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身体ナビゲーションVol.34 「橋本病」

  • 2015.1.16
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こんにちは。健康管理士のSAYURIです。

お正月気分もやっと抜け、通常生活に慣れたころだとは思いますが、まだまだ寒い日が続いています。そんな中、手足の冷えや寒さを強く感じたり、体温が下がったりと、単なる“冷え”だと誤解されやすいのが甲状腺の機能が低下する『橋本病』。

今回は『橋本病』について解説したいと思います。

●圧倒的に女性に多いのが橋本病

橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起こる病気であり、慢性甲状腺炎と呼ばれています。

圧倒的に女性に多い病気であり、男性の約30倍ともいわれています。特に30代~50代での発症が目立つので、仕事や家事に忙しいこの年代の女性はつい“単なる冷え”だと思い発見が遅れてしまうことも多いようです。

また、橋本病はバセドウ病と同じく免疫の働きに異常が生じて起こる自己免疫疾患です。

何らかの原因で体の免疫細胞が甲状腺の細胞内にあるタンパク質成分を異物として認識し、自己抗体(甲状腺細胞を攻撃する抗体)をつくります。そしてこの抗体によって甲状腺が刺激されるために炎症が起こります。

炎症が進行すると、甲状腺は下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンの刺激にも反応しなくなり、甲状腺の機能が低下することから甲状腺ホルモンが十分に分泌されなくなります。

●橋本病の主な症状4つ

●(1)体温低下、体の冷え

甲状腺ホルモンが不足すると新陳代謝やエネルギー消費量が低下するため、体が熱を作れなくなり、体温が低くなります。そのため、体の冷えを感じ寒さに弱くなります。

●(2)むくみ

体内の水分が、汗となって排出されず、体の中にたまるため、手足に限らずさまざまな部位がむくむようになります。

顔の場合、まぶただけでなく、頬や鼻、唇、そして舌にまでむくみが及ぶと、ろれつが回らなくなったり、声帯や喉の粘膜がむくんで声がしわがれたり、低くなったりします。

また、重症化すると、心臓を包む膜である心嚢(しんのう)に水がたまり、むくんで心肥大の傾向が現れます。

●(3)除脈

甲状腺ホルモンの分泌が不足すると心臓の働きが弱るため、除脈になります。正常の心拍数が1分間に60~80回程度ですが、橋本病では60回以下と遅くなります。

●(4)精神面にも影響が

甲状腺ホルモンは脳の働きにも作用しているため、不足すると、意欲の低下、無気力、物忘れなど、精神面にも影響を及ぼします。そのため、うつ病や認知症、更年期障害、加齢から来る老化現象と間違えられやすくなります。

この他にも、体内でコレステロールを代謝する速度が低下するため、脂質異常症につながる恐れがあったり、強い疲労感や眠気、便秘、抜け毛、皮膚の乾燥や月経不順などの症状も現れることがあります。

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こうして症状を羅列しても、本当に日常的に感じる自覚症状が多いので、病気かどうかの見極めが難しい病気です。疲労感や眠気、手足の冷えや低体温があまりに続くようなら早めの受診が安心でしょうね。

【参考文献】

・総務省認証予防医学学術刊行物『ほすぴ』成人病予防対策研究会発行

(ライタープロフィール)

SAYURI(心理食育インストラクター)/長年の医療機器メーカー勤務の経験から健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーの資格を取得し、健康管理士事務所『優縁』を設立。現在、食で愛を育む食愛ナビゲーターとして、食育の講演や執筆活動を中心に、NPO法人『予防医療推進協会』理事長として、成人向けの生活習慣改善のさまざまな提案を発信中。

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