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【ビタミンB、ビタミンB1ほか】ビタミン12種類についてまとめ。

  • 2017.11.16
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栄養バランス、栄養たっぷり……とは言うけれど、栄養素のこと、実はよく知らなかったりする。どんな食材にどんな栄養素が含まれているのか?それは体にどんな影響を与えるのか?まずは知っていると便利な医食同源の基本をご紹介しよう。

栄養や食生活に造詣が深い市川先生に伺った。
「医食道源といいますが、医療現場では、食事の指導や管理がとても重視されるようになりました。病気の種類や病態にあわせ、医師、看護師、管理栄養士が、きめ細かい『栄養ケア』をすることで、いい結果が得られ、病後の患者さんが食生活を見直し、健康を維持できることに、貢献できていると思います。このノウハウを病気の予防やアンチエイジングにも、ぜひ役立てていただきたいですね」(市川先生)
34種類の栄養素の中でも、ビタミン類について解説していただく。

【ビタミンA】

日本人の食事摂取基準(※)

ビタミンAを多く含む食品

レバー、あん肝、銀ムツ、うなぎ、銀ダラ、モロヘイヤ、ニンジン、かぼちゃ

ビタミンAとは?

皮膚、のど、目、鼻、肺、消化管など粘膜を正常に保つために必要なビタミン。緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、ビタミンAの前駆体。抗酸化力を持ち、活性酸素を消去するほか、免疫力を高めるといわれる。β-カロテンはビタミンAよりも吸収率が悪い。しかし油脂と一緒に摂取すると腸管からの吸収がよくなる。

ビタミンAと体のトラブル

ビタミンAは脂溶性ビタミンなので、過剰摂取すると体内に蓄積して頭痛や嘔吐、脂肪肝などを起こすリスクが高まる。β-カロテンの状態であれば過剰症は生じない。欠乏すると粘膜が脆弱化して感染症になりやすく免疫力も低下する。

【ビタミンD】

日本人の食事摂取基準(※)

ビタミンDを多く含む食品

あん肝、紅サケ、カラフトマス、サンマ、イワシ、きくらげ(白黒)

ビタミンDとは?

カルシウムやリンの吸収を促進して骨の健康を保つ活性型ビタミンDは、血液中のカルシウム濃度を上昇させて、骨の形成を促進する。

ビタミンDと体のトラブル

ビタミンDを過剰摂取するとカルシウムが増えて血管、心筋、腎臓などに沈着して腎機能障害や高カルシウム血症のリスクを高める。不足すると骨軟化症、骨粗鬆症のリスクが高まる。

【ビタミンK】

日本人の食事摂取基準(※)

ビタミンKを多く含む食品

アシタバ、ツルムラサキ、カブの葉、春菊、おかひじき、納豆

ビタミンKとは?

ケガなどで出血した時の止血をする血液の凝固に関わる脂溶性のビタミン。カルシウムが骨に沈着するときに必要な成分を持ち、ビタミンDとともに、骨の健康に重要。

ビタミンKと体のトラブル

腸内細菌が合成してくれるので、不足することはめったにないが、母乳のみで育てられた新生児は、腸内細菌叢が少ないので欠乏しやすいが、人工乳と併用していれば問題ない。

【ビタミンE】

日本人の食事摂取基準(※)

ビタミンEを多く含む食品

かぼちゃ、キングサーモン、ヒマワリ油、うなぎ、アーモンド

ビタミンEとは?

強い抗酸化力を持つビタミンで脂溶性。不飽和脂肪酸が活性酸素で酸化されて過酸化脂質になるのを防ぎ、細胞を酸化ストレスによる老化から守る。

ビタミンEと体のトラブル

過剰症は起きにくく、まれに脂肪肝などを起こす。不足すると感覚障害や神経症状、貧血などをまれに起こすことがある。

【ビタミンB1】

日本人の食事摂取基準(※)

ビタミンB₁を多く含む食品

豚肉、うなぎ、玄米ご飯、ハム、大豆

ビタミンB₁とは?

糖がエネルギーに変わるときに必要な補酵素の役割を担う。脳の中枢神経や手足の末梢神経の働きを正常に保つ。白米は玄米に比べて80%もビタミンB₁の量が少ない。

ビタミンB1と体のトラブル

ビタミンB1が不足すると脚気の症状、手足のしびれ、疲れなどが起きる。

【ビタミンB2】

日本人の食事摂取基準(※)

ビタミンB2を多く含む食品

レバー、うなぎ、カレイ、カニ、牛乳、サバ、納豆

ビタミンB2とは?

糖質、タンパク質、脂質を分解してエネルギーに換える時の補酵素として欠かせないビタミンB2。皮膚、髪、爪などの成長にも必要で、発育のためのビタミンと呼ばれる。過酸化脂質の生成を抑える抗酸化の働きを持つ。

ビタミンB2と体のトラブル

ビタミンB2が欠乏すると皮膚のトラブル、口内炎、髪のトラブルなどのリスクが高まる。子供の場合、成長障害を起こすこともある。

【ビタミンB6】

日本人の食事摂取基準(※)

耐用上限量はビタミンB6の量ではなくピリドキシンとしての量

ビタミンB6を多く含む食品

カツオ、マグロ、サケ、牛レバー、鶏のササミ、バナナ、サツマイモ

ビタミンB6とは?

タンパク質の分解と再合成に欠かせないビタミンで、皮膚や髪、歯の健康に欠かせない。脂質の代謝もサポートして、脂肪肝を防ぐ。アドレナリン、ドーパミン、ギャバ、セロトニンなどの神経伝達物質の合成にも欠かせないビタミン。

ビタミンB6と体のトラブル

ビタミンB6が欠乏すると目、口、鼻、耳のまわりの湿疹、肌荒れ、貧血などを起こすことがある。

【ビタミンB12】

日本人の食事摂取基準(※)

ビタミンB12を多く含む食品

レバー、カキ、サンマ、あさり、シジミ、ホタテ

ビタミンB12とは?

造血作用に関係するビタミンで、赤血球を作り出す働きに関与。脳の正常化にも影響があると考えられている。

ビタミンB12と体のトラブル

ビタミンB12が不足すると貧血になったり下肢のしびれ、神経障害などを起こす。ビタミンB12は腸内細菌も合成するので、欠乏することは少ないが、植物性食品にはほとんど含まれないため、ベジタリアンに不足する人が見られる。

【ナイアシン】

日本人の食事摂取基準(※)

耐用上限量はニコチンアミドのmg量、( )内はニコチン酸のmg量

ナイアシンを多く含む食品

たらこ、カツオ、レバー、ムロアジ、マグロ、落花生

ナイアシンとは?

ビタミンB群の一種で、別名ニコチン酸、ニコチンアミド。糖・脂質・タンパク質のエネルギー代謝に補酵素として関与している。

ナイアシンと体のトラブル

ナイアシンの過剰摂取は肝機能障害、嘔吐、下痢などを引き起こす可能性があり、不足すると皮膚炎、頭痛、などを起こす。アルコールを飲んだときに発生するアセトアルデヒドの分解に必要な補酵素。

【ビタミンC】

日本人の食事摂取基準(※)

ビタミンCを多く含む食品

菜の花、赤ピーマン、柿、グアバ、ネーブルオレンジ、芽キャベツ、ブロッコリー

ビタミンCとは?

活性酸素を除去する抗酸化力に優れ、皮膚や血管の老化を防ぎ、コラーゲンの合成を促進し、抗ストレス作用を持つホルモンの合成を促進する。野菜では、葉の部分よりも芯の部分にビタミンCが多い。

ビタミンCと体のトラブル

水溶性なので、体内に蓄積せず排出される。欠乏すると毛細血管がもろくなったり出血が多くなったりするほか、疲れやすく、ストレスを感じやすくなる。

【ビオチン】

日本人の食事摂取基準(※)

ビオチンを多く含む食品

レバー、肉、卵、豆類、魚

ビオチンとは?

ビタミンHとも呼ばれ、エネルギー代謝をサポートする。健康な皮膚や髪に必要不可欠で、皮膚炎予防をすることで発見された。

ビオチンと体のトラブル

腸内細菌によって合成されるので不足することはないが、抗生物質を服用して腸内細菌のバランスが崩れると不足しがちになり、脱毛や皮膚炎を起こすこともある。

【パントテン酸】

日本人の食事摂取基準(※)

パントテン酸を多く含む食品

鶏レバー、カレイ、ニジマス、たらこ、うなぎ、納豆、アボカド

パントテン酸とは?

ビタミンB群の一種で、エネルギー産生を助けたり、副腎皮質ホルモンや神経伝達物質の合成、免疫抗体の合成、薬物の解毒にも働くビタミン。

パントテン酸と体のトラブル

腸内細菌によっても合成されるので不足することは少ないが、栄養失調などで欠乏すると皮膚炎、副腎の障害、頭痛、疲労感などを感じることがある。

(※)健康な個人、または集団を対象として、国民の健康の維持・増進・生活習慣の予防によって生じるエネルギー及び栄養素欠乏症の摂取量の基準を示すもの。栄養素の摂取不足によって生じるエネルギー及び栄養素欠乏症の予防に留まらず、過剰摂取による健康障害の予防、生活習慣の一次予防も目的とする。

教えてくれたのは
同志社大学生命医科学部 医生命システム学科教授 医学博士
市川寛先生

1984年京都府立医科大学卒業後、同大学附属病院第一内科研修医、’86年舞鶴赤十字病院内科医員、’88年京都府立医科大学附属病院第一内科修練医、’89年より国立舞鶴病院、松本病院、武田病院消化器内科医長。’94年より米国ルイジアナ州立大学メディカルセンター研究員、’97年六地蔵総合病院医員、医長、副院長などを経て、2001年より京都府立洛東病院内科第一副医長、’03年京都府立大学人間環境学部食保健学科准教授、’09年より現職。専門は消化器内科学。 

取材・文/宇山恵子
2010年7月号「HBR」より

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