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なぜ?男性がマラソン大会で、ベビーカーを押した理由

  • 2017.12.28
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オーストラリアのトライアスロン選手、トロイ・オースティンさんは、この8月にサンシャインコースト・マラソンに出場。その際、からっぽのベビーカーを押していたオースティンさん。<Good Housekeeping>によると、そこには深い悲しみと勇気のストーリーが秘められていたそうです。

参加者として通り過ぎるランナーたちの中には、何も知らずにベビーカーのことを尋ねたり、笑ったりする人もいたのだとか。あるアナウンサーはスピーカーを通じて「これはどういう方なのでしょうか、まるで子どもを亡くしたような様子です」とさえ伝えたといいます。

しかし、オースティンさんはベビーカーに気づいてもらって、自分に起きた出来事を語るきっかけにしたかったのだそうです。まるで子どもを亡くしたかのように見えた彼は、実際に子どもを亡くす経験をしていました。2016年1月、オースティンさんの息子T.G.くんは27週目で死産となりました。生きていれば1歳半になっていたとのこと。


オースティンさんはレース中、「私は子どもを失いました、もう我が子は帰ってきません」と時折言うのがやっとで、あとはただ微笑んで、支えてくれる仲間数人と連れ立って走り続けたそうです。

彼は<デイリーメール>の取材に対し、「いくつかの質問に答える心づもりはできていました。しかし同じような人々から繰り返し質問された後などは、特に疲れ果てて、冷静さを失うこともありました」と語っています。「それでも、私には支えになったことがあるんです。それは誰かが例の質問を発するたびに、その人たちは私が息子を失ったことを心に留めているのだ、と自分に言い聞かせることでした。T.G.が私の子であったことが、その都度認められているのだと」。


<デイリーメール>によると、オースティンさんと妻のケリーさんは通常の検診を受けるために病院に向かい、そこで残酷な知らせを受けることになったといいます。それまでお腹のなかで「蹴りが感じられるほど活発」だったのに、赤ちゃんの心音が聴き取れないと医師に告げられたそう。

それから3日後、ケリーさんが誘導分娩を受けることで、夫妻はT.G.くんを抱くことができました。オースティンさんはその時の想像を絶する状況を次のように語っています。「どうしようもない苦しい数日間を過ごしてから、出産のために病院に向かったんです。出産後も、用意した部屋にその子を迎えることはできないと知りながら…。産着も必要なくなり、ベビーベッドに乗せる子はもういません。そうした心の痛みを抱きながら私たちは、"最初の子どもを授かったのだ、彼は私たち家族の一員なのだ"、と微笑み合いました」。

オースティンさんはさらに次のように語ります。「その夜、私たちは子どもとずっと一緒に過ごしました。夜明けまで抱いていました。そして看護士が子どもを運んで行く時に、さよならを言うしかなかったのです」。それから彼らは埋葬の儀式を行い、T.G.くんを永遠の眠りにつかせました。

オースティンさんは、「この別れは一生忘れられないものであり、悲しみが終わることはない」と言います。妻のケリーさんは、失った子どもの思い出を記録することで悲しみと向き合い、そしてオースティンさんは、ランニングシューズを履くことを決意。

また、心の傷を癒す一助として、夫妻は「T.G.'s Legacy(T.G.の遺産)」と名付けたチャリティ活動を始めることに。これは同じような境遇にある人々のために寄付を募り、社会の認識を高め、そうした立場の人々を元気づけることを目的としているとのこと。

アメリカ合衆国では全ての妊娠のうち死産となる割合は160分の1であるとされており、オーストラリアでは「1日に6人の子どもが死産に見舞われます」とオースティンさん。死産は、胎盤の問題、先天性異常、細菌感染などさまざまな原因によって引き起こされるそう。

これまでに、2000オーストラリアドル(約18万円)を超える募金を集めたオースティン夫妻。自身のサイトには「ママとパパの愛する我が子よ、この上ない大事な授かりものよ」の文字が。

そして夫妻はいま、T.G.くんの弟となるはずだったサミュエル・ブルースと名付けられた男の子を子育て中


オースティンさんはFacebookにチャリティ活動への支援に対する感謝の言葉をしるし、その投稿をこんな言葉で締めくくっています。「空のベビーカーは今もそのままです…でも、それは空っぽなのではありません。我が子は私たちとともにいます。これからもずっと」。

※この翻訳は、抄訳です

Translation: 西山佑 (Office Miyazaki Inc.)

Good Housekeeping

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