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絵画の色彩をアイカラーにする大胆発想! AYAKOが挑んだ新境地とは?

  • 2016.12.16
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常に洗練されたスタイリッシュなカラー提案で、プロをはじめ多くの女性たちが支持するアディクション。ブランド創始者でありクリエイティブディレクターを務めるAYAKOさんは、メイクアップトレンドを語る上で欠かすことのできない存在だ。そんな彼女が2017年春コレクションとして創り上げたのは、スウェーデンの女流画家ヒルマ・アフ・クリント(1862~1944)の絵画にインスパイアされた「FLOWER EVOLUTON」。これまでにない新製法で実現したアイシャドウをはじめ、注目のアイテムやクリエーションの裏側について伺った。

― ヒルマ・アフ・クリントの絵画と出合ったときの第一印象とは?

AYAKO(以下、A):「ヒルマの絵に縁を感じたのは、北欧旅行中のノルウェーの書店で。親切な店員さんと北欧のアーティストの絵画の話をしていた時に挙がった名前。ふと、そういえばベルリンに住む知人からそのアーティストのエキシビションがあった時の話を思い出しました。色の配色やタッチはかわいいのにとてもパワフルで。いったいどんな画家なのだろうと検索したら、20世紀初頭のスウェーデンの女性であること、実際の絵は縦3m×横2mものサイズなのだと、その事実に大きな衝撃を受けました。あの時代にこれほどの絵をどうやって描いたのか。どうしても“本物が見たい”と思ったんです。ニューヨーク、北欧と、美術館やギャラリーを追いかけて、結局1年以上かかりましたが、ロンドンでの展示会開催中に、やっと本物をこの目で見ることができて! そのときの出合いは、どう言葉で表現したらいいのかわからないほど衝撃的なものでした」

2013年にストックホルムの近代美術館で行われたエキシビションの様子。 ©Photo: Åsa Lundén / Moderna Museet-Stockholm

AYAKOさんが衝撃を受けたヒルマの壮大な絵画が、2種の限定コンパクトに。1月6日より、ザ アイシャドウを含むアディクション製品を店頭および公式オンラインショップにて合計¥9,600(税抜)以上購入の方に、先着でプレゼントされる。コンパクトの蓋を彩る着想源の絵画は、左がFlower Evolution (The Ten Largest, No.1, Childhood, Group Ⅳ/1907年作)、右がFlower Portrait (The Ten Largest, No.5, Adulthood, Group Ⅳ/1907年作)

― 作品からどんなメッセージを受けたのですか?

A:「大きなキャンバスにあふれるように描かれた温かみのある色と繊細なタッチ、そして不思議な文字が書かれていました。過酷な時代に生涯独身を貫きながらも、愛に生きた彼女の底知れぬパワーをひしひし感じたのと同時に、彼女のメッセージを私なりの解釈で、より多くの女性たちに伝えなくてはいけない、そんな使命のようなものを感じたのです。彼女は『死後20年は作品を公開しないで』と遺言を残していたのですが、“あなたのメッセージに敏感に反応した日本人女性がいることを知って欲しい”そう思ったほど。まるでパズルのピースがかちっとハマったような感覚です」

ヒルマの色彩を表現するために生まれた「フローラルモザイク製法」は、通常のアイカラーを丸めて顆粒状にしたものに透明の層をコーティングすることで、絵画のような丸い模様が生まれる。緻密に計算された発色バランスが、濁りのない仕上がりを実現させた。左から、Flower Evolution、Like a Dream、Flower Portrait 各¥2,160(1/6限定発売)/以上アディクション ビューティ

― ヒルマの絵画から受けたインスピレーションをメイクアップ製品に落とし込むまでには、苦労もあったようですね。

A:「私が強く惹きつけられた作品の世界観をそのままアイカラーに凝縮、再現したいと思いました。それは、グーグルマップで俯瞰からズームインしていくようなイメージ。アイカラーの表面に絵を吹き付けたような表現ではなく、リアルな色彩の絵画の世界です。制作現場からは無茶だとも言われましたが、どうしても実現させたくて、試作の繰り返し。最初は色を混ぜるとどうしても濁るし、黒っぽくなってしまって。でも、やっと、ヒルマの絵画を彷彿させる図形や花びらを模したデザインにこだわりながら、一色一色の粒子が混ざり合っても決して濁ることのないカラーハーモニーが実現! “フローラルモザイク製法”にたどり着いたんです。同時に、自分でヒルマの財団にもコンタクトをとって、“このコラボレーションを実現させたい”とプレゼンテーションしました。縦3m×横2mの作品2種をコンパクトで再現できたことは、とくに感慨深いです」

単色シャドウでも絵画のカラフルな色彩を表現。左から、Midnight Moon、Crystal Sky、Crown Imperial、Silky Lilac 各¥2,160(1/6限定発売)/以上アディクション ビューティ

フラワーぺタルをイメージしたフェイスカラーが、自然に上気したような肌を演出する。左から、ブラッシュ Favorite Little Dress、Lazy Doll 各¥3,024(1/6限定発売)/以上アディクション ビューティ

60~70年代のフロスト感を思わせるリップスティックは、なめらかに伸び、ふっくらとした立体感を叶える。左から、リップスティック ピュア Favorite Little Dress、Lazy Doll 各¥3,024(1/6限定発売)/以上アディクション ビューティ

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―「FLOWER EVOLUTION」のメイクアップビジュアルへのこだわりは?

A:「メイクアップビジュアルに関しては、ヒルマの絵画の世界から少しだけ離れて、ひとつのルックを作ろうと思いました。ぽんと浮かんだのが、60年代の世界観。当時、世界的なスーパーモデルだったツィギーのダブルラインと唇のフロスト感が、ヒルマの絵とぴたりとリンクして。ヴィンテージ感を残しながら、いまの気分と合うようモダンにアレンジしたのが今回のビジュアルです。気づいたらヒルマの遺言の20年後が1960年代だったので、そこにもメッセージを感じました」

ツィギールックをモダンに昇華したビジュアルと、ルック使用アイテム。左上から、ザ アイシャドウ Pink Almond、Lady Amaryllis、My Darling 各¥2,160、ブラッシュ Flower Portrait ¥3,024、リップスティック ピュア Flower Portrait ¥3,024、ネイルポリッシュ Flower Portrait ¥1,944(以上1/6限定発売)、アイラッシュ ボリューム ¥1,365/以上アディクション ビューティ

― AYAKOさんが手がけるコレクションは、旅やアートの影響が色濃く反映されています。AYAKOさんにとっての旅、アートとは?

A:「旅とアートがいつもリンクしているわけではありません。旅先で出合った美しい情景や色にインスパイアされ、ものづくりに応用することは多いのですが、旅は“スポンテニアス”、ひとつのきっかけです。ただ、旅に出れば、美術館やギャラリーは必ず訪れますね。光や空気感、人々の息づかいなど、同じものでもまったく違って見えますから。旅先で記憶に残ったものが、アイカラーの色名になることも多く、色を作りだすのと同様にネーミングにも一点一点思い出があります。アートに関しては、アーティストの友人も多いせいか、刺激を受けて影響され、いつも勉強中」

絵画の中のスモーキーなパステルトーンを落とし込んだネイルカラー。左から、ネイルポリッシュ Flower Evolution、White Engage、Favorite Little Dress、Crown Imperial、Calendula 各¥1,944(1/6限定発売)/以上アディクション ビューティ

― 次の旅の予定は決まっていますか?

A:「思い立って旅に出ることが多いですね。旅先を選ぶのも直感。フィガロの特集に影響されて旅に出ることもあります(笑)。今年はウォン・カーウァイ監督の映画『花様年華』の世界を感じてみたくなり、香港に行ってきました。そして次は、チベットやベトナムかな。いま、アジアが気になっています」

― フィガロ読者に、コレクションを楽しむためのアドバイスをお願いします。

A:「メイクアップカラーの質感はグロスやツヤからフロストへ。ベースを艶やかに、頬を上気させるように仕上げれば、ポイントメイクのフロスト感がぐっと活きてきます。キワを締めて60~70年代を彷彿させるダブルラインで遊ぶと、モダンで洗練された印象に。モードにあわせて色や質感の変化を存分に楽しんで欲しいですね」

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