばらくの間介護を理由に休職することになりました。

「仕事」、「子育て」、「母の世話」。この期間は、何よりも精神的な負担が大きかったようでした。もしかしたら姉は、仕事も子育ても母のことも中途半端になっているようでつらかったのかもしれません。

職場によって、休みが取れるか否かわかりませんが、状況に合わせて休むことも選択肢のひとつです。ダブルケアによって業務量や労働時間を変更している人も多くいますが、何よりも自身が納得して選択できることが大切だと痛感しました。

■親も介護する人も限界になったとき

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母の体調が悪くなり始めたとき、このままでは母も子どもたちもどちらも重荷になってしまうと、自分の限界を感じました。

もともと連絡を取り合っていた母の友人や母のいとこ、義妹など、助けてくれそうな人全員にお願いして、病室や自宅にできるだけ来てもらうことに。家族が行けない日には代わりに病室に行ってもらったり、筆者が病室に行く間に子どもたちの世話をしてもらったりと、大きなチームで母の介護にあたることができました。

実際に労働力として支えてもらったと同時に、何より精神的に大きな支えになりました。家族だけで抱え込みがちなダブルケアだからこそ、親戚や友人にも手助けしてもらい、話を聞いてもらうことでずいぶん前向きな気持ちになれたと思います。

「子育て」と「介護」の板挟みになりつらい思いもありましたが、母は子どもたちの存在で笑顔が増え、子どもたちも母の闘病する姿からさまざまなことを学ぶことができたと思います。

「ダブルケア」というと、世話をしなければならないという重みばかりがクローズアップされてしまいがちですが、家庭だけの問題とせず、もっと幅広く親戚、知人、病院、介護スタッフ、勤務先など巻き込んでいくことが必要だろうと思います。

さらには今後はもっと社会の問題として、経済的、精神的、物理的な支援、すべてが充実していけば、心に余裕をもって介護や育児をできるのではないでしょうか。

筆者の体験は、母の病気によるものではありましたが、これから高齢者が増えていくなかで、「ダブルケア」はひとごととは言えません。ひとりひとりが自分の親や夫の親について、自分たち家族の生き方について、しっかりと考えていかなければならない問題だといえるでしょう。

<参考サイト>
・内閣府男女共同参画局:育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書
(高村由佳)