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チーズやバターは化学の証! 食材の秘密に迫る実験クッキング

  • 2017.8.18
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© Westend61 - Fotolia.com

「料理は化学」といわれるように、食材の性質を知ることで、色や形が変化するユニークな「料理実験」を親子で楽しめますね。

化学の仕組みなどを説明しても、小さな子どもはわからないかもしれません。でも、目の前で変わる食材の色や形を観察するところが肝心。自由研究のテーマにもなるし、夏休みを利用して子どもと一緒に料理実験を楽しんでみませんか?

■料理実験の登竜門! 変化がわかりやすいドリンク
紅茶にレモンを入れると、色が薄くなりますよね。これは紅茶の成分テアフラビンが、レモンのクエン酸に反応して色素が薄くなる現象。酸味のあるフルーツなら同様の効果が得られます。

一方で、ハチミツを入れると色が濃くなるのですが、これはハチミツに含まれる鉄分にテアフラビンが反応するためです。アルカリ性の食品、たとえば重曹でも色が濃くなる現象が見られます。

これをわかりやすく観察できるのが、「マロウブルー」というハーブティーです。その名の通り、入れたては美しい青色をしていて、時間とともに紫へと変化していきます。ここにレモンを入れると、マロウブルーの色素と反応してピンクに! レモンの量によっても色の濃さが変わるので、少しずつ加えていくといいでしょう。

紫色になったマロウブルーに重曹を加えると、青い色に戻ります。ほかにも、酢やにがりなどを用意して、どのように色が変化するか、どの食品が酸性・アルカリ性に分類できるかを実験してみるのも楽しいですね。

また、ハチミツは紅茶の色を変えますが、マロウブルーではどうなるのでしょう? 緑茶や麦茶でも同じなの? というように、ベースとなるドリンクをいろいろ変えて実験してもいいでしょう。

■次々と色が変わる! カラフルな「カメレオン焼きそば」
こうした原理を利用した、「カメレオン焼きそば」も子どもたちに人気があります。かんすいが含まれた中華麺(焼きそばの麺など)と、紫キャベツを用意します。

<実験手順>
1. 紫キャベツを千切りにします(太めでも大丈夫)。
2. 鍋に水を入れて沸騰させて、紫キャベツを入れます(お湯の量は紫キャベツが浸るくらい)。
3. 紫キャベツの色素がお湯に溶けだしたら、中華麺を入れます。

中華麺も紫キャベツと同じ色に…ならないのが、この実験のおもしろいところ。青みの強い緑色に変化するのです。紫キャベツに含まれる色素がアルカリ性のかんすいと反応すると青色が強く表れるわけです。これにレモン汁や酢をかけると、今度はピンク色に変わります。

紫キャベツの代わりにウコンを使うと赤色に、そこにウスターソースを足すと元の色に戻ります。色が変わる実験は、化学反応が目に見えてわかりやすく、子どもの好奇心を刺激することでしょう。

酸性・アルカリ性などは小さな子どもにはわからないかもしれません。でも、レモンを入れたら色が変わるということや、どうしてそうなるのか疑問を抱かせることが、化学へ興味を持つ第一歩となるでしょう。

ちなみに、色が変わった後の麺は、料理に使っても問題ありません。

■乳製品は化学の証1 牛乳でチーズを作ろう
身近な存在である牛乳でも、実験を楽しむことができます。一番手軽なものは、牛乳を温めたときにできる膜ではないでしょうか。この膜はミルクカゼインというたんぱく質の一種など。また、こうした膜ができることをラムスデン現象といいます。

たんぱく質は50度前後で固まる性質がありますが、水分の多い牛乳は表面だけがかたまるというわけです。豆乳から作られる「湯葉」も、この性質を利用して作られます。

膜を予防するには、重曹を入れると効果アリ。鍋で温めるならひとつまみ程度でOKです。このひと手間で、ホットミルクを飲んだ後のカップも洗いやすくなります。

ほかにも、牛乳にレモン汁や酢を入れると固まるという実験で、カッテージチーズを作ることもできます。牛乳1カップに対してレモン汁は大さじ1程度。温めた牛乳にレモン汁を加えてかき混ぜたら、ペーパータオルなどでこします。少量なら、コーヒーのドリッパー&フィルターを使うと便利ですよ。

完成したカッテージチーズはそのまま食べてOK! ジャムと一緒にクラッカーにのせると、見た目も楽しいおやつになります。

■乳製品は化学の証2 生クリームでバターを作ろう
生クリームや乳脂肪分の高い牛乳(ノンホモジナイズド牛乳)を使えば、自宅でバター作りも楽しめます。乳脂肪を攪拌(かくはん)すると脂肪が集まり、これを練ることでバターになるのです。

<実験手順>
1. きれいに洗ったペットボトルに生クリーム(または乳脂肪分の高い牛乳)を100~150cc程度入れます。実験前に必ず計量しましょう。
2. フタをよくしめたら、ペットボトルを振ります。
3. ときどき、氷水で冷やしながら続けましょう。
4. 固まってきたらバターの完成。最後に、どのくらいのバターができたか計量します。

乳脂肪分が低いとうまくできませんが、比較するために、あえて低脂肪乳なども一緒に試してみるといいですね。コツはとにかくたくさん振ること! 30分くらいすればできあがるでしょう。子どもと競争するのもいいですね。ただ、意外と体力を使うので、筋肉痛になりませんように…。

■少ししょっぱい大人の味! 炭酸水が簡単に作れる
最近では、炭酸水メーカーも市販されていますが、それよりも手軽に炭酸水を作ることができるのをご存じですか? 500mlのペットボトルなら、クエン酸と重曹を小さじ1ずつ水に入れるだけでOKです。

ただし、ミネラルウォーター用のやわらかい容器では破損する恐れがあるので要注意。水道水でも問題ないので、炭酸飲料用の容器を使うようにしましょう。また、水をあらかじめ冷やしておくことも大事です。

できあがった炭酸水は少ししょっぱい味がするので、甘い炭酸水に慣れている子どもは飲みにくいかもしれません。

こうした身近な食材を使った化学現象を通してその理由を探るようにすれば、子どもの好奇心を刺激することができますね。いまはよくわからなくても、成長してから「あのときの実験だ!」と思い出して理解しやすくなるはず。

わたしも、子どものころにレモンで紅茶の色が変わることを不思議に思い、あらゆるものにレモンの輪切りを入れていました。父のビールにも入れたものの、泡のせいでよくわからず、早く飲めとせかしたものです。それでも、嫌な顔ひとつせずに付き合ってくれたおかげで化学分野に興味をもちました。

こうした経験をすると、化学を「勉強」としてとらえる前に「楽しいもの」と認識しやすくなります。生活に密着したものならより理解しやすいので、苦手意識が芽生える前にチャレンジを!
(藤井蒼)

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