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【うるおい女子の映画鑑賞】恋は一瞬。でも永遠に生き続ける愛おしいもの

  • 2017.3.6
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「女性」の視点で映画をみることは、たとえ生物学的に女性じゃなくても日常では出会わない感情が起動して、肌ツヤも心の健康状態もよくなるというもの! そんな視点からオススメ映画を紹介する【うるおい女子の映画鑑賞】。第34回は1995年公開の名作ラブストーリー、映画『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』を紹介します。

映画『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』

1995年の作品ですが、今でもまったく色あせることなく、恋の醍醐味をここまで等身大に切り取った名作も少ないのでは? あなたの胸にしまっている”誰か”をそっと呼び起こして、ノスタルジックな甘い気分に浸らせてくれる一本です。

パリへ向かう列車で隣の席に偶然居合わせて、何気なく会話を始めたアメリカ人学生のジェシー(イーサン・ホーク)と、フランス人のセリーヌ(ジュリー・デルピー)。翌朝の飛行機に乗るために、セリーヌにさよならを告げウィーンで下車したジェシーだったが、彼女ともっと時間を過ごしたい一心で車内に駆け戻り彼女を説得し、翌日の朝までウィーンの街を語らい歩きます。

少年時代の話、両親のこと、愛のこと、芸術のこと、……ふたりは、ついさっき異国で偶然出会ったばかりの相手に、もしくはそんな相手だからこそ、心を開いて若者特有の痛みや反抗心を共有していきます。美しいウィーンの街を軽快に歩きながら、ほぼふたりの会話のみで展開されるにも関わらず、その描写は瑞々しく、刹那的で美しく、誰にも等しく訪れる(た)青春の幻想に生きるふたりは生命力に溢れています。

この映画が描く夜明けまでの数時間は、交際に至ったか、どれだけの時間を一緒に過ごしたかということは、終わってしまった恋に関してはまったく意味のないことなのだということを語っている気がします。

恋は一瞬。でも永遠に生き続ける愛おしいもの

昔ある女優さんがテレビで、街で偶然すれ違った男性と数秒目が合うと「あぁ、短い恋だったわ。ありがとう!」と心の中で思うというような内容の話をしていたのを思い出します。他の出演者たちは笑っていたけれど、わたしはこの女優さんに同感。この刹那性が恋を永遠にするのです。

名前や年齢や出身地や肩書きなんてわからなくても人は恋に落ちる。そんな感覚を多くの人が当然のように受け入れています。そしてそんな経験を実際にもてた人間は、本当に恵まれていますよね?!

映画の中の2人を見ていると、記憶の奥底にしまい込まれてた”彼”を思い出して、ちょっとの罪悪感とともに、二度と戻らない恋の瞬間が胸によみがえるかも? そしてその”恋の瞬間”は永遠で、わたしたちのこころでずっと生き続けるもの。

「もしかして恋って一瞬にしか宿らないものなのかしら?」そんな気持ちとともに、独りでじっくり観たい一本です。

text:kanacasper(カナキャスパ)

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