ピクサーのクリエイターに求められるのは人間性!?【ピクサー現地取材レポート5】

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出典:https://news.walkerplus.com/article/129115/

現在発売中のディズニー/ピクサー最新作の『カーズ/クロスロード』。その魅力の秘密を探るために潜入したピクサー・アニメーション・スタジオの現地取材レポート。その最後を飾る第5回は、日本人クリエイターとして本作に参加した原島朋幸氏を始め、本編を手掛けたアニメーターたちのこだわりにスポットを当てる。

まずは『カーズ』1作目からシリーズに関わっているアニメーターのボビー・ポデスタ氏に、ピクサー作品ならではの制作の工程を聞いた。

「ピクサーでは、どの作品も感情がしっかり伝わるように作ってきた。例えば、『ファインディング・ドリー』も単なるサカナたちの話ではなく“さまざまな困難をどう乗り越えていくのか”ということを描いている。『カーズ/クロスロード』も同じで、感情に訴えることを第一に作ったよ。泥んこレースのクレイジー・エイトで例えると、サーキット内で、マックィーン自身が今どこにいるのか、どっちに進めばいいのかわからなくなっている彼の葛藤を表現しているんだ。色んな場所でリサーチし、アニメーターやストーリーアーティストたちとアイデアを探っていきながらね」。

続いて、そんな『カーズ』の世界観が、どのように作り込まれていくのかをエフェクト担当のジョン・ライシュ氏に聞いた。

「エフェクトチームは、キャラクターに関わってくる火や水、砂にホコリなどの自然の演出を手掛けているんだ。それらを表現することによって、観ている人たちの感情をさらに揺さぶることができるんだ。最も大変だったチャレンジが、クレイジー・エイトでの泥の表現だ。液体でもなく、硬くもない泥をリアルに見せるのは難しく、何度も失敗を繰り返したよ。しかも映像の中では、キャラクターにちゃんと目が行くようにしないといけないので、エフェクト、照明、シェーディングといったチームが協力しあい、これまで以上に『カーズ』の新しい世界観を描くことができたよ」。

テクニカル・ディレクターのマイケル・フォン氏には、ビジュアルへのこだわりをいかにストーリーに落とし込んでいくのかを語ってもらった。

「タイヤが燃えたり、サーキットが爆発したりするのも、マックィーンが自分の危機を感じて切羽詰まっていることを表現するためなんだ。クレイジー・エイトのレースでは、ミス・フリッターの恐怖をリアルに感じられないといけないからね。そうやって試行錯誤をしながら、ストーリーボードを何度も何度も作り直していくんだよ。ピクサーでは“ストーリーが王様”なので、全てのショットがストーリーに影響を与えていくんだ」。

そして最後に、本作の重要シーンなアニメーションパートを担当した原島朋幸氏に、実際に手掛けたシーンを見せていただきつつ制作過程の話を聞いた。

「僕が担当したのは、スモーキー(ドック・ハドソンの旧友)のところで、マックィーンとクルーズが初めてトレーニングをするシーンなどいくつかあります。ピクサーでは最初にストーリーボードを作り、絵コンテやレイアウトを決めたうえで、キャラクターにアニメーションを付けていきます」

「このシーンでキャラクターはどのように考えて、どう動くかを僕たちアニメーターが作っていくんです。クルマがキャラクターなので走りの挙動には特にこだわっていますね。走行中でもしっかりとキャラクター性を出していますので、そのギャップを感じながら楽しんでいただきたいです」

現在ピクサーには3人の日本人クリエイターがいるとのこと。原島氏にピクサーで求められるクリエイター像を尋ねると、「部署によって求められるものは違うと思いますが、スキルを持っていることは当然のことなんです。その上で、この人と一緒に仕事がしたい!と思われる人間性が最も大事だと思います。それからイエス・ノーをはっきり言える人間であることが大切です。意見交換を繰り返しながら作品を作っていくスタジオなので、そこは意識しておくべき点ですね。僕自身はシャイなのですが(笑)」とのことだ。

最後にこれからピクサーでやってみたいことを聞くと「これまで色々な作品に関わってきましたが、やはりいつの日か『トイ・ストーリー』のキャラクターにアニメーションをつけたいですね」と教えてくれた。

今回の現地取材で、スタッフたちのこだわりを存分に聞いたことで、ピクサー作品が世界中のファンに愛される理由を垣間見ることができた。2018年3月16日には“死者の国”での冒険が描かれる『リメンバー・ミー』が公開予定。さらには『Mr.インクレディブル2(仮題)』や『トイ・ストーリー4(仮題)』も控える。これからも感情揺さぶる名作が、このピクサー・アニメーション・スタジオから誕生することは間違いなさそうだ。(Movie Walker・取材・文/Movie Walker)

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