振付業界の曖昧さに挑戦し続けて10年!振付稼業air:manインタビュー(2)

OK Goの最新大ヒットMV『I Won’t Let You Down』の振付や、世界の広告賞を総ナメにしたユニクロのウェブCM「UNIQLOCK」の振付を担当し、振付という裏方の役割ながら、一躍有名になった振付稼業air:man。今回はなんと教科書を出版!ということで、インタビューを敢行。インタビュー1本目では振付稼業air:manの設立までの経緯、今回は振付業界についての考えをうかがっていきます。

インタビュー1本目→ OK Goの最新MVを担当!教科書も出版!?今もっとも熱い振付ユニット、振付稼業air:manインタビュー(1)


Woman Insight編集部(以下、WI) 振付「稼業」という名前を付けたことで、我々はそういう職業のプロフェッショナルですよ、という意思表明をされたわけですね。


振付稼業air:man・杉谷一隆さん(以下、杉谷) そうですね。今までの方たちとか振付の現状を批判するわけではないのですが、ダンサー兼振付師やタレント兼振付師、という形でないと未だ成立していない状態なんです。本当に振付師としてだけやっていけている人は、片手の数もいないと思います。これだけダンスがあふれているのに、どうして振付師という仕事はボヤッとしているんだろう、っていうのは、おそらく「振付をします」じゃなくて、ダンサーをやりながら振付をする等の兼ねる仕事だからなんだろうなと。それもアリなんですけど、「振付だけします」という、「ネジだけ作ります」みたいな人たちってあまりいないなと思って。それをやってみたらどうなるかっていうのを、名前にわかりやすくこめています。「これだけでやるよ」ってアピールするのが、一番意識したことでもあります。


WI 振付師というと、「〇〇さんの××を振り付けた△△さん」みたいな文脈でしかお名前を聞くことがない気がしますね。


杉谷 そうですね、あとは「〇〇さんのお弟子さん」とかですね。あとはご本人がタレント活動もされているか。自分たちが出てきてから、もっと振付のユニットっていう形式を真似する人たちが出てくればいいと思っていたのですが、やっぱりあまり出てこない。それはやっぱりダンスは表現することがベースで、振付もその枠に入ってしまい過ぎていることが原因の1つだと思います。ある意味、僕達は真逆だと思っています。表現するのでは無い。表現させるのだ。踊るのでは無い。踊らせるのだと。今はダンスをやっている人があふれてきているので、それなりに「なんとなく」でできる需要も増えた分、生業でなくても「なんとなく」で回っているような節が見えるときがあり、危機感を覚えます。


WI ダンスが流行っていても振付業界が活性化しているようには思わない、ということでしょうか。


杉谷 そうですね……。カメラマンさんとかスタイリストさんって「のれん分け」みたいなシステムあるじゃないですか。一定期間、アシスタントを務めたら株分けというか、そういう独立の後押しみたいなものってあると思うんです。そういうのが、振付師は一切ないというか、そういう所を見ても、未だ職業として確立していないんですね様に思います。


WI 菊口さんが最初に杉谷さんに相談したように、「〇〇さんのアシスタント」だと、ずっとそのまま「〇〇さんのアシスタント」みたいな?


杉谷 そうですね。明確に「おまえ、(次は)やれ」みたいにバトンを渡すようなことってあまりないですね。独立したとしても、もっと奪い合うようなバトルをするならまだ健全でいいんですけど、師匠とお互いのテリトリーを邪魔しないように……っていうのが多いです。なので振付業界に関しては、疑問がいまだにあります。始めたときは、その辺を全部ひっくり返す感じで、air:manはとにかくウワッと複数名いて、悪く転ぶと徒党に見えるかもしれないけど、うまくいけば新たな振付師の価値観、ユニットとして見られるチャンスがあるなと思ったくらい、未開拓の業種でした。それでやってみて1年経ってダメだったら、日本における振付っていうのは、そういう考えでは無理なんだ、クリエイティブよりアーティスティックが求められる土壌なんだ……すごい失礼な言い方ですけど、それならエンターテイメント以前だな。そう思ってあきらめようっていうのがもともと菊口と話していたことですね。


WI そのころはおいくつでしたか?


杉谷 27歳くらいですね。


WI では、まだもう少しチャレンジしてみてもいいかな、とかそういう年ですよね。そのときは何人いらっしゃったんですか。


杉谷 最初の本当のオリジナルメンバーっていうのはこの2人ですね。air:manっていうのは11人メンバーがいて、演劇集団air:manっていうのもあるんですけど、演劇やる場合のみ集まってくれる人たちです。「映画泥棒」をやっているメンバーがいたり、今はWORLD ORDERのメンバーとして活動していたり……(笑)。


WI WORLD ORDERのメンバーにもいらっしゃるんですか?


杉谷 そうなんです。初め、須藤元気さんの入場曲を僕が担当していて、その流れで「WORLD ORDERをやるんだけど」という話があったものの、うちらもちょうど振付稼業として始めたときと重なっていたので、自分がどっぷりと手伝うことはできないという話をして。結果、うちのメンバーから2人参加という流れになりました。

彼らも「芝居やるよ」っていったら集まってくれると思いますが、振付稼業やるよっていうときにはメンバーみんな「いいよ、俺らは」っていう感じでしたね。マイペースでふわっとやるのがコンセプトの集団だったので。もともとお互いの連絡先も家もわからないまま10年以上一緒にいたやつらなんで……。今はさすがに携帯電話の番号はわかりますが、どこに住んでいるのかとかは知りません。そういうのがあって、air:manの中で振付稼業をやるときは振付やって、演劇やるときは演劇air:manとしてまた人が集まれば良いね。、っていう状態です。


WI ご自分で演者になるのと、客観的に演者を見る立場と、似ているようで全く違うような気がするのですが、そこに対してのどちらかでなくてはならない、みたいなこだわりはなかったのですか?


杉谷 僕俺は演劇のときも脚本・演出側なので、表に出るということ自体あまり好きではないです。菊口もそこは徹底していて、彼女はメディアに取り上げられたときも「出たくない」っていう意見でしたね。自分に関しても、引いて見ているほうが好きです。


WI ご自分の作った世界観を見てもらうのが好き、ということですか?


杉谷 いや、世界観を見て欲しいというよりも、単純に踊っている人を見るのが好きです。


WI では、当初はそういうふうになると考えていたわけではないけれど、今は結果として理想的な状態に近づいているわけですね。


杉谷 そうですね。最近振付の仕事で再び演劇と関わったりするようになって、ぐるっと一周回ったような感じがあります。「大人計画」や「グループ魂」の振付をずっとやらせていただいているのですが、やっと「杉谷くんは、昔お芝居やってたんだよねえ」みたいな話ができるようになって、普通に関われるようになった感じがあります。(演出家・俳優の)河原雅彦さんが、古田新太さんとキョンキョン……小泉今日子さんと舞台をやるんですけど(※編注 歌謡ファンク喜劇『いやおうなしに』)、その振付に現在入っているんです。河原さんとは、昔同じ時期に下北沢の本多劇場とかで演劇集団air:manとして一緒のイベントに参加したりしていたのですが、そういった経験が15年経って、またぐるっと繋がってきた感じがします。


WI 今までやってきた経験や人との繋がりが、意図せずにいままた生きてきた感じですね。


杉谷 そうですね。24、25歳くらいのころに、いわゆる「東京の若手の小劇場の人たちが集まる演劇祭」みたいなのがよくあって。堺雅人さんなんかは「小劇場のプリンス」と呼ばれて当時から別格ではあったのですが、若手っていうくくりで皆で公演をうったりして。今は、そのときの人たちにCMやテレビの番組で振付たりもするので、不思議な感覚というか、面白いもんだなと思います。お金の問題とかいろいろあったけど、悪いことばかりではなく、良いことのほうが多かったなと改めて思います。

一般人からはまったく見えることのない「振付業界」。業界のシステムを変えるというのは、どの業界においても大変ですよね。特にクリエイティブなジャンルにおいては「そういうものだから」で同じシステムを通っていくことを美徳とする傾向にあります。そんな困難を乗り越えて10年の振付稼業air:man。ユニットとしてどんなことをしてきたのかをさらにうかがっていきます。(安念美和子)

インタビュー1本目→ OK Goの最新MVを担当!教科書も出版!?今もっとも熱い振付ユニット、振付稼業air:manインタビュー(1)

http://www.amazon.co.jp/dp/448780796

『振付稼業air:manの踊る教科書』(¥2,160/東京書籍刊)

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提供元: CanCam.jpの記事一覧はこちら
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