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堺雅人『鎌倉ものがたり』妻との関係が大事な物語。高畑充希の演技は底知れない!?

  • 2017.12.7
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NHK大河ドラマ『真田丸』の堺雅人が、『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズや『永遠の0』(13)の山崎貴監督の最新作『DESTINY鎌倉ものがたり』に主演。しかも高畑充希とかなり年齢の離れた夫婦役で初共演しています。

本作は、古都・鎌倉を舞台にしたファンタジーで、人間だけでなく幽霊、物の怪、魔物に妖怪、神様、仏様、死神、貧乏神などが住んでいます。堺さんが演じるのは、鎌倉で起こった殺人事件の捜査協力をするミステリー作家の一色正和役。高畑さんは新妻・亜紀子役を演じました。堺さんに年の差カップルを演じられた感想、久々の映画出演についてお話を伺いました。

■大きな世界のなかの小さな夫婦の物語

主演を務めた堺雅人さん

――初の山崎組に参加されてみていかがでしたか?

物語のなかで、いわばホスト役の夫婦である僕と高畑さんが山崎組初参加で、堤真一さんらゲストの人々が山崎組の常連という不思議な逆転現象が起きていました。だから一色家の屋敷からクランクインしたのがありがたかったです。腰を据えて、常連の皆さんを迎えられた気がします。スケジュールに感謝ですね。

© 2017「DESTINY鎌倉ものがたり」製作委員会

監督のお人柄のせいか、とても温かい現場でした。現場にいらっしゃる山崎組常連の方々も、やさしい方ばかり。だれが現場を引っ張ってるのかわからない、ふわっとした居心地の良さがありました。その“ふわりとした感じ”は一色正和のキャラクターのようで、演じる上でも良かったかなと。

――4年ぶりの映画出演ですが、久しぶりの映画の現場はいかがでしたか?

じつは、4年ぶりの映画ということはあまり意識していなくて。ただ始まるときに思ったのは、クランクインが久しぶりだということでした。大河ドラマの現場が長かったせいか、新しく始まるのはこんな感じだったのかと、新鮮に感じました。新しい現場が始まるのは楽しいな、でも怖いなとあらためて思いました。

――『DESTINY鎌倉ものがたり』の脚本を読まれてどんな感想を持ちましたか?

大きな物語だけれども、よくよく読んでみると「夫婦という小さな単位の話」なんですよね。大きな世界の中で起こる小さな世界の話というギャップがおもしろく感じました。まずは、「妻との関係」をしっかり演じていくことが、作品全体として大事なところなんだろうと思いました。

作品の規模や上映館数などはまったく考えていなかったのですが、できあがってみれば超大作でした。小さな劇場で高畑さんとふたり芝居をやっていても、同じくらいの楽しみ方ができたんじゃないかという物語で…。シンプルな物語だし、まるで絵本をめくるような風合いの映画だと思います。

■年の差妻の高畑充希とのラブラブについて

© 2017「DESTINY鎌倉ものがたり」製作委員会

正和は、無邪気で朗らかな亜希子をやさしく見守ったり、ときには彼女にわがままを言ったりと、 “新婚夫婦あるある”のエピソードが作品の中にはいっぱい登場します。

――高畑充希さんと夫婦役での初共演はいかがでしたか?

高畑さんは同じ時期にNHKの隣のスタジオ(高畑充希さんは朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』に出演)にいらしたので、廊下でときどきお会いする機会がありました。「いつかご一緒したいですね」と言っていたら、今回初共演できることになってうれしかったです。

彼女は撮影当時、まだ24歳で、僕とはずいぶん年が離れていたのですが、なぜかよくわからないけど、同僚か先輩くらいの気持ちで、すごい信頼感を勝手にもっていました。

あとから聞いたら、現場での彼女はすごくビクビクされてたそうで。たしかにキャストは全員ベテランでそうそうたるメンバーだったので、そりゃあ緊張するよなあと。もっとやさしくするべきだったなとあとから思いました。

――年の差夫婦ならではのやりとりがおちゃめで可愛かったです。

頭から順番に撮っていったのですが、山崎監督から「はたから見て恥ずかしくなるくらいイチャイチャしてください」と言われまして、そこは面食らっちゃいました(笑)。でも、できあがった映像を観たとき、山崎監督から「そのラブラブさが良かった」とおっしゃっていただけたので、僕もそういうふうに演じられて良かったなと思いました。

――高畑さんも妻としていろんな表情をされていましたが、実際に間近で演技をされてみていかがでしたか?

前半はかわいいけど、後半では正和を守ろうする力強さがあり、生命力にあふれていました。おそらく高畑さんとじゃないと、できない夫婦役だったんじゃないかと思います。

でも、また次にお会いするときはぜんぜん違う高畑さんになっているのだと思います。そのへんの底知れなさも含めて、高畑さんの全貌が見えなかったです。いちばんの妖怪は高畑さんかもしれない(笑)。まだまだこんなもんじゃないと思っています。

■僕は“方向音痴”の役者だと実感

堺雅人さん「自分は方向音痴の役者です」と名言

――堺さんは長いキャリアのなか、浮足立つことなく、いまも真摯(しんし)な姿勢でお芝居に向き合っていらっしゃいます。何か心がけている点はありますか?

この前気づいたんですが、僕はひどい方向音痴なんです。方向感覚がある人は、世界が1枚の地図になっているらしく、例えば新宿から渋谷に移動したあと、どんなルートで移動したか、新宿がどちらの方向か、なんとなくわかるらしいですね。僕は毎回毎回、別の地図を開く感じなんです。

お芝居でもそうで、僕は前の現場のことはほとんど忘れています。ひどいときには、前のシーンのこともあんまり自信がない。演じるときに、新しい地図をいちいち開くんです。その頼りなさが、人には真摯に写るのかもしれない。

――キャリアを積んでいくと、その地図の精度は上がっていかないのですか?

それが精度が上がっていかないんです(苦笑)。方向感覚があれば、将来こうしたいから「今」これをしようという考えがもてると思うのですが、自分はそれができない。この先、僕自身もどこに行くのかよくわかっていないんです。

じつは山崎監督も方向音痴だそうで。そういえば「ここに行きたいからこのルートを通ってほしい」と指定するのではなく、いっしょに新しい地図を作ってくださるタイプの監督さんでした。

もちろんいろんなタイプの監督さんがいらして、それぞれに面白いのですが、今回はそういう山崎組が楽しかったです。

■ママが映画館でほっこりできますように

――本作をこれから観るママたちへのメッセージをお願いします。

お母さん方は、日々大変な毎日だと思います。だから「お疲れさまです」と心から言いたいです。なかなか映画を観るためのまとまった2時間を取ることは難しいだろうと思います。子どもとお母さんが一緒に映画を楽しめる映画館や上映回が増えるといいですね。

そういった子どもと楽しめる映画館があれば僕も観に行きたいと思っています。また、映画館に安くて良い託児所が増えるといいなあとも思っています。

本作はいろんな方に観てもらいたい映画です。いろんなことを思い出しながら図書館で絵本を読んでいるような感覚になる方もいらっしゃると思いますし、いまの生活を考えるながら観る方もいらっしゃるかもしれない。いずれにしても、映画館にいらっしゃるときは、ほっこりした時間を過ごせますようにと、切に祈っています。

『DESTINY鎌倉ものがたり』

© 2017「DESTINY鎌倉ものがたり」製作委員会

12月9日(土)より全国公開
ミステリー作家・一色正和(堺雅人)と年若い妻・亜紀子(高畑充希)は、人と人ならざるものたちが仲良く暮らす街・鎌倉で仲良く暮らしている。一色家には、実年齢130歳?の家政婦・キン(中村玉緒)や、正和の担当編集者・本田(堤真一)、貧乏神(田中泯)など、バラエティーあふれる面々が行きかいしていた。ある日、病に倒れた正和が目を覚ますと、亜紀子の姿が消えていた…。
夫婦の尊い絆を軸に、人に優しくする思いやりの大切さなどのメッセージがユーモアに包まれて優しく届けられる本作。まさに夫婦や親子で観るにはぴったりの感動作です!
(山崎伸子)

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