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胎児も母体もキケン! “常位胎盤早期剥離”の危険因子11つ

  • 2014.12.8
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【ママからのご相談】

これから出産を迎えます。テレビで常位胎盤早期剥離についてやっていたのですが、詳しく教えてほしいです。

●A. 『常位胎盤早期剥離』は胎児にも母体にも危険が及ぶ重要な産科疾患です。

こんにちは、スチューデントドクターの“ひでくらてす”です。

常位胎盤早期剥離に関するご質問ありがとうございます。2012年の厚生労働省の発表では妊産婦の死亡率は10万人あたり4人、これは約100年前の数字の100分の1であり、出産がどれほど安全になったかを実感できる数字です。

ただ、残念ながらその数はゼロではありません。出産で死に至る疾患の一つとして、『常位胎盤早期剥離』が挙げられます。

●『常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)』とは

胎児と母体間の栄養やホルモンの輸送、ガス交換は胎盤を通じて行われます。

『常位胎盤早期剥離』は、その胎盤が、妊娠中または分娩中に胎児の出産前に子宮からはがれてしまうことを言います。それによって、母体では大量の出血や産科DIC(※)が起きたり、胎児は低酸素状態になるなど、最悪の場合母子ともに死亡に至ることもある大変危険な疾患です。

常位胎盤早期剥離は全分娩中約1%に生じています。

※産科DIC……胎盤に多く含まれる組織因子といわれる物質が剥離面から母体の血中に流入することで全身で出血しやすくなる疾患。

●常位胎盤早期剥離の11のリスク因子

常位胎盤早期剥離の発症にはいくつかのリスク因子があり、あてはまる場合は特に注意を要します。主な要因は以下の通りです。

【特に注意を要する因子】

・早期剥離の既往

・妊娠高血圧症候群

・絨毛膜羊膜炎

・前期破水

・腹部外傷

・外回転術(逆子の治療)

【その他の関連のある因子】

・羊水過多

・喫煙

・ドラッグ(コカイン)

・子宮筋腫

・多胎

先にも述べましたが常位胎盤早期剥離は胎児にも母体にも重度の障害を及ぼす可能性があり早急な対応が必要です。具体的には緊急帝王切開や吸引・鉗子などによる速やかな分娩、子宮の収縮が不十分で出血がコントロールできない場合は子宮の摘出を行うことさえあります。

自分ではコントロールできない要因もありますが、少なくともドラッグや喫煙はやめ、できる限りの準備をして出産を迎えたいですね。

(ライタープロフィール)

ひでくらてす(スチューデントドクター)/東京都在住36歳。短大卒業後、一般事務・専業主婦を経て、長男が1歳の時に建材メーカーに再就職し、総務・労務も担当する経理主任として8年勤務。現在は税理士事務所にて経理事務業務のほか、Webや雑誌にてライティングを行う。夫、小学5年生の男子、保育園児の5歳男子と暮らす。著書『仕事も子育ても自分もうまくいく!「働くママ」の時間術』日本実業出版社より出版、台湾版も発売中。

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