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家族愛を知らない二宮和也×愛の深さを知る西島秀俊の最後のスパイスは?『ラストレシピ』

  • 2017.11.1
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© 2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 © 2014 田中経一/幻冬舎

嵐の二宮和也を主演に迎え、『おくりびと』(08)の滝田洋二郎監督がメガホンをとった『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』が11月3日(祝)より公開されます。

本作は二宮くん演じる天才料理人が、消えたレシピの解明に挑むミステリーですが、その謎をひもとくと、かけがえのない夫婦愛や家族愛の結晶がちりばめられていました。

■西島秀俊と宮崎あおいが織りなす夫婦愛

© 2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 © 2014 田中経一/幻冬舎

二宮くんが演じたのは、一度食べた味を完全に再現できる絶対味覚“麒麟の舌”を持つ料理人・佐々木充。ある日、中国料理界の重鎮からの依頼で、幻のフルコース「大日本帝国食菜全席」の復元を依頼されます。

そのレシピは、1930年代の満州にいたもう1人の天才料理人・山形直太朗(西島秀俊)があみ出したものでした。もと天皇の料理番だった彼は、まさに身を粉にして、日本と他国の料理を融合させた新しいレシピ作りに挑みます。その山形にずっと寄り添うのが、宮崎あおい演じる妻の千鶴です。

身重な体でありながら、夫について満州国に移住。完ぺき主義者の山形が、自分を追い込みすぎたり、助手に当たったりした時、千鶴は周りの気づかいもしながら夫が働きやすい環境を整えようとします。当時はまだ珍しかった、レシピを写真に残すことを思いついたのも千鶴でした。

千鶴は才能をもつ夫の一番の理解者で、常に天才料理人の妻として腹をくくっています。夫に従順でありながらもでしゃばりすぎず、陰で支えていくという絶妙な距離感は、まさに内助の功の鏡かと。

あおいちゃんは、『神様のカルテ』のシリーズ2作や、同じく滝田洋二郎作『天地明察』など、数多くの作品で夫を立てる賢い妻役を好演してきました。今回は妻としての献身ぶりはもとより、母としての深い愛も紡いでいます。

■服部幸應監修の豪華けんらんなメニューたち

© 2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 © 2014 田中経一/幻冬舎

原作は、伝説のTV番組「料理の鉄人」を手がけた作家・田中経一。そしてスクリーンからにおい立って来そうな数々のメニューを監修したのは、同番組で解説を務めた料理界の重鎮・服部幸應です。

もはや芸術の域にあると言いたい「大日本帝国食菜全席」のメニューは、見ているだけでうっとり。味覚だけではなく、視覚にも訴えかけてきます。

© 2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 © 2014 田中経一/幻冬舎

また、充が作るオムライスや、綾野剛演じる充の幼なじみ柳沢健が豪快に中華鍋を振るチャーハンなども見るからにおいしそう。空腹で観ると、間違いなくおなかがなる映画となっています。

■料理の最大のスパイスとなるのは愛

© 2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 © 2014 田中経一/幻冬舎

現代と1930年代というふたつの時代を行き来しながら、レシピのルーツが解き明かされていく本作。ミステリーとしてのストーリーテリングの巧みさはもとより、本作で特筆すべきなのは、クライマックスの落としどころが、壮大な愛という点です。

愛を渇望していた充と、愛の深さをかみしめた山形。その愛は、料理を介してひとつの大きな愛に結実します。そこで豪華けんらんな料理だけではなく、愛する家族のために作る家庭料理の素晴らしさもあらためて実感。料理の最大のスパイスとなるのは、愛なのかもしれません。

確かに心に残る料理は、作った人や作ってくれた人、いっしょに食べた人などの思い出とセットになっていることが多いですよね。映画を観終わった後、日頃作る家庭料理への向き合い方も少しだけ変わるかもしれません。

『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』

© 2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 © 2014 田中経一/幻冬舎

11月3日(金)公開
公式サイト:http://www.last-recipe.jp/
(山崎伸子)

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