深田恭子&高橋メアリージュン、複雑な女性の心理を体現 『隣の家族は青く見える』の演技を読む

不妊症と告げられながらも前向きに子づくりに励む夫婦を筆頭に、結婚観や妊娠・出産観といった現代的な悩みを抱える人々の姿を描いたドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ)。1月25日放送の第2話では、第1話に引き続き、“コーポラティブハウス”に住む人たちの抱える悩みが露見する回だった。

子供がほしいカップルである五十嵐奈々(深田恭子)と大器(松山ケンイチ)は、前回婦人科で不妊症を告げられてから、食事や健康管理に気を使っている。タイミング法(排卵に合わせて性行為をする方法。不妊治療の初期段階で試される方法)に取り組む2人だったが、“治療”として懸命に取り組む奈々に対して、大器は少しプレッシャーに感じているようだ。

第2話では、妊活に疲労を感じ始め、ため息をつく大器の姿が印象的だった。奈々に対し、少し苛立ちを見せるシーンも。そのシーンはほんの一瞬で、大器が奈々に「はいはい、わかってますよ」と適当に返事をした、ただそれだけなのだが、この小さな苛立ちの積み重ねが後々膨らんでいくのではないかと思うと、ヒヤッとする。もちろんコメディタッチのドラマなので、すぐに元の空気に戻ったが、今後この夫婦に試練が訪れることは間違いないだろう。

とはいえ、深田恭子のひたむきさ、松山ケンイチの嫌味のない演技のおかげで、この夫婦の行く末を応援したくなる。子供がほしくない杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)とバツイチのスタイリスト・川村亮司(平山浩行)にも動きがあった。亮司には、前妻との間に一人息子がいる。第1話で前妻が急死したことが明かされており、第2話では残された息子との交流が描かれていた。しかし、亮司はちひろに息子の存在を話していないようである。「息子と会う」という目的を知らなかったちひろが、亮司の出張先のホテルに内緒で訪れ、亮司の傍らに立つ少年の姿を見た時、愕然とした表情を見せた。

ちひろを演じる高橋メアリージュンは、意志の強い演技が特徴的だ。事実婚や子供をつくらないという選択肢を取った、現代的なカップルを見事に体現している。だからこそ、あの愕然とした表情が印象に残る。

「子供がほしくない」と主張するちひろ。コーポラティブハウスに帰ってきた時、「子供をもつことはいいことだ」と主張する小宮山深雪(真飛聖)に「子づくりしたほうがいい」と言われ、怒りを爆発させる。

「子供を持つ持たないは“権利”であって“義務”じゃないんです」
「自分の物差しだけで他人を図るなっつってんのよ!」

ちひろがなぜ頑なに「子供がほしくない」と言い続けるのかは、まだ明らかになっていない。今回、亮司の一人息子・亮太は父親と暮らすことを了承した。このことが、ちひろにどのように影響を与えていくのだろうか。

深田恭子と高橋メアリージュンは複雑な女性の心境を嫌味なく演じている。深田演じる奈々は職場のダイビングショップで、上司から「人気が高いから辞められると困っちゃう」という意図の言葉をかけられる。この時に深田は、職場で積み上げてきたキャリアと、子供が欲しい願望を天秤にかけざるを得ないような複雑な心境を、“困ったような笑顔”で表現する。不安や苛立つ気持ちを抑えながら、他人を思いやる心を持つ奈々。第2話では、痛みを伴うと言われる卵管造影検査(卵管の通過性、子宮内腔の形態などを調べる検査。不妊症の基本検査の一つ)に取り組むなど、苦悶の表情を浮かべる演技が多かったが、そのどれもが真に迫るものだった。

一方で高橋メアリージュンはまっすぐな瞳で「子供が欲しくない」という意思を視聴者に伝えてくる。その理由は明らかではないものの、迷いなくはっきりと意思を伝える姿は、「子供が欲しくない」女性だけに限らず、自分の意思を持ちたい女性にエールを送る存在なのではないだろうか。

中谷まゆみの脚本や役者陣の演技のおかげで、現代的な問題や悩みをテーマに掲げつつも、シリアスなドラマになりすぎないのは見事だと思う。それぞれの家族に訪れる試練は、決して視聴者も目を背けることのできない内容のはずだ。それをコメディタッチで描きながらも、真っ正面から捉えているこのドラマはすごい。今夜放送の第3話も楽しみだ。(片山香帆)

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