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会社を辞めて、こうなった。【第48話】 日本一時帰国中にバッサリ! 「あなた、根っからの自由人やね」。

  • 2017.5.18
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会社を辞めて、こうなった。【第48話】 日本一時帰国中にバッサリ! 「あなた、根っからの自由人やね」。

アメリカ生活第三幕の開幕前に骨休みをと、ぶらり一時帰国中に立ち寄った大阪・南船場のバー。その店主であるマダムに「根っからの自由人」と断言され、「私はアメリカ生活で人のぬくもりを知り、変われたのでは無かったのか!?」と、ボー然。久しぶりのひとり暮らしによる絶対的な解放感に戸惑いながら、筆者・土居がとった行動とは?
写真/文・土居彩【土居彩の会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。】vol. 48
【第48話】日本一時帰国中にバッサリ!「あなた、根っからの自由人やね」。

みなさんこんにちは! 日本に一時帰国しています。飛行機に飛び乗るまでの2週間、いくら私でもここで大公開はできないことが次々と起こりました(書けなくてすみません…)。帰国前日の状況だけお伝えしますと、期末テスト翌日&論文提出当日のどえらく忙しいなか、私の部屋にあろうことか、私のほか2名(+猫一匹)が籠城するという事態に。そんななか「みなさんの言いぶんを聞いて差し上げたいけれども、帰国するまでにこの論文を提出しないと卒業できないんです! スミマセン!!」と、みなが寝静まったなか、なんとか最後の論文45頁を明け方に書き終え提出。コソ泥のように抜き足差し足ひっそりと早朝バークレーを発ち、飛行機に飛び乗っていざ日本へ! 「アメリカで暮らしてから3日ぐらい先までは予測がつくけど、その後は全然わからないなぁ……。昔は2か月先の雑誌を作っていたのに……」と思っていたけど、今の私の人生、翌日の運命すらわからないのだと痛感しました。しかし、飛行機に乗れてよかった…。いったい全体、どこからどうしてこんなに進路が不安定になったんだろう…???苦笑。リアルジェットコースター生活、毎日交感神経がビンビンと優位に働いています。
ということでちょっと人疲れしてしまい、一時帰国のあいだ、すぐに実家に帰ったり友達に会ったりせず、少しひとりで静かに過ごしてみることにしました。とはいえ帰国前はドタバタで宿の予約もままならず、羽田国際空港到着後になんとかAirbnbで予算内の宿泊先をゲット。いや、ホント……。便利な世の中になりましたね。助かりました。アメリカに来るまではひとり暮らしだったのですが、渡米後はずっと誰かと共同生活。「帰ったときに誰かがいるっていいな♡」と思っていたのですが、帰国初日の夜は5畳ひとまのアパートでいまだかつて無いほどに熟睡。翌朝は、久しぶりの爽快な目覚めです! 2か月以上続いていた激しい咳もピタリと止みました。人恋しくなることもなく、「な、な、なんなんだ……。この開放感は。私はアメリカで変わったのでは無かったのか?!」と我ながら戸惑ってしまいました。「家族とは毎日いっしょにご飯を食べることです」、なんて元カレに講釈をたれていたくせに……、です、苦笑。
とりあえず、まぁ……。アメリカでは勉強も忙しかったし、夜ひとりで出歩くのも危ないし、おばあさんを遅い時間まで家でひとりにしておくのも気がひけるし、ということでお酒抜き生活をしていたので、一時帰国中の今! ぶらぶら歩きながら見つけた良さそうなバーに入ってみることに。ふらりと入ったお店は、突然の大雨でお客は私ひとり。新地で商売をしていたというマダムが去年の10月から始めたお店でした。2、3言葉を交わしているうちに「あなた、根っからの自由人やね」とひと言。「えっ?!」。ビックリしました。「いや、もうそこから私は卒業できたと思っているのですが……。いろいろ経て、むしろ親が私にしてくれたような平凡で穏やかな生活に憧れすら感じています」というと、「いや、あなたは自由人よ」とバッサリ。ふむ……、傍から見るとそうなるのか。
たしかにアメリカ行きも直感だけで会社まで辞めてバークレー心理学部で勉強したいとやってきたけど、その間のプロセスは全く考えていなかったからトラブルにいろいろあったんだなぁ……(遠い目)。でも過程をガチガチに決め込んで、ルートをがんじがらめにするのって苦手だからなぁ。今晩の宿もアメリカ携帯だから国内通話&ネットができず、スーツケース2つとともにあわやホームレス寸前。1時間前に予算内で決められたからセーフだったというワケで。そんなことをぼんやり思い返しながら久しぶりのブランデーを楽しんでいたら、「あなたは、いい人に出会うわよ」とマダムが突然言い出したので「うーん、恋愛はあまり得意分野ではありませんので、もういいです」と返答。すると「その人とは、縁が無かったのよ」と、これまたバッサリ。
また、一緒に暮らしていた認知症のおばあさんと同じ言葉をマダムにも言われました。「考えすぎ。好きに生きたら良いのよ」と。自由人と評され、人とのしがらみ無く勝手気ままに生きているわりに、私自身は窮屈そうで楽しそうに見えないのでしょう。たしかに正直言えば、好きに生きたら良いと言われても制限がない状態だとどうしたいのかがよくわからない。心理学の実験でもあるのですが、例えばスーパーで試食用にジャムの瓶を3種類、または16種類テーブルに置くとします。すると、3種類置いたほうが16種類よりも売上が良くなるのだそうです。選択肢が多くあるほうがたくさん売れそうなのに、です。その理由は人間の認知力には制限があって、選択肢が多すぎると選べなくなってしまうからだそうです。

カプチーノか、巨大パフェか。

さて選択肢の中からひとつの目標を決めると、不器用なまでにそれしか見えなくなってしまう傾向が私にはあります。例えばバークレーに通っていたときは、睡眠時間以外はずっと勉強していました。わからないことが少しずつヴェールから顔を覗かせてくれるのが楽しくて夢中になっていたのですが、冷静に考えれば私は20代の学生さんとは全然違う人生ステージに居る。テストでA+を取ってはホッとしていましたが、イヤ、そこで安堵してOKという、そういう土俵にはもはや居なかったのです(気づくのが遅い! 笑)。そしてそれは一緒に暮らしていた80歳のおばあさんとも異なる。一緒に食後のお番茶をほっこり飲んで、18時から店じまいしている場合じゃありません。では何をしたいのか、そして何が自分に求められているのか。勢いだけではなく、そろそろ冷静に考えるべき時期がやってきました。原因不明の咳が数か月続いても病院に行けないとか、教科書を買うためにスコーンとコーヒーを1日の食事にするとか、「あなたはまだ若いから大丈夫よ」と自分よりひと回り以上年下の人に励まされて何も知らないフリをするとか(苦笑)、そういうのはずっとできることじゃないですよね。ただ社会に浮遊しているだけでは生活はしていけない。でもここまで来たら、やれるところまでやらかさないと絶対後悔もする。
じゃあ、何をどう持続可能な形でやり切るか? それが問題です。そこで大きな決断をする前であるこの一時帰国中の羽休め期間をメンタルトレーニング的に実験的に生活してみることにしました。 “どのように生きるのか” という大きな問いからスタートすると血迷ってワケがわからなくなってしまうので、まず毎日の些細な選択をするときに(例えば喫茶店での注文をパフェにするかカプチーノにするかといったような)、自分の一番の本音を確認するようにしました。そう癖づけて習慣化していけば、大きな決断を迫られたときにその時点の自分が心から欲しているものが何かを知り、周りの意見に左右されすぎずに本音で選べると感じたからです。
ということで、渡米前の私はブランドバッグ×ヒールという感じのタイプだったので、まずはちょっとやってみたかったけど心理的なブロックがあってできなかったことでそんなにお金がかからないことをひと通りやってみることにしました。屋台のたこ焼きを買って平日アメリカ村のど真ん中ひとりで食べるとか、レトロな喫茶店で “今それ食べたら危険!” な深夜に巨大パフェを注文するとか、そういうことです。食べ物ばかり(笑)。「なんだ、そんなこと?」と思われるかもしれませんが、比較的食にストイックだった昔の私はこういうことができなかったんですね。で、たこ焼きを道端で食べながら「こういう欲望のハードルを早めに超えておけばよかったなぁ……」と感じましたね。ちっちゃな我慢を積み重ねてしまったから、ドカンとアメリカ行き×心理学の勉強になっちゃったのかもしれないと思ったりして。まぁ、それもそれである意味アリですけど。
アメリカ生活第三幕目はちょっと冷静に「何が私の技術になりえるか」「今後どうやって生活していくか」を頭の片隅に置きながら、スーツケースを2つから1つにしてもっと自由にアメリカ国内を動き回ってみたいと思います。

See You!

写真:猫と教科書
2人が籠城するなか、猫までも机に。人口密度が高い! ※論文提出前のドタバタで、どえらくお見苦しい状態のデスクですみません。
写真:喫茶店のメニュー
難波の純喫茶アメリカン。カフェオレにもたっぷりの生クリームが添えられ、プリン・ア・ラ・モードとともにホイップまみれに♡
写真:SEE YOU!

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