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【男から見た結婚のリアル】第4回「結婚する相手をまちがえてしまったかもしれない」と思った瞬間

  • 2017.10.13
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結婚に際して、釣書が必要になりました。
必要になった経緯を書くと長くなるので書きませんが、とにかく必要になりました。
釣書って、そもそもなんと読むのかわからない人もきっと、多いと思います。「つりしょ」とか「つりがき」と読みます。
ネットの情報によると、関東では「身上書」という言い方が一般的らしいですが、まあ今回は、その釣書(身上書)の話。

誰も怒らない話

釣書は、基本的にはお見合い結婚において必要とされているものだそうです。
お相手がどのような人なのかを知る書類だから、見合い結婚に限っていえば、ないよりあったほうがいい(ふつうはお互いに釣書を交わす)、というのは、なんとなく理解できます。
が、今では超超個人情報となっている本籍を、釣書に書かなくてはなりません。当然、学歴も職歴も書かなくてはならない。
だからたとえば、学力や人間性になんら問題はないものの、進学した大学が想像していたのとまったくちがったので大学を中退しました、という人は、「**大学中退」と書かなくてはならない。
それで全然OKな人もいれば、たまたま運悪く、じぶんに合わない大学に進学してしまい、しかもそれは親の手前、優等生的にお勉強した結果のことであって、ゆえに中退が本意ではない、という人であっても、そんな個人的事情を一切抜きにして「中退」と書かなくてはならない。
つまり、その人の歴史から人間味を抜いた書面、それが釣書(身上書)という解釈。
就職するときの履歴書に似ていなくもありませんが、中途採用の場合、ふつうは履歴書と職務経歴書をセットで出すでしょうから、まだ就職のときのほうが、人にやさしいともいえます。
職務経歴書には「**株式会社が倒産のため転職」とかって、(ウソでも)他人のせいにできることってあるからね。
倒産した、今はなき会社のことをちょっと利用しても、誰も怒らないし。

リンゴ3つでご愁傷様

この釣書、たとえば昔のカタい考えを持っている人が欲しがることがあります。
欲しがりません勝つまでは、なんて思想は全然なく、「結婚=釣書必須」という、ネジのオスといえば次にくるのはネジのメスしかね~だろ、的な考えしか持たない(持てない)人も、いまの時代に、まだいます。
でもそもそも釣書のことを、悪気なく100%知らない人も多い時代。
知らない人が、知るために、たとえばネットで「釣書」でググる。するとなにやら履歴書みたいなものだとわかる。
わかると「わたし、彼の両親に、なにか疑われているのかな」と、不快な思いを抱く人だって、当然出てくる。
ぼくの彼女もご多分に漏れず、イヤな思いを抱きました。だからぼくは彼女に言いました。
「なにもうちの両親は君のことを疑っているわけではない。明治時代の祖母の教えを守っている母親が、なんら検討することなく『結婚=釣書必須』と思っているから、釣書を求めているだけだ」と。
彼女はなにやら釈然としない様子でしたが、やおら「わかった」と短く言って、電話を切りました。

**

それから数日後。彼女からLINEで1枚の画像が送られてきました。
その画像は、釣書の下書きのようなものでした。彼女なりに「釣書」でかなりググって調べたらしく、ご丁寧に体重まで書かれてありました。リンゴ3個分、と。
どうやらぼくは、キティちゃんと結婚することになったようです。
「ちょっと内気で大人しい。控えめで恥ずかしがり屋さんで、女の子らしい」これがネットに出ているキティちゃんの性格だそうです。
「君、キティちゃんと真逆の性格やのにな」と、ぼくは彼女に言いました。
「そんなことを言うなら離婚するよ」と、彼女は言いました。「ああ、ええよ」とぼくは言いました。彼女はしれっと言い返してきました。
「まだ結婚してないから、離婚できるはずがないじゃない」と。
どうやらぼくは、結婚する相手をまちがえてしまったのかもしれません。(ひとみしょう/文筆家)

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