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やさしくせつない人間賛歌。石田香織さんの『きょうの日は、さようなら』 【今月のイチオシ★BOOK】

  • 2017.10.5
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【今月のイチオシ★BOOK】やさしくせつない人間賛歌。石田香織さんの『きょうの日は、さようなら』

河出書房新社 ¥1400
明けない夜はない。必ず明日は来る。どちらもよく聞くフレーズだけれど、本書を読むとその言葉たちが意味する力強さを再確認できる。5歳で母を亡くしたキョウコ。小学校2年生の時に父が再婚し、新しい母とキョウスケという兄ができた。家族仲よく暮らしていたのに、ある日突然、母も兄も姿を消してしまう。その十数年後、社会人になったキョウコがキョウスケと偶然再会してから物語は一気に動きだす。 時を隔てても濃い心のつながりを持つふたり。その周りでいつも漫才のような会話をしている個性的な面々も、一度は絶望したり、心底孤独になったり。皆、つらい思いを秘めつつ、“きょう”と向きあっている。登場人物すべてを愛おしく思ううちに、自分自身も励まされて……。大切な人たちが生きてさえいてくれればいい。そんなシンプルな結論に胸が熱くなる。
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