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彼ママにうんざり…。マザコンを理由に慰謝料ナシで婚約破棄できる?

  • 2017.7.26
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男女の恋愛トラブルや会社での嫌がらせ、友だちとの金銭トラブルなど、どうしたら良いのかわからず、ひとりで抱え込んでいませんか? 周りの人には相談しづらい悩みこそ、法律のプロに相談しましょう!

私よりも母親優先、幸せな結婚はもうムリ!?

【20代の女性からご相談】
マザコンの彼にうんざりしています。
3カ月前にプロポーズされて、舞い上がっていたのですが、ご両親に挨拶に行ってから、そんな気持ちも無くなってしまいました。「嫁はこうあるべき」という話を延々とされ、服装や髪形についても散々けなされて、改善するよう言われました。

さらに式の日取りや場所、ドレス、新居や家具に至るまで、すべてを彼の母が決め、結婚後は同居で、子どもの面倒は彼の母が見るとまで宣言。毎週、彼と同棲している部屋に突然やって来ては、部屋の掃除や料理の味付けにいちいち口出しします。

耐え切れず、彼と話し合いましたが「母さんの言うとおりが一番」「君が言うことを聞けばいいだけ」と話になりません。

婚約破棄したいですが、マザコンだからという理由でできますか? もし婚約破棄したら、慰謝料などを払わないといけないでしょうか?

婚約破棄って簡単にできるもの?

彼の母親は過干渉なのか、こだわりやプライドが高いのか…。

いずれにせよ、同じ女性としては心ない言動で傷ついたり、味方になってくれない彼と過ごす時間は、とても辛かったと思いますし、彼との幸せな未来が描けなくなるのもやむを得ないとも思うのが本音です。法的な問題はあれ、相談者の方を本当に大切にしてくれる方と一緒になってほしいと願ってしまいます。

さて、法律的に「婚約」は、一種の契約だと考えられています。ただ、通常の契約であれば、相手に義務を履行しろ!と言えるのですが(売買契約であれば、売主に物を引き渡せ!と主張ができる)、それとは異なり、(結婚を)強制することができない性質の契約とされています。

婚約後は、結婚式や新居の準備などさまざまなことが進んでいます。婚約破棄に正当な理由があると認められない婚約破棄の場合、相手が被った損害を賠償しなければなりません。そして、婚約破棄された方はショックを受けますから、慰謝料も払う必要がありますし、結婚式、家具や新居の準備費用、結婚式や披露宴のキャンセル料などの財産的損害も認められることがあります。

正当と認められる婚約破棄の理由は?

婚約破棄で一番争いになるのは、この「正当な理由があるか」というところです。

法律で正当理由はコレ!と定められているわけではないのですが、過去の裁判例では、婚約者の浮気・二股、虐待・暴力・重大な侮辱、社会常識を逸脱した言動、性的不能、結婚生活の維持が困難な病気、経済力の悪化などが認められています。現実には、相性が悪い、性格の不一致など婚約破棄を考える理由は色々ありますが、婚約は法的な責任を伴う行為で、正当な理由は簡単には認められないのです。

マザコンは正当な理由と考えられる?

一般的には、彼がマザコンだとか、相手の家族とうまくいかないというだけでは正当な理由とは認められません。

しかし、相談者の方と同様に、彼が女性と母親との間をとりなさず、母親の言いなりになるなどし、何度話し合っても改善せず、思いやりをもたない彼の言動から、彼とも母親とも今後円満な協力関係を築く自信を無くしてしまった女性が最終的に婚約を解消したというケースの裁判では、男性から女性への慰謝料請求を認めませんでした。

今回は、詳しい事情をお聞きする必要はありますが、何度話し合っても彼が母親との仲を全く取り持とうとしない、あまりにもヒドイ対応を続けてきたのであれば、慰謝料を払わなくてもよい可能性があります。

相手のご家族はとても気を使う存在ですよね。できれば良い関係を築きたいですし、悩んでも、無理をして我慢をしている方、我慢の限界を超えて婚約破棄や離婚を考える方、決して少なくありません。

そもそも、こういうときに相手のの立場・心情に立ち、一番の味方としての対応をすることは、結婚後も二人の円満な仲を継続するために、非常に大切です。仲裁する方も板挟みの難しい立場だということは忘れてはならないですが、相手からの信頼や愛情を失ってから取り戻すのは難しいですから、みなさんも自分の対応は大丈夫か、今一度振り返ってみて下さいね。

■アディーレ法律事務所
正木 裕美(まさき ひろみ)弁護士

愛知県出身 愛知県弁護士会所属
男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美女」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。

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