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2週間後に退職OK? トラブルを引き起こさない会社の辞め方

  • 2017.4.3
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こんにちは。アディーレ法律事務所弁護士の正木裕美です。

先日、出家を理由に女優・清水富美加さんが引退を表明されたことで日本中が驚きましたね。

一般論としては、憲法で信教の自由が保障されていますから、ある宗教を信じていたり出家をしたりすることは基本的に自由とはいえ、 誰かに迷惑をかけたり、ルールを破ることになっても許されるというわけではありません。

●「出家するので今日辞めます」は普通の会社員に許される?

まず、辞める理由は出家でも問題ありません 。

「今日辞めます」も、会社がOKしてくれて、当日退職するとの合意ができれば問題はないですが、なかなかそうはいかないのが実情でしょう。

実は、退職、つまり雇用契約の解約については、民法で定めがあります。

期間の定めがなく、遅刻・欠勤控除のある月給制の正社員の場合には、退職の申入れ(退職届)から2週間経過すると雇用契約は終了する とされています。

期間の定めなく雇用されている、完全月給制(遅刻・欠勤控除なし)の正社員の場合、いつでも辞めると申し入れることができますが、退職の申入れは直前の給与締日の前半までにしなければいけません(後半の場合は、退職が翌々月)。

なお、会社の就業規則で、依願退職は30日前までに退職願を提出する等の規定されていることもありますが、民法と就業規則のどちらが優先するかハッキリした裁判例はありません。

まずは会社の規則を確認してみましょう。いずれにせよ、少なくとも退職希望日の2週間以上前に申し入れることが必要となるわけです。

また、会社から突然の退職で迷惑だということで、いなくなったあとに会社が受けた迷惑分やこれまでかけた研修費などを返せ! と言われてしまう方もいます。

会社の了承もないのに「今日で辞めます」と言って次の日から出勤しないと、無断欠勤扱いになってしまいますので、それによって会社が損害を被ったとすれば、理論的には損害賠償請求は可能です。

しかし、そもそも損害がいくらか証明することも難しい上、会社は従業員が突然これなくなる状況などを折り込み済みで経営しているはずですし、何も対策をとっていないとすれば会社にも問題があると言えます ので、裁判では、会社の請求は損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる部分に限るとされています。

そのため、通常は賠償を認めない・もしくは賠償が認められるとしても損害の一部に制限されますし、現実的には請求されるケースは多くはありません。

ただし、トラブルにならないよう定められた手続を踏むことは大切です。

●辞めたいのに会社が認めてくれない

先ほども言いましたが、期間の定めがない雇用契約では退職は自由です。

でも、会社が退職を認めてくれなかったり、退職願を受理しないために辞められなかったりというケースもままあります。

しかし、会社が受理するかどうかに法的な意味はありません。

一方的な退職の申し入れ(退職届)は、文書がマストではなく、「辞めます」と伝えて必要期間が経過すれば自動的に辞めることができます 。

ただし後で、「退職するなんて聞いていない、無断欠勤だから退職金を減らします、給料を減らします」なんてトラブルを招かないよう、退職願は内容証明郵便で会社に送っておくのがベストです。

●会社の悪口をインターネット上に書き込んだら?

もし、不特定多数が知りうるネット上に、辞めた会社の社会的評価が低下するような悪口や誹謗中傷(事実かどうかを問わない)を書き込んだ場合には、具体的な事実を摘示した書き込みをすると、「○○会社は××だから最低!」は名誉毀損に、評価だけ(「○○会社最低!」等)なら侮辱にあたり、損害賠償義務を負ったり、罪になったりすることもあります。

真実でもそうでなくても、該当します。

退職した会社側に問題があることもたくさんありますが、自分が責任を問われるのは嫌ですよね。

ネットへの書き込みではなく、労働条件のことなら労基署など関係各所へ相談する などの方法をとることをオススメします。

●まとめ

従業員としても、会社側としても、お互い辞めるのであれば後を引かない形で円満に手続きを踏んで辞められる環境が整備されていると、お互いストレスなく関係を終わらせられるし望ましいのですが、必ずしもそうはなっていないというのは残念だと思います。

労働者として、会社の勝手な言い分に流されず、権利を守るために法律の仕組みを知ることは大切ですが、トラブルを抱えると気が重くなるもの。

あなたが有能な方であればあるほど、会社も残念に思うでしょうし、引き継ぎして滞りなく業務ができるようにしてほしいと望むのも本音だと思います。

今後のためにも、双方にとって円満退社が望ましいですから、退職を思い立ったら、まずは会社や信頼できる上司に話してみましょう。

もしトラブルになりそうなときは、役所や弁護士等の専門家 にご相談くださいね。

●ライター/正木裕美(アディーレ法律事務所:愛知県弁護士会所属)
●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)

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