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「変わらない」がそこにある。神楽坂『トンボロ』のトースト|by PARISmag

  • 2017.12.12
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毎日の暮らしのなかで少しだけ心が弾むような豊かさをお届けするWEBマガジンPARISmag(パリマグ)から、トーストがおいしいと評判の、神楽坂にある喫茶店「トンボロ」をご紹介します。

観光客で賑わう新しいショップと、古き良き街並みがミックスされた街「神楽坂」。

駅に降り立ち、坂を下った路地の先にある喫茶店が『トンボロ』です。

ステンドグラスの扉を開けて中に入れば、コポコポとお湯の沸く音が響く、密やかな空間が。

欄間から溢れるあたたかな光が木のカウンターを照らし、厳かな雰囲気が漂います。ただ椅子に腰掛けているだけで心が浄化されるようです。

ちなみに扉が2つあるのは、お客様を迎えるドアと、用事を済ませる勝手口を別々にするため。勝手口からは、ご近所の方がおすそ分けを下さることもある、地元に根付いた『トンボロ』らしいしつらえです。

「変わらずそこにある」という安心感

神楽坂で建築設計事務所を営んでいる店主の平岡伸三さん。すぐ隣にある町工場が閉鎖されるという話を聞き、以前からやりたいと思っていた喫茶店を開店することに。

現在は設計をしつつ、喫茶店を運営。家族で住んでいるのは2階のスペース。店主の生活と一体となった店には、遠く海外からの観光客はもちろん、ご近所の常連さんも多く訪れます。

流行と伝統が共存する神楽坂で、時代の流れに巻き込まれず店を守り抜く秘訣を聞くと、「『ここに来ればいつもの味が楽しめる』と、訪れる人が幸せになってくれたらうれしい。新しい物ばかり追い求めるばかりでは不完全になります。無理をしないのがコツ。」と、平岡さん。常連客が多いのは「変わらないいつもの味がある」という安心感があるからかもしれません。

お客さんと目線が合うように、高さにこだわって作られたカウンターの向こうに立ち、構いすぎず、突き放しすぎず、ほどよい距離感でお客さんと接しています。

この穏やかな空気に心癒されて、長い時間ここで過ごす人も多いそう。中には、朝モーニングを食べに来て、夕方の五時までいたという“ツワモノ”もいるのだとか。

トーストを2度焼きした“さっくり食感”

「お客さんには“いつ来ても変わらない”という安心感を与えたい」という思いから、トラディショナルなメニューが並びます。人気は創業時から変わらない「モーニングセット」。

店主お手製のパンのカットガイド。縦に刺さっている棒が何本かによって厚みを変えられるそうです。ちなみに「モーニングセット」のトーストは3本なのだそう。

トーストは焼き色が強め。その理由は、1度軽く焼いてバターを塗り、さらに焼いてバターの香りを立たせているから。

2度焼くことで、食感もサクッと耳まで香ばしく、中身はふんわり。バターが甘く薫り幸せな気分にさせてくれます。

「ほどよく厚みがあるのはパンでお腹いっぱいになってほしい」と厚みのあるパンですが、細長く切ってあるのでスマートに口に運びやすく、細かいところまで店主の心配りが感じられます。

毎日食べに来る人もいるので、サラダは日替わり。付け合わせのイチゴジャムも懐かしく、その甘酸っぱさにホッとします。

パンのメニューは、ココナッツバターに蜂蜜を練り込んだ新製品「ココナッツバターハニートースト」も優しい甘さで人気だそうです。

この街で長く愛されてきたトーストをいただけば、気持ちも新たに1日をスタートできそうですね。

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