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【元宝塚歌劇団男役トップスター・凰稀かなめ】が目指す、この先とは……【VOCE独占取材】

  • 2017.12.15
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11月22日、元宝塚歌劇団男役トップスターで、現在女優として舞台やテレビで活躍中の凰稀かなめさんが自身プロデュースの香水ブランド『フェニックスティアーズ』の新製品発表会に登場。現役在団中にはVOCE本誌の取材に何度も登場いただいた凰稀さんだけど、退団後の出演は初めて。彼女がフレグランスブランドを立ち上げた理由や、これから『女優』として目指している目標について直撃インタビューを行いました!

凰稀かなめと香水、そして見据えるこの先とは……

–––純白の衣装に身を包んだ凰稀さんは発表会で行われたトークショーに出演。舞台上では、香水ブランドを立ち上げた理由を語ってくれた。

「現役の頃から“香水”そのものが大好きで。さらに役を演じるうえで、その人物の国や役柄を調べることが多くあったのですが、現役時代はなかなか海外に行くチャンスがなかったんですよね。そんなときに「フランス人はエルメスの香りがするんだよ」とか「韓国はニンニクや元気になりそうな匂いがするよ」といった話を聞いて、ああ、国によって香りは違うんだなって思いました。宝塚では海外の人物を演じることが多かったので、「じゃあ、フランス人の役だからエルメスをつけてみようかな」と思ったのですが、その人物の感情や生き様を探っていくうちに、つけたい香りがどんどん変わってきたんです。それがとても面白くて」

–––役作りと香りを結び付けたタカラジェンヌは珍しかったそう。凰稀さん自身も「私だけだったんじゃないかな……」と現役時代を振り返る。

「特に男役の方々は、カッコいい香りを纏いたいというのが王道だったと思います。憧れの先輩がつけている香りとか、自分だけの1本とか、そういうふうに選んでいる人が多かったような印象ですね」

–––製品紹介のリリースの中で、凰稀さんは宙組トップスター時代に演じた『風と共に去りぬ』のレット・バトラーの香りにまつわるエピソードを披露していた。「この役にはこの香り!」と最初にセレクトした1本が稽古中にはどうにもしっくりこなくて、少しライトな香りに変えてみたものの、稽古も後半になって役への理解が深まっていくと、やはり最初に選んだ男らしさのあふれる香水に辿り着けたのだそう。凰稀さんがこだわる“香りと役作りの密接な関係”が垣間見えるストーリーだ。

「役に合わせてどんな香りを選ぶかを決めるのは、最初は“勘”によるところが大きいんです。台本を頂く前に選ぶこともあれば、台本を読んで、この作品では何が言いたいのか、その役柄の生き様はどういったものか、さらにはメイクや髪型も詰めていく作業をしたうえで香水のカウンターに行き何度も香りをつけてみて、自分が納得いくものを数個ほど選ぶんです。実際のお稽古のときもそれらをつけるということを繰り返して……。レット・バトラーのときのようにお稽古場で合わないということもありました。香り探しの旅は役作りと共にあるので、その役に付いている限りゴールはありません。舞台ってお稽古初日から千穐楽までずっと苦しみ続けるんですよ。「この役をやって楽しかった!」と感じるのは終わってからですね(笑)」

–––ならば、役作りで苦しんでいる間に香りが手助けになることがあるのかと聞いたところ、凰稀さんは「もちろん、あります!」と笑顔で応えてくれた。

「自分が思い描く役柄のイメージに導いてくれるガイドのようでもありますし、逆にまだまだ辿り着けてないんだよと叱咤激励してくれる存在でもあるんです。レット・バトラーのときは本当に苦しみました(笑)。嗅覚って本当に面白くて。たとえば道を歩いていてラーメンのいい匂いがしてくることありますよね。それにつられて思わず店に入っちゃう、みたいな(笑)。香りは自分が目指すところに導いてくれる存在だと思います」

–––オリジナルブランド『フェニックスティアーズ』は、鳳凰の涙。凰稀の凰=フェニックスであり、そのフェニックスが流した涙、というネーミングにも隠された意味があるそう。

「私、舞台以外で泣くことがほとんどないんです。でも舞台上では、そういった役柄が多いのか、毎回涙を流しているんです。香りを役作りの指針にしている私にとって『フェニックスティアーズ』でつくったフレグランスは、まさに自分が演じる役と、それを演じた私が流した涙の“結晶”のようなものです。これからもあらゆる役柄を演じていくと思うのですが、私が女優として活動していく“軌跡”になればいいなと思います」

–––来年は年女を迎えるという凰稀さん。まさにVOCE読者と同世代の凰稀さんは、いま将来に向ってどんなゴールを掲げているのだろう。

「実は私、ゴールを設定するのが本当に苦手なんです……(苦笑)。だから、自分がどこに向かっていくのかは未知数。行くところに行くんじゃないかと思うタイプで(笑)。でも、やっぱり今は心底お芝居がやりたいと思っています。在団中は高貴な役柄もたくさんいただきましたし、昨年の『1789-バスティーユの恋人たち-』ではマリー・アントワネットを演じたりもしました。自分が納得できるステキな作品であれば、どんな役にでも挑戦したいですね。私は自分の中で役の矛盾点を感じると、それを乗り越えるために周りの人たちとたくさん意見を交わして、疑問点をどんどん解消することで役を深掘りするんです。このプロセスを踏んでおくと、実際に本番で舞台の上に立ったときに“無”になれますから」

–––これから、その役作りのプロセスを大きく支えていくことになりそうなのが、まさに『フェニックスティアーズ』だ。

「今までは既製品の香水をいくつも試して、自分を香水のほうに合わせていたのですが、これからは自分が解釈した役に香りを近づけることができるのが、本当に嬉しい。調香の作業は本当に楽しくて、将来的には資格を取ったり、実際にファンの人が欲しいと思う香りをひとつずつ手作りしてあげたりできるといいな、という夢もあります。あ、ひとつ目標にしているのは、『和服に似合う香水』です。日本人ですからね、やっぱり。時間を見つけて調香したいと思っています。でも、完成には少しかかるかなぁ(笑)。で今はひとつでも多くいいお芝居をするために舞台に立ちたいという気持ちが大きくて。それを皆さんにもぜひ観ていただきたいと思います」

フェニックスティアーズ ラグジュアリータイム 50ml ¥8500
(インターネットによる通信販売で2018年2月1日より発売予定)

2016年に演じたマリー・アントワネットの役がインスパイアの源。フリージアやムスクといった甘いノートをコアに入れ、優雅な気分を残しつつもリラックスできて、女性らしさや華やかさもある香り。「マリー・アントワネットが残された時間を母として子供のため、家族のために生きた“母性”の部分も感じさせながら、それでいて王妃であることも忘れていないという、大輪の花のイメージも託しています」(凰稀さん)。トップノートはグレープフルーツやピーチの爽快感が香りつつ、ラストではムスクやアンバーなど安らぎを感じさせる調香に。

フェニックスティアーズ タイムトゥギャザー 50ml ¥8500
(インターネットによる通信販売で2018年2月1日より発売予定)

2018年に出演予定の『銀河鉄道999』で演じるクイーン・エメラルダスからインスパイア。大切な人と大切な時間を過ごす、という“同じ時間を共有する空気感”をイメージして調香した香りは、ミントやシトラスのトップノートから、ジャスミンやスズランなど深みのあるフローラルへの見事な変化が魅力的。ラストノートにはベチバーやサンダルウッドといったエキゾチックな芳香から立ち昇る。「クイーン・エメラルダスの凛としたカッコよさと同時に、彼女のトチローへの思いといった“女性”である部分もきちんと伝わる香りだと思います」(凰稀さん)

http://phoenixtears.shop-pro.jp(現在準備中)
お問い合わせ:ケイローズ 03-6772-4187

凰稀かなめ:おうき・かなめ
1982年9月4日、神奈川県生まれ。元宝塚歌劇団宙組トップスター。2015年退団後、単独コンサート『The Beginning』やディナーショーを開催。2016年『1789-バスティーユの恋人たち―』のマリー・アントワネット役(Wキャスト)にて女優デビュー。ドラマ『家売るオンナ』ゲスト出演。2017年には初主演舞台『花・虞美人』にて虞姫を演じ、好評を得る。現在、テレビ朝日系帯ドラマ『トットちゃん!』に出演中。11月22日にはファーストアルバム「Again アゲイン」を発売し、メジャーデビューを果たした。長く美しい手足と類まれな美貌に加え、心の機微までもを表現する演技を武器にコメディからシリアスまで、幅広い演技が人々を多数魅了する。

<凰稀かなめさん出演情報>
リーディングアクト『愛にまつわる、いくつかの…』
主演:凰稀かなめ
演出・出演:ラサール石井、伶美うらら
日程:2018年2月9日(金)~18日(日) 全15公演
会場:東京・紀尾井小ホール

『1789-バスティーユの恋人たち-』
マリー・アントワネット役(Wキャスト)
日程:2018年4月~7月
会場:帝国劇場、大阪新歌舞伎座、博多座

銀河鉄道999 40周年記念作品『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~
クイーン・エメラルダス役にて特別出演
日程:2018年6月~7月
会場:明治座、北九州芸術劇場大ホール、梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

写真:金栄珠

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