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『カルテット』はヒューマンドラマからサスペンスへ 急展開する物語の面白さ

  • 2017.2.9
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ドラマ『カルテット』を観ていると、あっという間の1時間。なのに、2時間映画を観たような重厚感。これは、時空の歪みか?と思ってしまうのは、筆者だけだろうか。それほど、このドラマは1話1話に情報が詰まっている。雑談がその後の展開の伏線になっていたり、小ネタが散りばめられていたりするので、咀嚼して丁寧に観たくなるからだろう。

だが、2月7日放送の第4話は、そうして楽しんできた視聴者のペースをかき乱すようなスピード感だった。これまで、真紀(松たか子)、別府(松田龍平)、すずめ(満島ひかり)と、主要メンバーの背景が順に明かされていき、今回は家森(高橋一生)の番だな、と構えていた。すると、宝くじで大金を当てたことがあり、Vシネマの男優をしていたこともあり、結婚をしていた過去があり、なんなら息子もいて、さらに大怪我をして入院したこともあって……と、矢継ぎ早に秘密が話される。

状況を整理しながら画面を見つめていたら、あっという間に家森は我が子を誘拐。子どもから「いつ離婚終わるの?」なんて言われて、うぐぐ。“大人としてどう答えるのが正解か?”などと考えていたら、さらに元妻から「結婚してなかったらって思い浮かべられるほど悲しいことない」という言葉に、ぐへぇ。一つひとつの重たい言葉を受け止め、いろいろと考えされられる間にも、時が流れていく。切ない親子演奏会、そして別離。家森の美しい涙に見入っていたら、気づけば前半30分が終了。てんこ盛りなのに雑な流れではない、それがこのドラマの魅力だ。

息子との別れという心の穴を抱える家森を、元気づけるようにフェイスペイントでおどける3人。「ゴミは気になる人が出せばいいのか問題」でもクスッとさせられ、いつもよりコミカルな展開に微笑ましくも思っていた。心温まるヒューマンドラマを観ている気分になっていた。だが、このドラマはサスペンスだったのだ。うっかり忘れるところだった。いや、ちょっと忘れていた。

だから、 真紀の失踪した夫の母・鏡子(もたいまさこ)とすずめの会話を聞いていた来杉有朱(吉岡里帆)が、「1000円貸してください」と声をかけ財布をのぞきこんで「5000円ありますね」と笑顔で脅迫する姿に、思わず“怖〜ッ”と震えた。そう、これはサスペンスなのだ。そこからは後半は、全てを疑ってしまう展開。家森が真紀に近づいたのは、真紀の夫が入院中に話していた「妻に落とされたんだ」というネタでゆすろうとしていたからだと、すずめに告白する。なぜ、すずめに明かすことにしたんだ、家森! そこにも何か意図があるのか?

真紀の家でのベランダの異臭騒ぎって、もしや夫さんが……なんてことはないよね、まさかね。でも、真紀に好意を寄せていて、共同生活でもゴミを片付けていた別府と一緒にマンションに戻るってもしや……などと悶々としていたら、別府が真紀の手を握り「楽しいは切ない。嬉しいは寂しい。優しいは冷たい。愛しいは虚しい。愛しくて愛しくて虚しくなる」と言い寄る。なんだ、その意味深な発言は! 長めの手のアップもなんだ!と読み解こうとしていたら、玄関のカギがガチャリと開いて……はい、今週はおしまい〜って、畳み掛けるような展開に、次回が待ち遠しくならないわけがない。

そもそも「夫さん」という言い方も引っかかるし、有朱のコミュニティークラッシャーぶりも気になるし、もはやどこまで疑っていいのかわからない。ただ、ここからさらに面白さが加速していくことが伝わってくる。あー、別府風にいえば、面白いはしんどい、だ。来週が楽しみで楽しみでミゾミゾする……あれ? そういえば、ミゾミゾって最近すずめの口から聞いてないような。これも何かの伏線か!?(佐藤結衣)