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ハリー・ポッターの美術担当が参加の最新作!映画『マイビューティフルガーデン』

  • 2017.3.12
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新芽が出そろう4月にロードショーを迎える本作。美しいイングリッシュガーデンを舞台に様々な出会いと奇跡が織りなす心温まるストーリー。幸せを運ぶ奇跡の種が芽吹くとき、人生が輝きはじめる!春にふさわしい映画作品『マイビューティフルガーデン』を紹介します。

イングリッシュ・ガーデンから生まれた現代のシンデレラストーリー

物語の主人公であるベラ・ブラウンは立派な裏庭付きのアパートに暮らしていますが、彼女は予測不可能に枝葉を伸ばす植物に恐怖を感じ、全く手入れができず、その庭はひどいありさまでした。しかしある日のこと、家主から「庭を元どおりにしなければ退去してもらう」と通告されてしまい…。
絵本作家になる夢を持ちながらも自分の殻に閉じこもり、自分を変えられない孤独な女性のベラ。そんな彼女を救ったのは、庭づくりをこよなく愛する隣に住んでいる偏屈な老人のアルフィー。彼にとっては、ガーデニングとはカオス(混沌)に美を見出すことです。お互い疎ましいと感じながらも2人は庭づくりを通して特別な関係を築いていくようになります。そして、ベラは手に届かないと思っていた夢を叶えていく、まさに現代のシンデレラストーリーです。

世界に誇るイングリッシュ・ガーデン

ガーデニング大国として知られている英国では、自然の摂理のままに季節の草花を愛で、庭が生活の一部となるぐらい重要視されています。何故ならば、庭を通して家主の美意識が表現されるからです。本作ではイギリス人が庭を大切にする姿勢が、よく伝わってきます。
作品を制作するまでガーデニングに対して無知だったという、監督・脚本を手掛けたサイモン・アバウドさんは、「庭好きの人々は“やあ、元気かい?”と同じように“今日の君の庭の花はどうだい?”と挨拶をします。ある人々にとっては、ほんの少しの地面が重要な意味をもつことに、とても興味を惹かれたんだ。」とこの物語について話しています。
作品からベラが庭づくりに奮闘する1ヶ月間を追体験することで、きっと誰もが幸せな人生に浸れることでしょう。

現代のロンドンを舞台に時空を超えたように見える世界観。

イギリスならではのスタイルを持ちながらもどこかファンタスティックな雰囲気が漂っている本作品。「現代なんだけれど、どこか現在的ではない舞台設定にしたかった」と監督が語るように、人間同士の触れ合いを描くのにSNSや携帯などは存在しません。そのように友情が古風に描かれることにより、私たちに失われつつあるイノセンスを感じられる物語となっています。
本作の美術を担当しているのは『ハリー・ポッター』シリーズを手掛けたアレクサンドラ・ウォーカーさんです。キャラクターに奥行きを与える個性的なインテリアや小道具にも注目してみましょう…お皿の上の野菜をポップに陳列し、歯ブラシも洋服も曜日ごとに美しく並べる秩序を保つベラの世界からは、絵本作家を目指す彼女の創造性を感じることができます。また、朝食のエッグベネディクトやブラッドソーセージなどが画面をカラフルに彩る伝統的なイギリス料理も魅力的です。

人も自然もこの世界で輝く瞬間を待っています

予測不可能なことを嫌う主人公のベラは私たちに似ているかもしれません。誰でも想定外の出来事が自分の身に降りかかるのは避けたいものです。
作品の序盤では植物が嫌いな自分の存在を肯定してるので、自分で自分を縛っていることに気づいていません。しかし、自分の世界から一歩踏み出すためには勇気が必要です…ベラの場合は人生の縮図である庭づくりを通し、苦手な植物と対峙することで命を生み、育てる喜びをしる素晴らしさだけでなく、根気はいるけれど豊かな実りを待つ作業から、冷静に現実を直視して物事の視点を変えることができました。
そのことにより様々な出会いと奇跡は紡がれていくのです。
庭に蒔いた種がゆっくりと芽吹くように鮮やかに成長していくベラの姿は、心温まるハッピーエンドは、自分の世界から一歩踏み出したいと願うすべての人に勇気を与えてくれることでしょう。
writer / 新 麻記子 photo / © This Beautiful Fantastic UK Ltd 2016

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