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金銭面だけじゃない! 地方移住するかどうかの基準とは

  • 2018.2.3
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都会で慌ただしく子育てしていると、「もっとゆっくりと過ごしたいな」と感じることはありませんか? 子どもたちのためには、のびのびと暮らせる地方での暮らしは大きな魅力ですよね。

しかし、地方での子育てにも良し悪しがあり、実際に移住する前の下調べが重要です。今回は地方に移住するとき、何を基準にして決めればいいか考えてみたいと思います。

■20~40代の地方移住希望者が増加中!

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NPO法人「ふるさと回帰支援センター」の統計によると、地方移住について相談者のうち、20~40歳代の割合は年々増えていることがわかります。

2008年約30%だった地方移住の20~40歳代相談者が、2016年には約68%に! ひと昔前のいわゆる定年退職後に地方移住を検討する人が多かった時代から、現役で仕事をする世代が移住を考えるという変化が起こっています。

それを裏付けるような調査結果も。「NTTデータ経営研究所」が行った調査によると、都市部に住む6歳未満の子だけを持つ親たちの41.2%が「地方への移住や転職をしたい」と回答。4割もの人たちが現在住んでいる都市部に何かしらの物足りなさを感じ、地方への移住を希望しています。

■子育て世代は、何を求めて移住するのか

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では、都市部で暮らす子育て世帯は、何を求めて地方への移住を検討しているのでしょうか? 先ほどの「NTTデータ経営研究所」の調査によると、地方への移住や転職を考えるきっかけや、移住先の保育園・幼稚園として魅力について次のようなことが挙げられています。
●子育てのために自然環境が豊かなところ、地域コミュニティが豊かな地域で暮らしたい
●自然環境を活かし、子供の五感、生きる強さ、主体性を育成する保育・教育のある環境
都市部での子育てにおいて、子どもの自然経験が不足していると感じ、それを地方での暮らしに求めている人が多いようですね。

■都会に出てきて驚いたこと。地方暮らしメリットとは

実際に、筆者は昨夏まで人口20万人未満の地方自治体で暮らしていました。2人の子育てを約4年半地方で行い、その後都会に引っ越してきたことで、地方のメリットとデメリットが見えてきました。地方と言っても、その特色はさまざまなので一概に言うのは難しいですが、筆者が感じたことをまとめてみました。
<地方暮らしのメリット>
●手をつけられていない豊かな自然を体感できる
●お金をかけないでも十分遊べる、かかるお金もわずか
●人との付き合いが親密で距離が近い
●車での移動が気軽で楽にできる
●住居費や食費などの生活費も安く抑えられる
都会に出てきて一番驚いたのは、何をするにもお金がかかる、そしてその金額も高いこと。地方から都会に出てきて、月々にかかる外出費用はかなり膨れ上がりました。

自然を体験したいと思ったら、レンタカーを借り、高速代を支払って、さらに施設への入園料などもかかるため、かなりの出費です。さらに生活費も都会に出てきてから上がり、とくに住居費は同じ広さの家賃でも2倍ほどになってしまいました。地方で暮らすと、生活にかかるお金を減らせるというのは言えそうです。

■地方生活のデメリットは子育て世帯には致命的か?

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筆者が考える地方暮らしのデメリットは、次のようなものがあります。
<地方暮らしのデメリット>
●整備されていない自然もあるため、危険も伴うことがある
●仕事が少なく、職探しに難航する
●人が少ないためコミュニティが狭くなりがち
●公共交通機関が都市部ほど充実していないため、車での生活が必須
仕事が少なくて職探しに苦労するのは、地方の生活で致命的な部分でもあります。子育て世帯は、子どもを養わなければならないので、職無しというわけにはいきませんよね。さらに、仕事が見つかっても、その賃金は下がることが多いです。

生活にかかるお金が減らせても、収入自体が下がることが多いため、結局地方にいても都会にいても、残るお金は同じになる可能性が高そうです。このため地方移住を検討する場合には、費用よりほかのことを重視した方がいいかもしれません。

■住みたい田舎ランキング1位の超充実支援策

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地方の自治体が子育て中の移住者に対して行っている支援策について見ていきましょう。

茨城県常陸太田市は、いち早く子育て支援策に取り組んできました。今年1月に『田舎暮らしの本』が発表した「2018年版 住みたい田舎ベストランキング」の人口10万人未満の市町村で子育て部門で1位になり、注目を集めています。

この市では、若い世帯への費用の助成が大変充実しています。
<常陸太田市の若い世帯向け助成(抜粋)>
・結婚して3年以内の新婚夫婦に最大で3年間家賃の補助として、一世帯当たり月2万円を助成
・子育て世帯や子育て世帯と一緒に住むために家を購入した人に最大20万円が助成(住宅取得促進助成金)
・1歳未満の子を持つ親へのおむつ購入費用2万円が助成
・保育園では3人目の保育料の無料化
など
さらに費用の助成だけでなく、「こども夜間診療」という平日の午後6時から10時まで、持ち回りの病院に診察してもらえる取り組みもしています。

このように、地方の自治体では子育て世帯の移住を増やそうと、税金と手間をかけた真剣な取り組みが進められています。子育て世帯が移住してくれるということは、その子どもや孫の世代まで住み続けてくれる可能性もあるため、その地方の未来にかける投資ということになるのでしょう。

ここまで読んでみて、どう感じましたか? 理想の場所で子育てしたいと思いながらも、実際はなかなか踏み切れないという人もいると思います。大切なのは、「自分と家族の価値観を守るためにどこに住むか」ということですよね。

自分が大切にしていることを実現するために、都市部と地方、どちらが適しているのかしっかりと考えたうえで、地方への移住も視野に入れてみるといいかもしれません。

【参考文献】
・NPO法人ふるさと回帰支援センター
・NTTデータ経営研究所:「都市地域に暮らす子育て家族の生活環境・移住意向調査」
・「2018年版 住みたい田舎ベストランキング」(宝島社『田舎暮らしの本』2月号)
・子育て上手 常陸太田(茨城県常陸太田市)
(高村由佳)

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