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【保湿・エイジングケアのカギ】知れば知る程深い「ヒアルロン酸」のすべて

  • 2017.10.2
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美しい肌に不可欠なもの。保湿に効果を発揮するもの……。美容通ならずともその存在はよく知っているつもり。でも、それって本当に正しい? 知れば知るほど深いヒアルロン酸のすべて!

教えて!「ヒアルロン酸博士」!

教えてくれるのは・・・
カネボウ化粧品(研究員・スキンケア担当)佐用哲也さん。20年以上にわたりヒアルロン酸を研究、その可能性を見出し続ける、まさに「ヒアルロン酸博士」。

Q: そもそも、「ヒアルロン酸」って、なんですか?

A :「細胞や組織にとって不可欠な『水』環境の維持をする成分です」

皮膚を中心に、ハリや潤いを保つ

「極めて高い水分保持能力を持っている、生体中でもっとも高分子の生体物質です。骨や筋肉など体の組織や体液に存在し、50%以上が皮膚に。ハリや潤いに重要な役割を果たしています。ところが年齢を重ねるほどにその量は減少。それによって肌のみならず、老化やトラブルの引き金になる可能性があるのです」

「皮膚に存在するイメージが強いけれど、じつは体全体に存在。関節や眼球、内臓などにおいても、クッションの役割を果たします。」

なんと!60代の皮膚ヒアルロン酸は30代の半分!

「年齢を追うほどに合成と分解のバランスが崩れ、ヒアルロン酸量が減少。多い肌と少ない肌とでは潤いやハリに大きな差が生まれます。」

ヒアルロン酸の豆知識

「蜂や蛇の毒には、ヒアルロン酸を分解する酵素が含まれています。ヒアルロン酸は組織や細胞を守る効果も担っているということ。」

「精子は卵子に到達するとヒアルロン酸を分解する酵素を放出、卵母細胞のまわりに存在するヒアルロン酸を分解し、侵入するんです。」

Q: どんな「ヒアルロン酸」のケアが必要なの?

A: 与える+つくり出すアプローチが必要です!

「寿命」が短いからこそ「つくり出す」が、重要

合成されたヒアルロン酸は、1~2日で半減。10数年と言われるコラーゲンに比べ、代謝スピードは格段に速い。

「ヒアルロン酸はつねに合成と分解を繰り返していますが、そのサイクルは非常に早く、皮膚の中で日々入れ替わっています。一方で、そのヒアルロン酸は分子が大きく、外から与えても皮膚の内部まで届きません。だから、つくり出すアプローチが必要なのです」

Q:「ヒアルロン酸」は、肌のどの部分に存在するの?

A: 表皮にも真皮にも存在し、それぞれに重要な役割を果たしています

それぞれに異なるアプローチが必要!

「どちらにも必要不可欠ですが、分子が大きく、外からは浸透しないのに加え、表皮と真皮の行き来が不可能。そこで、表皮と真皮に異なるメカニズムでヒアルロン酸が合成されることや、それぞれへのアプローチの必要性を遺伝子レベルで解明」

表皮のヒアルロン酸

「血管のない表皮では、表皮細胞の間を埋めるように豊富に存在し、栄養や細胞代謝物をすみずみまで拡散する『水路』のような役割を果たします。表皮ヒアルロン酸が減ると、表皮の生まれ変わりが乱れ、さまざまなトラブルにつながりやすいのです。」

真皮のヒアルロン酸

「真皮では、コラーゲン線維の隙間に閉じ込められるように存在。水分環境を維持するとともに、コラーゲンと共同して膨潤圧で弾力を維持する役割を果たします。真皮ヒアルロン酸が減ると、真皮全体が弾力を失い、ぱんと跳ね返すようなハリがなくなるのです。」

ヒアルロン酸を増やせば形状変化を防げる!?

「最新研究で、シワが深く、たるみが大きいほど真皮ヒアルロン酸の量が低下していることを発見しました。つまり、真皮ヒアルロン酸の低下と老化による皮膚の形状変化が深く関連していることが明らかに。この新知見は国際ヒアルロン酸学会で発表されたんです!」

ヒアルロン酸は未知の可能性を秘めた、エイジングケアの「鍵」

「ヒアルロン酸について知っているようで、じつは知らないことが多かったのではないでしょうか? まだまだ可能性を秘めているヒアルロン酸、研究者である私たちもその可能性にわくわくさせられています。最新知見からもわかるように、今後のアンチエイジングの『鍵』を握る成分に違いありません!」

コラーゲンやエラスチンに比べ、捉えづらいために、あまり着目されていなかったというヒアルロン酸。カネボウ化粧品はいち早くその重要性に着目、パイオニアとして研究を進めてきたという。

イラスト/いいあい、取材・文/松本千登世、構成/鬼木朋子

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