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身近な「医療費控除」も新制度がスタート! 家計を元気にする節税のきほん【知っている人だけトクする税金術 2017 第6回】

  • 2017.4.15
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・一発でガツンと大きくトクする! 家計を元気にする税金のイロハ
・贈与税の裏事情でトクをする!? 親もママも税金対策できる “住宅購入” のコツ
・住宅ローン控除を利用できる人、利用できない人
・聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点
・教育資金はおトクに贈与してもらう! パパ・ママが「親のお金」をうまく生かす方法
の続きです

© miya227 - Fotolia.com

税金の制度が大きく変化している中、ぜひガツンと大きな節約をしてもらいたいと考えた、本連載も最終回を迎える。最後は、税金の制度の中で、ママにとってはもっとも身近な税金、「ふるさと納税」と「医療費控除」の新制度について説明したい。

これらは「家計を元気にする」おトクな節税の第一歩。この税金のおトクを知ることについて、税理士の湊 義和(みなと よしかず)さんは、「税金に親しむキッカケにしてみては?」と話す。

■使わなかったら損! 「ふるさと納税」

© ken10ro - Fotolia.com

「ふるさと納税」とは、応援したい地方自治体へ寄付することによって、所得税が還付(戻ってくること)されたり、また住民税が軽減されたりする制度のこと。2015年度から、控除(本来支払う税金から差し引いて計算すること)の限度額が2倍になり、2015年4月1日以後の寄付から、確定申告が必要ない使い勝手の良い制度になった。

Q. 年収500万円の夫が、K市に3万円のふるさと納税をしました。夫の税金はどうなりますか?

A. 税金が2万8千円安くなります。(所得税率は20.42%、住民税は10%で試算)
多くの人にとって興味があるのは「税金がいくら安くなるか?」であって、「税金が安くなるメカニズム」ではないだろう。ゆえに、税金が安くなるメカニズムは、本記事の最後を参照してほしい。

■「ふるさと納税ワンストップ制度」が使える人
ふるさと納税で覚えておきたいのは、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」だ。これは、2015年4月1日以後の「ふるさと納税」について、次の条件を満たした場合、確定申告不要になるという制度だ。

ふるさと納税ワンストップ制度を利用した場合、自分が住んでいる市区町村の住民税が減額される。この場合は、所得税は、年末調整で計算が終わっているので、本来、確定申告をして所得税からも控除される分も含めて、住民税から減額となる。

●ふるさと納税ワンストップ制度が使える人

1)確定申告が不要である給与所得者であること(年末調整だけで済む人のこと)ちなみに、「医療費控除」で確定申告を行う場合には、「ワンストップ制度」は利用できない。すでに申請していても無効となるので、忘れずに確定申告で「寄付金控除」の対応を!

2)「ふるさと納税」をした県や市などへ確定申告不要制度を活用したい旨の申請を行うこと。

3)その年の12月31日までに「ふるさと納税」をおこなった自治体の数が5か所以内であること。

出典:『家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ』(湊 義和著/中央経済社刊)


■「医療費控除」の新しい制度がスタート!

© Basico - Fotolia.com

さて。本連載も、いよいよ最後の項目。今回は、税金のおトクとしてもっとも有名な医療費控除の新ニュースをお伝えしよう。2017年1月1日から、市販薬の購入についての新しい制度がスタートした。その名は、「セルフメディケーション税制」。

セルフメディケーション税制とは、適切な健康への取り組みをしている人が、「対象の市販薬」を年間1万2000円以上購入した場合に、税金が安くなる制度だ。この制度を利用するには、定期健康診断を受けるなど、適切な自分管理が必要となる。また、対象とされる薬は、「バファリン®」など、誰もが購入する機会があるごく一般的な市販薬だ。

© Monet - Fotolia.com

「セルフメディケーション税制は、『自分の健康は、自分で守るという意識』の起爆剤になるかもしれませんよね」(湊さん)

いままでは、医療費控除は、「最低額は10万円もしくは所得の5%を超えた場合」が対象。それが、たとえば、年間の医療費が10万円未満で医療費控除がダメでも、「対象の市販薬を年間1万2000円超で買った場合」には、セルフメディケーション税制が使える。

この制度は、従来の医療費控除と選択制で、次の2つを満たしている時に利用できる。
●セルフメディケーション税制を使うポイント
1)特定健康診断、予防接種、定期健康診断、健康審査、がん検診を行っていること

参考サイト:厚生労働省「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について」

2)厚生労働省が定める市販薬を購入する

参考サイト:厚生労働省「セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧(全体版)」(PDF)

■税金優遇の「要件」は、主婦が知っておくべき必須情報
全6本に渡りお送りした「知っている人だけトクする税金術 2017」もこれで終わりだ。この連載を書きながら、「法律は、生き物のようだなぁ」と思った。たとえば、植物が自然と光の方向を向くように、法律も、日本が行くべき方向に向かって、どんどん変化していく。

文中に何度も書いたけれども、税金の優遇を受けるためには、国が示す「要件」を満たしていないとならない。つまり、税金で家計を元気にするためには、主婦が、この「要件」を知っておく必要があるということだ。税金の知識は、家計を元気にするのに、「一発でガツンと効く」のだから、難しいと敬遠して知らないのはもったいない!

「税法を毎年チェックしていくことで、私たち達が歩む道が見えてくるのではないか?」 そんな気持ちから本連載には、「2017」と付け加えることにした。今後も、定期的に「家計を元気にする」税法をチェックしていきたい。

この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。

■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書

『家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ』
湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)
湊 義和さんプロフィール
中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。

【プチ知識】ふるさと納税で税金が安くなるメカニズム

年収500万円(※)の人が、30,000円のふるさと納税をした場合、28,000円の税金が安くなる。(※所得税率は20.42%、住民税は10%で試算)

税金が安くなるメカニズムは、図にすると下記の如くになる。それぞれをみていこう。

Woman excite編集部作成

1)所得税
所得税では、K市へのふるさと納税は、K市への寄付金として取り扱う。この場合、K市へ寄付した金額のうち2000円(A)を超える金額が所得から控除されるため、所得税としては、次の金額が軽減される。
(30,000円 − 2,000円) × 20.42% = 5,718円(B)

2)住民税
住民税では、以下の2段階で、税金が軽減される。

▼第1段階
K市への寄付金のうち2,000円を超えた金額の10%が控除される。
(30,000円 − 2,000円) × 10% = 2,800円(C)

▼第2段階
K市への寄付金のうち2,000円を超えた金額に以下の割合を掛けた金額が控除される。
(30,000円 − 2,000円) × (1 − 所得税率 − 住民税率)

ただし、夫の住民税所得割額の2割が上限だ。
(30,000円 − 2,000円) × (1 − 20,42% − 10%) = 19,482円(D)


(楢戸ひかる)

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