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「やっぱりやめた」では済まされない“婚約破棄”

  • 2016.12.28
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“婚約”って法的に認められている? 結婚間近のカップルに起きたトラブルとは!?

私には9年間付き合っている彼氏がいます。
社内恋愛で、最初は周りには内緒にしていたのですが、5年前から同棲を始めたことで、結局社内にもバレてしまい、今では公認の仲になっています。
そろそろ結婚したいと思っていたのですが、最近彼の様子がおかしかったので問い詰めると、4月に入社した新人の女の子と浮気をしているのが発覚しました。
社内で公認の仲だったので、その新人の子も私という彼女がいることも、同棲していることも知っているはずです。しっかりとした約束をしたわけではありませんが、長年同棲をしていて、以前には結婚の話もしたことがあるのに…。浮気をした彼にも、同棲している彼女がいるとわかっていながら関係を持った浮気相手の新人にも腹が立ちます。結婚をしている訳ではありませんが、この2人に慰謝料請求ってできるのでしょうか。

【Question】法律的にどこからが「浮気」?

【Answer】浮気は許されないというのが恋愛のルールですし、女性の30代は、結婚・出産を考える、とても大切な時期。9年間も付き合って同棲中なのに、あなたの存在を知っているはずの新人と浮気なんて、怒りのやり場がないですよね。

法律でいう「浮気」は、原則として肉体関係を持つことをいいます。
結婚している場合、浮気で慰謝料請求ができるのは、結婚により法律上課される“他の異性と関係を持たない”という“貞操義務”に違反しているからなんです。
でも、単なる交際関係の場合、法律は自由恋愛を前提とし、特別な義務も課しておらず、法は関知しませんという立場をとっています。
なので、浮気をしても貞操義務違反や権利侵害とはならないため、慰謝料請求ができません。
でも、もし、単なる交際関係を超えて、婚約中や内縁関係だと結論は変わってきます。

婚約とは、結婚を約束する一種の契約です。口約束でも成立しますが、彼がそんな約束してないと言い出すと、最終的に婚約したかの判断を裁判所で争うことになります。
裁判では言った言わないの話になることが多く、婚約をうかがわせる
●婚約指輪の授受
●結納や両親との顔合わせ、婚約パーティー
●結婚式の準備 など
このような事実関係があったかどうか判断されることが多いですね。

婚約すると、お互いに結婚に向け誠実に努力する義務を負い、正当な理由なく破棄できなくなります。
だから、浮気が原因の婚約破棄は正当な理由があるとされ、慰謝料請求できる可能性があります。貞操義務の有無はいまだに争いがありますが、婚約中の浮気を貞操義務違反と述べた裁判例もあるんです。

【Question】“内縁関係”ってよく聞くけど同棲とどう違うの?

【Answer】内縁とは、婚姻届は出していないけれど、事実上夫婦同然の関係にあることです。
ケースバイケースですが、単なる同棲を超えて、
●家計や住所が一緒
●共同財産がある
●周りも夫婦と扱っている など

夫婦と変わらぬ共同生活の実態があって、その関係を継続する婚姻の意思を持っており、その共同生活が相当期間継続しているときに認められることがあります。
内縁と認められると、結婚に準じて貞操義務を負うので、慰謝料を請求できる可能性があります。

【Question】婚約中の相手が浮気をしたら慰謝料は誰に請求できる?

【Answer】それでは今回のご相談内容にある、2人への請求はどうなのでしょうか。
もし、内縁関係が認められ、その新人が彼に内縁の妻がいると知りながらも関係を持っていたのであれば、浮気した彼に対してはもちろんのこと、新人に対しても慰謝料請求ができることになります。
入籍後の浮気の場合に比べると請求できる金額は低くなることも多いですが、誰に支払ってもらうかは請求する側が自由に選ぶことができます。
●彼にだけ請求
●浮気相手にだけ請求
●2人ともに請求 など

ただ、2人に請求しても、もらえる金額が2倍になるわけではありません。
慰謝料の総額を、半額ずつなどを彼ら2人に分担して払ってもらうということになります。

慰謝料請求ができなくても、浮気はマナー違反で道徳上もNGですし、浮気された側の心の傷や苦しみは計り知れません。
浮気をした彼は誠実に対応をしてほしいですが、女性も悲しみや怒りにとらわれすぎず、今後について冷静に考えて、後悔のない人生を選んでくださいね。

【まとめ】
●婚約は結婚を約束する一種の契約
お互いに結婚に向け誠実に努力する義務を負い、正当な理由なく破棄できなくなる。
●内縁関係とは
婚姻届は出していないけれど、事実上夫婦同然の関係にあること(事実婚)。
●内縁関係でも浮気をされたら慰謝料を請求できる
結婚に準じて貞操義務を負うことになるので、慰謝料を請求できる可能性がある。

PROFILE アディーレ法律事務所 正木 裕美(まさき ひろみ)弁護士
愛知県出身 愛知県弁護士会所属
男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美女」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。

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