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もしかして緑内障カモ? 電灯の周りに虹の輪が見えたら……

  • 2014.12.2
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【ママからのご相談】

40代です。中3の息子が昨日の夜、「部活を終えて下校しているとき、街路灯の光の周りに虹の輪が見えたんだけど、どうしたんだろう」と聞いてきました。そのときは、「部活で疲れてたんじゃないのかな。少し様子をみたらいいんじゃない」といいましたが、部活がなかった今日も帰宅するやいなや、「お母さん、やっぱり虹の輪がみえたよ」といいます。他の症状は何もないというのですが、何か怖い眼の病気ではないかと心配です。すぐにでも病院に行った方がいいでしょうか?

●A. 緑内障の疑いがありますので、すぐにでも眼科を受診してください。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

お子さんの症状は眼科学の用語で『虹視症(こうししょう)』と呼ばれるもので、夜間に電灯や電球を見たとき、その周りに虹が見える現象です。

虹視症そのものはとても疲れていて体力が低下しているときや、眼軟膏使用時、角膜上皮障害があるときなどにも光学的な収差が原因で起こるため、虹視症だからといって必ずしも怖い眼病を心配することはないのですが、気をつけなければいけないのは緑内障の場合です。

この場合は眼圧の上昇によって角膜にむくみを来たし、虹視症が起こっています。緑内障の初期症状としての虹視症であった場合、そのまま放置してしまうと視神経の変形と視野狭窄が進行し最悪の場合失明に至るおそれもあるため、やはり電灯の周りに虹が見えたらすぐにでも眼科を受診してください。

以下の記述は都内で眼科クリニックを開業する眼科医に伺ったお話しに基づいて、進めさせていただきます。

●“緑内障=失明”というわけではありません

『眼科で、「電灯の周りに虹の輪が見える」という症状を話せば、医師はまず虹視症が起きる眼精疾患のなかで最も怖い緑内障を疑ってその検査をします。もっともそれが急性緑内障の前駆症状としての『虹輪視(こうりんし)』であった場合は、眼科医であればその眼を見れば激しい頭痛や吐き気などの緑内障発作を起こす可能性が高いかどうかすぐに分かりますが、眼圧測定や眼底検査・隅角(ぐうかく)検査・視野検査などで診断を確定します。

勘違いしてならないのは“緑内障=失明”というわけでは決してない、ということです。たしかに放置すれば失明のおそれがありますが、今はほとんどの患者さんが点眼治療によって進行をくい止め、普通に日常生活を送ることができています』(40代男性/都内眼科クリニック院長・眼科医師)

●緑内障とは何か。緑内障と診断された場合はどのような治療方法があるか

『日本眼科学会の定義によれば緑内障とは、「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に降下させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患」で、分かりやすく言えば、「何らかの原因で視神経が障害され、見える範囲が狭くなる病気」のことです。正常眼圧の緑内障もあり眼圧の上昇が原因の全てではないのですが、少なくとも「眼圧を下げてやれば進行を防止できる病気」と言えます。

お子さんが眼科で眼圧測定や眼底検査・視野検査などを受けられた結果、「緑内障ではなく、いわゆる眼精疲労による虹視症」と診断される可能性はもちろんあり、それであればひと安心です。また、もし緑内障であったとしても点眼薬・内服薬・点滴療法などの眼圧を下げる治療方法で進行を止めることができます。あくまでも緑内障であった場合、放置すると危険なので、すぐに眼科を受診する必要があるということです』(前出眼科クリニック院長)

実際に電灯の周りに見えるはずのない虹が見えたときのお子さんの不安な気持ちは、たとえ親であっても分からないくらい大きなものがあります。お子さんの精神状態をはやく落ち着かせてやるためにも、すぐにでも眼科に行って診察を受けましょう。

(ライタープロフィール)

鈴木かつよし(エッセイスト)/慶大在学中の1982年に雑誌『朝日ジャーナル』に書き下ろした、エッセイ『卒業』でデビュー。政府系政策銀行勤務、医療福祉大学職員、健康食品販売会社経営を経て、2011年頃よりエッセイ執筆を活動の中心に据える。WHO憲章によれば、「健康」は単に病気が存在しないことではなく、完全な肉体的・精神的・社会的福祉の状態であると定義されています。そういった「真に健康な」状態をいかにして保ちながら働き、生活していくかを自身の人生経験を踏まえながらお話ししてまいります。2014年1月『親父へ』で、「つたえたい心の手紙」エッセイ賞受賞。

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