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怒ってばかりいる私は毒親? 「怒り」の付き合い方とは【ママのためのアンガーマネジメント 第1回】

  • 2018.1.15
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ママの毎日は、ある意味、戦い。子どもを感情的に叱ったあと、言いようのない後悔に苛まれる…。そんな経験は、どんなママでもしているはず。けれども、「私って、毒親?」「これって、虐待?」と、自分で、自分のことが不安になってしまうこともあるのではないでしょうか。

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「まずお伝えしたいことは、『怒りはあなた自身ではない』ということです」と言うのは、NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子(たかやまけいこ)さん。「怒り」との上手な付き合い方について、お話を伺いました。
高山恵子さん
NPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。
専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。
■「アンガーマネジメント」という技術

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「アンガーマネジメント」という言葉を、聞いたことがありますか? アンガーマネジメントとは、心理学に基づいた怒りを扱う技術のことです。最近は教員採用試験にも出題されるなど、子どもと接するすべての大人にとって、必須な技術として注目を集めています。

じつは、怒りの感情が沸くことは、人間としてごく自然なこと。「『怒り』との付き合いで大切なのは、まず『怒りという感情』と『あなた自身』を分離することです」(高山さん)

「自分は、いま、怒っている」と、きちんと自分で気づいてあげること。そうすることで、「感情」と「あなた自身」は、少し分離されます。

■怒りの応急処置は、「最初の6秒」がカギ

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アンガーマネジメントの第1歩は、「自分は、いま、怒っている」と気づき、「いま、ここにある怒り」を、それ以上大きくしないことです。サインが現れた段階で「怒り」に気がつくことができれば、それだけ早く爆発を防ぐための行動に移行ができます。

キーワードは、「最初の6秒」。「怒りのサインに気づいた最初の6秒間をどのように使うかが、アンガーマネジメントの重要なポイントです」(高山さん)

この時点で「怒りのもと」を深追いするのはご法度! 「どうして、イヤばかり言うの?」「どうして、早くご飯を食べられないの?」。そんな怒りのもとを考え始めたら、炎に燃料をくべるようなものなのです。

<早く気がつこう! 怒りのサイン>
・呼吸が浅くなる
・頭が真っ白になる
・顔がカッと熱くなる
・動悸がする

出典:『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』(高山恵子監修/講談社)より抜粋

 
なぜ「最初の6秒」がカギになるのでしょうか? それは、怒りには、「アドレナリン」というホルモンが関係しているからです。

怒るとき、体の中では、「アドレナリン」が分泌されています。アドレナリンには体を活発にする作用があり、怒っているときには、まさに「火に油を注ぐ」ように怒りがエスカレートしていきます。

カチンときて、アドレナリンが分泌されても、6秒後にはそのピークは過ぎるといわれています。言い換えれば、怒りの応急処置法とは、「最初の6秒を、いかに上手にやりすごすのか?」の方法論を知っておくことなのです。

■自分が怒っていると気がついたら

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「最初の6秒」を、ただ、我慢するというのは、意外と難しいものです。そんなとき、物理的な「応急処置メニュー」を知っておくと便利です。「あ、ヤバいな!」と思ったら、それをパッと取り出しましょう。

<怒りの応急処置メニュー3つ>
●おでこに手を当てて数を数える
目の真上、おでこの少し出っ張った部分には前頭葉があります。前頭葉は感情を制御する脳。手を当てて血流の動きを促すことで、動きを活性化させます。

●水を飲む
水は、火を消すもの。水を飲む時には、心の中で燃えている怒りの火を鎮めることをイメージします。水を飲むことで、脳の血流を改善する効果もあります。

●深呼吸をする
吐く時間のほうが長くなるよう、4秒吸って、6秒かけて吐きます。息は鼻から吸って、口から吐きます。肺から体のすみずみに新しい空気がめぐるイメージです。

出典:『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』(高山恵子監修/講談社)より抜粋

 
■怒ってしまった自分に声をかける

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また、自分で、自分に声をかけてあげることも有効です。「言葉の力は、思っているよりも強く、確かなものです」(高山先生)

セリフトークは、短く簡潔に! 大切なのは、しっかりと何度も唱えることです。
もうひとつ。「『ママ、ちょっとあっちの部屋で休んでくるね』と、その場を離れることも効果的です」(高山先生)

その場を離れたら、子どもへの「続きのお説教」を考えることはやめましょう。怒りの原因から心も離すことで、気持ちは切り替えやすくなります。

<怒りをしずめるセルフトーク例>
・落ち着いて。
・私は大丈夫。
・コントロールできる。

出典:『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』(高山恵子監修/講談社)より抜粋

 
次回は、「また子どもを怒鳴ってしまった…。『怒り』をぶつけてしまう本当の理由」です。怒りのメカニズムについて教えていただきます。

■今回のお話を伺った高山恵子さんのご著書

『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』
(高山恵子監修/講談社)¥1300円(税別)
高山恵子(たかやまけいこ)さん
NPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。
専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。
注意欠陥/多動性障害(以下、ADHD)の正しい理解の普及と、ADHDを持つ人々を支援し、ADHDを障害としてクローズアップするのではなく、豊かな個性の一つとして長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体として「NPO法人えじそんくらぶ」を立ち上げる。
NPO法人えじそんくらぶ公式サイト:http://www.e-club.jp/
<イベント情報>
「成人ADHD等の理解と対応」(2018年1月~6月/全6回・東京)
第1回 『アンガーマネジメント概論』怒りのメカニズムとクールダウンの方法を学び、自責・他責を減らしましょう。(2018年1月23日(火)))

(楢戸ひかる)

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