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アブない趣味? グロテスク漫画を好む子どもと少年犯罪の関連性

  • 2015.1.8
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【ママからのご相談】

中学三年生の娘がいます。最近、娘の部屋を掃除したところ、巨人が人間を頭から食べたり引きちぎったりする、残酷な描写の多いマンガがたくさん出てきました。普段はとてもいい子なのですが、受験のストレスでしょうか。取り上げたほうがいいのか悩んでいます。

●A. 一緒に読んで、フィクションの世界を楽しんでみて!

ご相談ありがとうございます。同年代の娘がいる、ライターの川中です。

残酷な描写の多いマンガを子どもが読んでいる様子を初めて見つけたときは確かにびっくりしますよね。私は友人にクリエイターが多いので、「ああ、もうそういう年になったんだなぁ」と逆に感慨深くなりましたが、おそらく一般的なご家庭であれば戸惑われるお気持ちはよくわかります。

●少年犯罪の増加も、アニメや漫画との関連も嘘!

とくに最近は、ニュースなどで児童への性的犯罪や残酷な少年事件が起こるたびに、アニメや漫画の関連性を取り上げる傾向があるので、なおさら、「危険?」と感じてしまうのかもしれません。

しかし、2012年にはすでにデンマークの法務省が、「アニメと児童への性的犯罪との関連性は一切ない」という公式見解を出しているように、創作と犯罪の関連性は薄いことがわかっています。さらに日本国内の調査でも、少年犯罪の発生数は昭和25年をピークに下がっていて、増加している事実はありません。いずれもまったく根拠がないことです。

●しょせんフィクションはフィクション!

“人が死ぬ”、“殺される”、“苦しい目に合う”。これらの体験は、めったに日常では体験できません。漫画などに描かれる世界はあくまでフィクション。日常とはかけ離れているからこそ、安心して没頭して楽しめる世界なのです。表現方法こそ違いますが、いわゆるどろどろの愛憎劇を描く昼ドラなどと、同じものだと思っていいのではないでしょうか。

物語を読むと、人は考察したり、登場人物に自己投影したりして、自らの体験に置き換えます。登場人物に対して怒ったり、話の面白さを楽しんだり。それは子どもでも大人でも変わりません。特に思春期という多感な時期でしたら、なおさらです。

●心配なら、一緒に読んで考察してみては?

血を流す、人や自分の痛みを知る、ひどく汚れたりする、などのリアルな機会が少ない現代日本。心理カウンセラーによると、「自らの体験や感情を補うべくグロテスクな世界が描かれたマンガに興味を惹かれることは健全な心理」なのだとか。むしろ抑制させる方が、感情の発散する場所を奪うことになるので、その感情をエスカレートさせてしまう可能性もあるようです。

ご相談者さんは苦手かもしれませんが、子どもが興味を持つ世界がどんな世界なのか、一緒に読んでみるとよいでしょう。子どもがどんな視点で見て、作品を読み込んでいるのか、聞いてみると新たな発見があるはずです。

私自身、子どもたちが好むマンガや作品は、時間が許す限り目を通しますし、読めなくても、どんな話なのか、そしてそれを読んだ感想を聞くようにしています。同じものが好きになれば楽しいですし、そこで対話も生まれるので、子どもの考えていることの一端を共有することができます。

頭ごなしに反対したり心配したりするのではなく、まずは子どもがどんな世界を好んで見ているのか、一緒にのぞいてみてはいかがでしょうか。

【参考リンク】

・少年非行の傾向(平成25年) | 警察庁生活安全部少年育成課(http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/toukei/hikou/hikou25.pdf)

(ライタープロフィール)

川中利恵(在宅ワーカー)/IT系からインタビュー、コラムなど雑多なジャンルの執筆を手がける在宅ワーカー。21歳のときにデキ婚し、2児に恵まれるも26歳で離婚。以降、女手一つで子どもたちを育てつつ、現在に至る。都内開催の一人親家庭支援や在宅ワーク系セミナーで壇上に立つことも。子どもたちとは少し遠くから見守るスタンスで、それが結構面白い。ポリシーは、「やりたいことがあるなら時間を作ればいいじゃない!」

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