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留学生を10カ月間受け入れたムーチョさんが提案! 今から始める「ホストファミリー」のすすめ

  • 2017.9.10
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世界各国の留学生を、家族の一員として受け入れる「ホストファミリー」。異国の文化に触れられる、お金をかけずに英語を学べる、というメリットがある一方で、他人と暮らす上でのトラブルも気になるところです。そこで、ドイツ人留学生を10カ月間受け入れた、主夫で漫画家のムーチョさんにインタビュー。ホストファミリーとしての日常や娘さんの反応など、体験談を聞きました。

■娘たちの英語教育のために、15歳ドイツ人留学生のホストファミリーに
――最初に、ホストファミリーになったきっかけを教えてください。

ムーチョ:わが家には現在、10歳と8歳の娘がいます。僕も妻も帰国子女ということもあり、『英語を話せるようになって欲しい』という思いが強く、スカイプ英会話やアフタースクール(学童保育)などさまざまな方法を試行錯誤していました。娘たちはそれなりに楽しんでいましたが、肝心の語学力があまり伸びない。やはり、1日の大半を過ごす家庭の環境を変える必要性を感じたんです。そこで、Airbnbのホストに登録して、外国人旅行者を受け入れることにしました。

――家の中に外国人がいれば、自然と英語を聞いて話すようになる、ということですね。家に知らない人を泊めることに、奥さまの反対はなかったのでしょうか。

ムーチョ:妻は当初、反対していました。でも、説明会に連れて行ってセキュリティの話を聞いたり、僕自身がAirbnbの良さをプレゼンしたりするうちに、理解してくれるようになりました。ホストは1年半ほど続けたんですが、みんな良い人ばかりで楽しい経験でしたね。とはいえ、やはり数日〜1週間程度でいなくなってしまうので、人間関係を築くのは難しい。当時住んでいたマンションでAirbnbが禁止されてしまったこともあり、長期で受け入れるホストファミリーに興味を持つようになりました。そんな時にたまたま近所で開かれていたホストファミリー仲介業者の説明会に参加したところ、紹介リストに載っていた留学生がこちらの希望にぴったりだったんです。

――15歳のドイツ人の女の子ですよね。どういった点が希望と一致していたのでしょうか。

ムーチョ:娘たちに英語を学ばせるのが目的ですから、英語が得意なことは第一条件です。一般的にドイツ人は英語が上手ですし、発音もきれいなんですよ。若い方が娘たちと仲良くなりやすいと考えたので、15歳という年齢もベストでした。

――他人と同じ家で暮らす、という点に不安はありませんでしたか?

ムーチョ:やはり最初は不安でしたから、「まずは3カ月間だけ」という契約にしました。最初はお互いに気をつかっていましたが、1カ月が経った頃には他人という感覚がなくなり、家にいるのが自然になりましたね。とても良い子でしたし、10カ月まで継続することにしたんです。実は、家の中に、第三者がいることにはメリットがあって、子どもを怒鳴ったり夫婦ゲンカをしたりということがほとんどなくなったんですよ。人前で大声を出すのは、やはり恥ずかしいですからね。言い合いではなく話し合いをするようになったことで、家の中の雰囲気が良くなりました。


■子どもたちの英語を学ぶ動機付けに! 留学生を通し世界を知った10カ月間
――ホストファミリーとして、主夫であるムーチョさんの役割は大きかったと思われます。ご自身のライフスタイルに変化はありましたか?

ムーチョ:基本的に、ホストファミリー側がライフスタイルを変える必要はないんですよ。「お弁当に肉が多い」と言われたことがあったんですが、娘たちは肉が大好き。僕は毎朝3人分のお弁当を作っているので、彼女のために別のものを用意することはしません。 「食べないなら仕方ないね。でも変えないよ」というスタンスです。

――15歳というと難しい年頃ですし、トラブルはなかったのでしょうか。

ムーチョ:朝寝坊するとか、手伝いをサボるとか、小さなトラブルはたくさんありましたよ。彼女は背が高くて見た目は大人みたいでしたが、中身はまだまだ子ども。娘たちと同じように叱っていたので、「うざい」と思われていたかもしれません。例えば、露出の多いファッションを注意したら、「日本人は気にしすぎ」と言われ、「ここは日本だから合わせるべきだ」と言い合いになったこともありました。しょせんは他人同士なので、意見をすりあわせるのは大変。でもその分、分かり合えた時の喜びはひとしおでしたね。

――娘さんたちも、仲良くなれましたか?

ムーチョ:次女はすぐになついて、いつも一緒に遊んでもらっていました。長女とは趣味が合うようで、一緒にアニメのイベントなどに出かけていたようです。娘たちと仲良くしている姿を見るのは、親としても楽しく幸せな気分でしたね。ただ、彼女が日本語を身につけるスピードがとても早くて、娘たちとの会話は日本語になっちゃったんですよ。なので、英語力は思ったほど伸びなかったのですが、英語・ドイツ語・日本語を操る彼女を通して語学の大切さを学べたのが何より大きいと思います。海外に行って、外国の人と話すのは楽しい。楽しむためには英語を勉強するのが必要不可欠。というように、英語を学ぶための、長期的な動機付けができたと思います。

――今後もまた、ホスフトファミリーをやりたいと思われますか?

ムーチョ:もちろんです。彼女が帰国して以来、「38歳になってこんなに寂しいことがあるのか」という気持ちを味わっています。妻の方は割とドライなんですが、一緒にいる時間が一番長かった僕が一番つらいんですよね。10カ月間ホストファミリーをやってみて気づいたのは、情報の少なさ。そこで、Facebookで、ホストファミリーが情報交換できるグループホストファミリー・ジャパンを立ち上げたんです。例えば、僕が利用していた仲介業者では毎月1万円が支給されていたのですが、調べてみると1日2000円のところもあるんですよ。そういった情報も、知らないと損をしてしまいます。日常のちょっとした悩みやトラブルなども、ホストファミリー同士で気軽に話し合える場にしたいと思っています。

ムーチョ:なかには『英語が話せないから』とか『部屋が狭いから』とホストファミリーを諦めている人もいますが、まったく問題ありません。言葉が通じなければスマートフォンの翻訳アプリなどを使えばいいですし、お子さん2人と同じ部屋に留学生を受け入れている家庭もあります。お金をかけずに英語や異文化が学べるホストファミリーを、ぜひみなさんにもおすすめしたいと思っています。

ムーチョ PROFILE
主夫歴約10年。WEB漫画家。慶応義塾大学卒業後、オリエンタルランド人事部を4年で退職し、2007年より専業主夫として家事・育児全般を担当。ウェブ漫画を執筆しながら、外国人留学生を受け入れるホームステイを身近にする活動をしている。
・ホストファミリー・ジャパン
・ムーチョ
・育児と家事4コマ漫画ブログ「カタルエ」
(まちとこ出版社)

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