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子どもの主張に振り回されない! フランス式食育・3つのルール

  • 2017.4.7
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「好き嫌いには味見作戦を! フランス式・好き嫌い克服法とは」のつづきです。

© Irina Schmidt - Fotolia.com

『フランスの子どもはなんでも食べる』という本を読み、「なるほど」と思う方針を取り入れているうちに、意外な効果があったのは、生活全般で子供のわがままや主張に振り回されない、ということでした。

『フランスの子どもはなんでも食べる』カレン・ル・ビロン著/WAVE出版

本によると、フランス人は食に対しては確固たる考えを持ち、子供がどんなに騒いでもそれが揺らぐことはないようです。この本のなかから、フランス式の食育、おもな3つのルールをご紹介しましょう。

■その1: 食べ物は「決まった時間」に食卓で食べる
フランス式食育では、食べ物は決まった時間に食卓でのみ食べるもので、時間を決めずにお腹が空いた時にダラダラ食べるようなことはしないようです。基本的には、朝食、昼食、グテ(おやつ)、夕食の4回で、お腹が空いても次の時間まで待たせるのです。

© lenakorzh - Fotolia.com

筆者の次女育てで一番役立ったのは「子供はお腹を空かせても食事時間まで我慢すればいい」ということでした。食への執着が強かった次女は、保育園から帰宅した6時過ぎから大騒ぎ。前もって夕食を準備しておけばよかったのですが、その余裕もなく、とりあえずパンやバナナを食べさせて静かにさせていました。

そうすると、当然夕食の準備ができたころにはお腹も満足し、夕食は食べたい物だけを食べる、という悪循環でした。どう考えても夕食前に重たい食べ物をあげすぎだとわかっていたのですが、仕事を終えて疲れた夕方に次女の主張と戦う気力がなかったのです。

そんな時に、「子供がお腹を空かせるのは悪いことではない。お腹が空くと次の食事が楽しみになる」という記述を読みました。そして「お腹が空いても子供は我慢ができる」とも書いてありました。

あのうるさい次女に我慢させる、ということを考えたこともなかったけれど、とりあえず本の受け売りを試してみました。

次女:「お腹空いたー」(ぎゃーぎゃー)

筆者:「お腹が空いたの? よかったねー。あと30分でごはんができるから楽しみに待ってて」

次女はいつもとは違う筆者の対応に最初は不満そうでしたが、それでもじょじょに前ほど騒ぐことはなくなりました。

「お腹を空かせたらかわいそう」という考えで頭がいっぱいだった筆者も、「子供がお腹を空かせれば次のごはんをしっかり食べるから悪いことではない」と少し気持ちが楽になったのを思い出します。

そして、次女はちゃんと空腹を我慢することもできる、という発見もありました。

■その2: 食べ物の決定権は大人が持ち、大人が子供の食に責任を持つ

© Monkey Business - Fotolia.com

次に大きく変わったのは、食ベ物の主導権。

今まではついつい「何が食べたい?」と聞いて子供の食べたい物に合わせがちでした。今でも子供のリクエストは聞くけれど、基本的に決めるのは大人。

「えー! 今日魚?」と言われても気にせず、「今日は魚だよ」と答えています。ここでも淡々と答えるようにしていると、意外と子供もあきらめます。

カナダ人著者によると北米では「選ぶ知恵をつけること」はよいこととされ、食べる物を子供が自分の責任で決める機会も多いそう。だけど基本的にフランスでは食べる時間も食べる物も大人が決め、大人が子供の食に責任を持つ、という姿勢が強いようです。

子どもに甘い日本は、残念ながらやや北米よりでしょうか? 特に、子供が小学生になると、放課後友達の家や公園で何を食べているかは全く親の管理外になってしまいます。

ただ、自分の目が届く範囲では、できるだけダラダラとは食べさせず、なるべく食べる時は食卓につくようさせています。(自分は仕事しながらダラダラ食べたりするし、自分がおやつを食べたい時は、おやつ時間でなくてもつい、「これ食べる?」と食べさせ、全く完璧にはできませんが・・・)

■その3: とにかく「食」を楽しむ

© Irina Schmidt - Fotolia.com

正直言うと、子供が生まれてから「食は楽しむもの」ということはすっかり忘れていました。手際が悪いからか、なかなかきちんと食卓を完璧に用意してから「さあ食べよう」とはならず、子供や夫に「先に食べていて」といいながら、自分はもう一品作ったり、足りない物を取りに行ったり…。

でも食事は「できるだけみんな一緒に食べて楽しむもの」ということを改めて思い出させてくれたのもこの本でした。

今でも家族そろって食べられるのは、休日か慌ただしい朝食くらいだけど、そろう時はできるだけ全員食卓について、そこで子供の話を聞いたり、家族で何かを計画したりと、「食事」や「食卓」を中心に家族の絆を強くするのも悪くないな、と思っています。

これは著者が編み出した、フランス式の食事ルールです。

『フランスの子どもはなんでも食べる』カレン・ル・ビロン著/WAVE出版 より

『フランスの子どもはなんでも食べる』
カレン・ル・ビロン著/まちとこ:石塚由香子、狩野綾子 翻訳(WAVE出版)

カレン・ル・ビロン Karen Le Billion
ブリティッシュコロンビア大学教授。2011年には、40歳以下にして意義深い成功を収めたカナダ人リーダーを称える国家プログラム「Top 40 Under 40 Award」を受賞。オックスフォード大学で博士号を取得。

5冊の学術書と、子どもの味覚のトレーニング・ガイド&料理本『Getting to Yum(美味しく食べ始める)』を出版。家族とともに、カナダとフランスを行き来する生活を送る。
ホームページは、「ジェイミー・オリバーの今月の食革命ブログ」にも選ばれた。
https://karenlebillon.com/

(まちとこ出版社)

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