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イケメンと行く妄想アートデート 知る人ぞ知る京都篇

  • 2017.5.26
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イケメンと行く妄想アートデート
知る人ぞ知る京都篇

 

アートデートで京都に行ってみたい!そんなアート女子の願望を温め続けていたところ、ピッタリなお方にご出演頂けることになりました。
今回のお相手は、老舗画廊のアートコンサルタントを務める、山内德太郎さん。
イギリスに10年以上いらっしゃった経験もある根っからのジェントルマンで、爽やかなドSというアンビバレントな魅力の持ち主です(笑)

 

京都と東京の遠距離恋愛で、今回は彼の地元の京都を案内してもらう…。
というシナリオで、さぁ、アートデートスタートです!

 

***

 

京都と東京でギャラリーを営んでいる彼(德ちゃんと呼んでいます♡)とは、かれこれ半年ほどの遠距離恋愛。

 

いつもは東京でのデートが定番だったけれど、
「週末はゆっくり出来そうだから京都においで」
と普段はクール(というかドS)な彼からの意外なお誘いが心底嬉しくて、朝イチで京都行きの列車に乗り込みました。

 

京都は大好きな街の1つ!ご飯も美味しいし、伝統ある文化があるし…。

 

初めて過ごす2人での京都を想像してワクワクしながら、待ち合わせの場所をチェック。えーっと白沙村荘…ね。

 

 

私ってば、すっかり迷って德ちゃんを待たせてしまったみたい。

 

私:
「お待たせ!ごめん、遅くなっちゃった。」

 

德ちゃん:
「ええよ~。迎えにいけんでごめんな。」

 

あれれ、怒られるかと思ったのになんだか今日は初っ端から優しいぞ。ちょっとドギマギしながら、趣(おもむき)のある白沙村荘橋本関雪記念館の入り口をくぐります。

 

 

私:
「うわぁ~~!素敵なお庭だねぇ。」

 

德ちゃん:
「そやろ。ここ好きで時々来るねん。あっちが橋本関雪のアトリエやったとこ。」

 

長方形の広いアトリエに入ると、大きな窓に囲まれた部屋でお庭が一望できました。

 

 

橋本関雪は、大正昭和の京都画壇の日本画の大家で、別名文人画ともいわれる南画という中国風ジャンルの画家。
アトリエ兼住居(広~いお庭付き)を自らデザインしてしまうほどこだわりの強い人だったそうで、白沙村荘は今でもそっくりそのまま残っているのです。

 

 

 

 

 

 

德ちゃん:
「橋本関雪は中国が好きで、何度も旅行に行ってはったんやけど、あるとき西湖という湖を見て感動して、一面田んぼだった土地に山から土を持ってきてこの白沙村荘の庭を造りはったんや。」

 

私:
「そうなんだぁ。だからかな?置いてある家具とかもどことなく中国っぽいデザインだよね。それにしても、田んぼがこのお庭に…かなり造り込まれてるね。」

 

德ちゃん:
「南画はな、リアルじゃなく理想の世界を描く、まさに妄想の世界。この庭も橋本関雪の妄想の賜物なんや。ちょっと歩いてみるか〜。」

 

石畳を歩いていくと、池のほとりにお茶室が見えて来ました。

 

 

お茶室は昭和5年に作り始めたのですが、きっかけは橋本関雪の奥さまのためだったのだそう。奥様が病気で倒れてしまったので、どうか治るようにという想いを込めて作ったということからも、2人の絆の深さがうかがえます。

 

白沙村荘 橋本関雪記念館

 

 

私:
「奥さまのことをすごく大切にしていたんだね。きっと仲良しだったんだろうなぁ。」

 

德ちゃん:
「橋本関雪は大変な時期も奥さんとずっと二人三脚で歩んできて、ようやくこれからという時に奥さんが病気で亡くならはって、関雪は黒かった髪が真っ白になってしまうほどショックを受けて、苦労をかけたとすごく後悔しはったんやって。」

 

そ、そんな…。なんて切ないエピソードなんだろう。

 

 

平安時代のお庭は「見立て」が随所に散りばめられていて、視線や光の具合で景色が変わるのだそう。

 

 

德ちゃん:
「ここの石、何に見える?」

 

私:
「ん〜と、亀甲みたいな模様が入っているから、亀?」

 

德ちゃん:
「正解!ちなみに、あっちの石は鶴に見立てていて、亀石と鶴石。縁起が良いやろ。
ほなここでもう一問!お庭の池(西湖を模した)には3つの役割がある、何でしょう〜?」

 

私:
「え、3つもあるの? 西湖に感動して作ったくらいだから、その景色を側に置いておきたかったんじゃないかな。あとは…。家庭用水とか?(笑)」

 

德ちゃん:
「おしい!景色、灌漑用水、光を取り入れる、の3つなんや。
昔は電気がなくて暗かったから、アトリエに光を取り入れるレフ板的な役割やったんやね。橋本関雪は絵描きだから水が必要で、もともとは灌漑用水として使われていた。
景色は、全体で山をイメージして、いつ見ても美しいように計算されているんやって。」

 

日の出もよろし
月が出てもよろし
雨が降ってもよろし

 

なんとも風流です。

 

 

德ちゃん:
「奥に展示室もあるから見てみよか。」

 

展示室の中には、橋本関雪が使っていた大量の印鑑(なんと、全部で約800ほど持っていたそう!)や画材、もちろん作品も見ることが出来ます。

 

 

 

 

 

 

私:
「すごい印鑑の数!サイズも小さいのから、小動物くらいのものまで。取手が根付みたいで凝ったデザインだね。」

 

德ちゃん:
「昔の文人は漢詩や和歌を嗜んでいたから、印をたくさん持っりの部分は石の良さや、まさに根付的な感じで楽しんだりもしていたみたい。」

 

 

 

 

展示室の上にはベランダがあって、お庭と、送り火で有名な大文字の山を一望できるのでオススメです。(この日はちょっとモヤがかかっていて残念!)

 

 

白沙村荘を出ると目の前は哲学の道、春は桜一色になり本当に美しいです。

 

 

德ちゃん:
「ここは学生さんが多く通る道で、昔は本がすごく高価だったんやけど、絶対忘れないぞ!という気合を込めてページを破って食べてはったんやって。」

 

私:
「え〜〜〜それ、ほんと(笑)?」

 

 

桜並木を少し歩いたら、小腹が空いてきたので德ちゃんの愛車に乗り込んでお昼を食べに行くことに。

 

德ちゃんが普段食べてるローカルなおすすめがいい!という私のリクエストで、地元民しか知らないであろうコアな京風中華屋さんへやってきました。
いつものメニューを片っ端から頼んでもぐもぐ…。

 

 

 

 

私:
「美味しい〜!」

 

德ちゃん:
「せやろ。オススメはからしそば、からしをたっぷりつけるとうまいよ。」

 

と言ってたーっぷりとからしをつけてくれる德ちゃん。

 

 

 

 

ふたりでペロリと平らげてしまいました。

 

そうそう、德ちゃんはとっても物知りで、ドライブ中もガイドさんみたいに色々と教えてくれたりもします。(そんなところも好きなんだなぁ)

 

 

德ちゃん:
「あそこに見えるのは北山コンサートホール、磯崎新建築や。」

 

私:
「磯崎さんなんだ、スタイリッシュだね。德ちゃんはジャズとかファンク好きだよね?クラシックも聴きに行ったりするの?」

 

德ちゃん:
「たまにするよ〜。次は一緒にいこうな。」

 

私:
(……!!!キュン♡)

 

ドキドキしてる間に目的地に到着。德ちゃんのお友達で、靴のデザイナーでありアーティストである串野真也さんのアトリエを見学させてもらえることに。

 

 

あのレディー・ガガも串野さんの靴の大ファンで、私もずっと気になっていたのでアトリエ見学はすごく楽しみ。

 

打ちっぱなしのコンクリートがスタイリッシュなアトリエの壁には、細江英公さんの写真が数点。串野さんは細江さんが大好きなのだとか。
他にも、海外で買ってきた民族風のカゴリュックや、かなり古い中国の磁器など、串野さんのインスピレーションの源を見せてもらいました。

 

 

 

 

徳ちゃんは気の置けない友達との会話ですっかりリラックスしているご様子。こうやって、大切な友達に紹介してくれるのは初めてだったから、とっても嬉しいなぁ。

 

 

そして、なんとカラスの羽などで装飾を施されたアートな一足を履かせてもらえることに!(感激!!)

 

私:
「うわぁ〜!すごい。」

 

德ちゃん:
「気ぃつけや〜。」

 

と、サッと支えてくれるあたりが流石の紳士。
嬉しくてしばらくこのままでいたい(笑)

 

 

 

 

 

 

串野さんと、愛猫ココちゃんとの別れを名残惜しみながら、次の目的地へと向かいます。

 

德ちゃん:
「一乗寺の一本松の話は知ってる?」

 

私:
「ううん、どんな話なの?」

 

德ちゃん:
「宮本武蔵と吉岡一門の伝説の対決。宮本武蔵がたった1人で大勢の敵を倒したのが一乗寺の一本松の下だったと言われているんや。すぐそこだからちょっと見ていくか。」

 

 

 

 

ご神木からパワーをもらい、奥の神社で揃ってお詣りもできました。(德ちゃんは何をお願いしたのかな…?)

 

 

 

 

德ちゃん:
「次がほんとに連れてきたかったところ。すぐ隣やし、行くぞ〜。」

 

 

苔むした屋根の入り口をくぐると大きなお庭が広がっているのは、ししおどしの発祥の場所、詩仙堂です。

 

 

 

 

 

 

德ちゃんは考えごとしたり、ひとりでゆっくりしたい時にちょくちょく来るんだそうです。
ししおどしの音を遠くに聴きながらのんびりお庭を散歩していると、日々の忙しさを忘れて穏やかな気持ちになりました。

 

こんなにゆっくりと二人の時間を過ごすのは久しぶりで、シアワセな時が終わらなければいいのにって思ってしまいます。

 

 

 

 

德ちゃん:
「おっ、カタツムリ!」

 

巨大なカタツムリを見つけて少年のようにはしゃぐ德ちゃん。
そんな姿が可愛くて、カタツムリより德ちゃんに目がいってしまいます。(大人なのに変なところで子供みたいなんだから。)

 

 

德ちゃん:
「ここは竹林がすごく綺麗で、あの京都に行こうのCMにもなったんや。」

 

私:
「うっとりしちゃうねぇ。目をつぶると葉っぱの揺れる音がすごく気持ちいい〜。心が洗われる。」

 

 

德ちゃん:
「竹ってな、1本では生えなくて、必ず群生するんやって。根が絡み合って、伸びた幹と葉同士が支え合って竹林になるんや。」

 

私:
「へぇ〜、知らなかった。なんか素敵だね。」

 

德ちゃん:
「せやから、**も、もっと僕に頼ってええんやで。」

 

 

……えええ?!?!
なにその愛に溢れたセリフ♡

 

德ちゃんはクールキャラだから、甘い言葉の類はほとんど聞いたことがなくって…。
嬉しすぎてちょっと泣きそうになりながら、竹林を通り出口へ向かいます。

 

 

德ちゃん:
「詩仙堂はどの季節に来てもすごく綺麗なんやで〜。今回は春だったから、夏、秋、冬もまた一緒に来ような。」

 

!!!…またもや、そんなに嬉しいこと言ってくれるのか。

 

ドSでクールな徳ちゃんは本当は誰より優しくてあったかい。
遠距離で寂しかったりもするけれど、心はすぐ側にあったんだ!と改めて感じることができた、大大満足の京都アートデートでした♡

 

 

***

 

 

 ……いかがでしたか?
個人的には京都といえば!のメジャーどころではないデートスポットがかなりのツボ。心落ち着ける素敵な場所がたくさんで、またすぐにでも行きたくなってしまいました。これからの季節は新緑が綺麗なので、今回ご紹介したお庭にもぜひ足を運んでみてください。

 

 

出演:山内德太郎
協力:串野真也
写真:江下太士
文:新井まる

 

 

【今日の妄想彼氏♡】

山内德太郎
1983年京都市生まれ。株式会社思文閣主任。ロンドン芸術大学セントラルセントマーチンズ卒業、サザビーズインスティチュート東洋美術科修了。
国内外の作家の個展を企画、運営する。

 

 

【今回のデートコース♡】

 

①白沙村荘橋本関雪記念館

京都市左京区浄土寺石橋町37
開館時間:10:00〜17:00
入館料:一般1300円 学生500円 高校生以下無料
※美術館、庭園のみの入館は現在受け付けておりません。
※特別展開催時は別料金設定となります。
※同伴者付きの場合のみ未就学児見学可能。
※団体割引なし、特別展開催時は別料金設定あり。
http://www.hakusasonso.jp/

 

②哲学の道

 

③八大神社

 

④詩仙堂

京都市左京区一乗寺問口町27
拝観休止日 : 5月23日
開門時間 : 午前9時~午後5時 (受付終了午後4時45分)
拝観料:大人500円 高校生400円 小中学生200円
http://www.kyoto-shisendo.com/Ja.html

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