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いつかのために、知っておくべき基礎体温の基礎知識

  • 2017.12.18
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妊娠を意識している女性が計測しているものと思われがちな「基礎体温」。じつは妊娠の予定がなくても体調管理をする上でとても大切なこと。欧米では将来的に健康な身体で赤ちゃんが産めるように自分自身のライフスタイルを見直そうという「プレコンセプションケア」という考え方が浸透してきている。自分の体を見直す方法の一つとして、基礎体温を普段からつけている女性も増えてきているそう。女性特有の病気や身体の不調を知るという観点から、全ての女性がやるべきこととして見直されている基礎体温について丸の内の森レディースクリニック院長・宋美玄(ソン ミヒョン)先生に取材。

プレコンセプションケアって?

新しい命を授かる受胎、コンセプション(conception)に、あらかじめを意味するプレ(pre)を組み合わせた言葉「プレコンセプションケア」。基礎体温との関わりが深いとされる世界的な活動のひとつで、2008年からアメリカを中心に始まり、日本でも近年その重要性に注目が集まっている大切な考え方。

痩せたい願望の強い若い女性が過度なダイエットを続けることで招く子宮や卵巣のトラブルが早産や低出生体重児の出産につながると問題になっている現代。プレコンセプションケアは女性やカップルが自分の生活習慣や身体のことを考え、健康な身体で赤ちゃんが産めるよう自分自身のライフスタイルを見直そうというもの。

参照元:国立成育医療研究センター プレコンセプションケアセンター、「からだにいいことpreco」(2017年)

妊娠の予定がない女性が基礎体温をつけるメリットとは?

基礎体温を計測&記録する最大の目的は「女性ホルモンが正常に分泌されているか」「きちんと排卵されているか」の2点。これは妊娠を希望している、していないに関わらず、全ての女性にとって大事だということをまずは認識したい。

〈女性ホルモンの分泌から分かること〉

生理前のイライラや気分が落ち込んでしまうPMS(月経前症候群)をはじめ、女性の心身はホルモンの影響を大きく受けるもの。ホルモンの分泌によって自分の身体のリズムや体調の変化を基礎体温から読み取り、前もって対処することができる。

〈排卵の有無から分かること〉

排卵の有無は自覚症状がないため「無排卵月経」であることに気付かない女性は意外に多いもの。排卵が起きていないということはホルモン分泌が正常ではないため、生理不順や妊娠ができないなどといった問題に発展することも。手遅れにならないためにも早くから基礎体温をつける習慣を身に着けたい。

産婦人科専門医である宋美玄院長も「婦人科に相談することになったら、それまでつけていた基礎体温グラフはスムーズに診察ができる貴重な情報。基礎体温データがない場合は、患者さんに『基礎体温を1カ月間つけてからもう1度来てください』とお伝えすることもあります」と、正しい診断をするうえでも非常に重要な役割を担うと語ってくれた。

正常な女性の基礎体温とは?

きちんと女性ホルモンが分泌されて排卵が起こる基礎体温は「高温期」と「低温期」に分かれるのが基本。

〈正常な基礎体温を見るポイント〉

・ 高温期と低温期の差が0.3度以上ある

・ 高温期が10日以上続く

・ 高温期に大きな落ち込みがない

・ 低温期から高温期への移行は3日以内が目安

低温期と高温期が一定でない、高温期が通常より短いなどの傾向が見られた場合、無排卵やホルモンバランスが崩れている可能性が。一時的な不調というケースもあるので、継続的な基礎体温の計測は、身体の「不調」を発見できる最も身近な健康チェック法。

毎日決まった時間に起床して検温するのが理想ではあるものの、神経質になりすぎず「目が覚めたら検温」という感覚で就寝前、枕元に体温計を置いておくと◎。測り方は舌の裏側奧にある舌小帯(中央のすじ)の脇にあてるだけ。ドラッグストアで購入できる「婦人用体温計」は短時間で測れるものやスマホと連動できるものなど、さまざまなタイプがあるので自分に合ったものを選ぶと便利。

心と身体の負担を軽減し、自分を守ってくれる基礎体温

女性ホルモンの分泌と排卵の有無を知る以外にも、基礎体温のチェックは毎日の生活をスケジューリングするうえでも重要なこと。月経やPMSの時期を予測し、旅行や遊びの予定を立てる手助けはもちろんのこと、どの時期にどんな症状が出やすいのかを把握することで仕事量を調整し、効率良く身体を休めるなど自分への負担をコントロールできるというメリットも。

基礎体温を測ることで見えてくる自分自身の身体の状態。今まで気付かなかった婦人科疾患の早期発見・受診・治療にもつながるほか、いつかのために必ず必要になるもの。自分の身体を守るためにも基礎体温で体調管理をして健康な毎日を過ごして。

宋美玄(ソン ミヒョン)
丸の内の森レディースクリニック院長
産婦人科専門医 医学博士 日本周産期・新生児学会会員 日本性科学会会員
アプリ「カラダのキモチ」の総合監修

2児の母であり子育てと産婦人科医を両立。テレビ・ラジオ・雑誌連載などメディアへの積極的露出で“カリスマ産婦人科医”として様々な女性の悩み、女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓発活動を行っている。また、生理周期管理、妊活、基礎体温の記録をサポートする「カラダのキモチ」アプリの総合監修もつとめているなど、活動の幅を広げている。

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