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OLかけこみ法律相談所/私もだまされたのに…。不倫の代償、奥さんへの慰謝料は全額払うべき?

  • 2017.4.23
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男女の恋愛トラブルや会社での嫌がらせ、友だちとの金銭トラブルなど、どうしたら良いのかわからず、ひとりで抱え込んでいませんか? 周りの人には相談しづらい悩みこそ、法律のプロに相談しましょう!

不倫の代償だから… 奥さんへの慰謝料は全額払わなければいけないの?

私は社会人3年目の26歳OLです。
ある得意先の男性に好意を寄せられ、飲み会の帰りに関係をもってしまいました。
そのまま、お付き合いをすることになったのですが、しばらくして彼が妻子持ちだと知りました。

彼が隠していたことに我慢できず、その後すぐに別れましたが、別れた後も得意先で顔を合わせてしまうので、未練が残り、飲み会の帰りにまた体の関係を持ってしまいました。

その日の事が奥さんにバレて、現在慰謝料として300万円を請求されています。
妻子がいると知った上でまた関係持ってしまったことは本当に悔いていて、奥さんにも申し訳ないと思っています。

でも、不倫だとわかってから関係をもったのはその一度だけで、その前までは彼が結婚していたことを知りませんでした。
回数の問題じゃないのかもしれないですが、全額払わなければいけないのでしょうか。

既婚者であると知っていたのと、知らなかったのとでは慰謝料の金額は変わります!

多額の請求を受けて、大変驚かれたことでしょうね。後悔先に立たず。
“不倫の代償”というのは大きいのです。
しかし、必ずしも奥さんの言い値の全額を支払わなければいけないとは限りません。

そもそも不倫で慰謝料の支払義務を負うのは、故意または過失によって既婚者と肉体関係を持ったとき。
つまりあなたが彼を既婚者だと知っていた、もしくは既婚者と気付かなかったことに落ち度があるときです。

既婚者と知る前の関係については、

●彼の嘘が巧妙で、彼の家を不自然に教えてくれない
●カップルのイベントや休日に会えない、連絡がとれない
、など

「既婚者かも?」と疑うきっかけがなく、既婚者と気付かなかったことに落ち度がない、つまり過失がないのであれば慰謝料を支払う必要はありません。
もし過失があると判断されても、既婚者とわかっていた場合より慰謝料の額は低くなる傾向があります。

一方、彼が妻子持ちだということがわかってから関係を持った場合は、あなたに故意があるので原則として慰謝料が発生しますが、金額で争う余地があります。

ですが、彼に子供がいるケースは家族全体に影響をおよぼすために、慰謝料は増額の要素が強くなってしまいます。

慰謝料を減額できる条件とは?

では、慰謝料の減額を考慮される傾向とはどのようなことがあるでしょう?

不倫の主導権が彼にある、不倫の回数が少ない、期間が短い、夫婦関係に亀裂が入っていた、婚姻期間が短い、別居も離婚もしないなどの事情は、減額となる可能性は高くなります。

既婚者と知る前に関係を持ったことに過失がなければ、既婚者と知ってから持った関係は一回だけで、不倫を認め心から反省しているといった有利な事情もあるので、慰謝料は数十万円にまで減額できる可能性もありますよ。

不倫は私だけが悪いの? 彼に責任は?

とはいえ、慰謝料が安くなったとしても、「彼がだましたんだし、半分しか払いたくない!」「あとは彼に請求してよ!」と言いたくなりますよね。実際そう言われる方も多く、お気持ちはわかります。

しかし法律上、慰謝料支払義務は「不真正連帯債務」といい、彼とあなたは連帯して慰謝料支払義務を負うとされています。
けれども誰にどれだけ支払ってもらうかを決めることができるのは奥さんなので、奥さんが、あなただけに請求をしてきた場合は、全額を支払わなければいけません。

ただ、本来は彼も一緒に負担すべきお金なので、あなたの負担割合を超えて払ったお金は彼に支払うように請求ができます(求償権)

負担割合は、話し合いがつかなければ裁判で決めることになりますが、既婚者と知る前の関係については、彼が不倫を主導的に行っており、既婚者と隠していたので、彼の方が多く負担すべきと判断される可能性が高いでしょう。

“不倫の慰謝料の相場”なんてよく言われますが、それぞれの事情によって金額は大きく変わるので、バシっと決まるものではありません。あなたも大変傷ついたでしょうが、弁護士に相談して早く解決をはかり、未練はさっぱり断ち切って、次の独身男性との素敵な恋に進んでくださいね。

◇アディーレ法律事務所
正木 裕美(まさき ひろみ)弁護士
愛知県出身 愛知県弁護士会所属
男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美女」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。

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