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【男から見た結婚のリアル】第14回「趣味が合わないと交際はうまくいかない」のウソ

  • 2018.2.2
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去年の11月12月は、ヨメといろんなところに行きました。
仕事柄、ぼくは上野でやっている運慶展とゴッホ展には行こうと思っていました。
こうやって文章を書く仕事って、本だけ読んでいればいいわけではなく(本すら読んでいない書き手もいると聞きますが、大丈夫か、おい)、美術や絵画、音楽などから、なんらかを学ぶのってすごく大切だから。それこそが作家生命を延命させてくれるから。

でもヨメはそれプラス、渋谷の青の洞窟(青いクリスマス・イルミネーション)とか、歳末の混みに混んでいるデパ地下とか、映画とか(なんとか急行ってやつ。結末があまりにありふれたものだったので、エンドロールが流れた瞬間、席を立った)、どこかのおいしいスイーツ屋さんとか、各地のスタバとか、スタバとかスタバとか……いろんなところにぼくを連れていきました。

ぶっちゃけ、どれもこれもぼくの趣味ではなかった。
ひとりで静かに本を読み、音楽を聴いて、文章が書けさえすれば、ぼくはそれでよかった。
でも愛するヨメからの提案を、ぼくは快く受け入れ、ヨメが希望するいろんなところに行きました。

結果、どうだったか?

ぼくの食わず嫌いな性格が矯正されてきていることに、ぼくは気づきました。
「人混み、嫌い」が、「人混みの中にいるのも、たまには楽しいなあ」と思えるようになった。
デパ地下って「あるものしかない」と思っていたのが、デパ地下ごと買い占めてもいいかもと思えるようになった。
クリスマスイルミネーション?あんなもの、20歳そこそこの子供がデートする場所、と思っていたのが、来年は全国のイルミネーションを制覇したいという気持ちに変わった。

ネットの恋愛コラムというものは非常に罪深いもので、「男女で趣味が合わないと破局する」なんてことをしれっと書いている人がいますが、あれはウソです。ウソを書いてはいけない。
愛があれば、男は彼女の趣味を理解し受け入れ、それによって自分の世界観を広くし、教養を深め、まことにいい人格に向かって歩けるようになります。簡単に言えば、食わず嫌いという偏見が直ります。

と、ここまで書いて思ったのですが、ヨメの食わず嫌いだけは一向に直りません。ヨメはシイタケが嫌いです。干しブドウも嫌いです。
だからキムチ鍋に入っているシイタケは、ぼくが全部食べます。
ヨメが器用にほじったレーズンパンのレーズンは、ぼくがすべて食べます。
ヨメに出会ったときも今も、これは変わらない。ということは、ヨメはぼくのことを、本当は愛していないのかもしれません。あるいはぼくの愛し方がまだぬるいのかもしれません。
まあ、どっちでもいいのですが(ほんまかいな?)、1つ確定しているのは、ぼくは今夜もたくさんシイタケを食べなくてはならないということです。(ひとみしょう/文筆家)

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