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高畑充希×太賀×葉山奨之×松居大悟『アズミ・ハルコは行方不明』座談会 高畑「出演しているみんなが輝いている映画」

  • 2016.12.4
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作家・山内マリコの同名小説を、監督・松居大悟×主演・蒼井優のタッグで映画化した『アズミ・ハルコは行方不明』が昨日より公開された。本作は、地方都市で暮らすOL・安曇春子の失踪をきっかけに、グラフィティアート集団「キルロイ」と、男性をリンチする女子高生集団、ふたつの“いたずら”が交差する模様を描く。10代、20代、30代−−それぞれの女の子たちの生き様を浮き彫りにした異色の青春物語だ。リアルサウンド映画部では、松居大悟監督と「キルロイ」のメンバー(高畑充希、太賀、葉山奨之)による座談会を行った。高畑はキャバ嬢の愛菜、太賀は“クズ男”のユキオ、葉山は草食系男子の学を、それぞれ演じ、これまでと違った一面をみせているのも本作の見どころのひとつ。松居組の現場の雰囲気や、グラフィティ撮影時のエピソードなど、劇中さながらのチームワークで語ってもらった。(メイン写真=左から太賀、松居大悟、高畑充希、葉山奨之)

■出演の決め手は蒼井優?

−−出演オファーはどんな風にきたのですか?

太賀:お話をいただいた時点で、松居(大悟)さんが監督、枝見(洋子)さんがプロデューサー、蒼井(優)さんの主演が決まっていて、この情報だけでも断る理由がまったくありませんでした。いただいた脚本を初めに読んだときは、内容に追いつくことができず、脚本で描いているものがなかなか咀嚼できなかったんです。でも、松居さん、枝見さんにはずっとお世話になっていましたし、蒼井さんのことも以前から尊敬していたので、乗らない理由はないなと。絶対、面白いことになると思っていました。

松居大悟:(以下、松居)太賀は決まるの早かったね。蒼井さんが決まって、高畑さんから正式にOKをもらえるかどうかぐらいのタイミングでオファー出してた。

葉山奨之:(以下、葉山)僕も松居さんの作品は観ていたので、いつか出演してみたいと思っていたんです。

松居:本当に観てたの?(笑)。

葉山:観てましたよ。だから、まさかこんなにすぐにご一緒できるとは思わなくて、すごい嬉しかったですね。

松居:全然違うタイミングで、三木(孝浩)さんと一緒に仕事をする機会があったんですけど、そのときに「葉山はヤバイぞ」と言っていたんです(三木監督は『青空エール』で葉山奨之を起用)。奨之にはそれまで会ったことがなかったので、僕も一緒にできることを楽しみに現場に入りました。

−−葉山さんも太賀さんも他の出演作のイメージとはまた違った一面を見せてくれています。

松居:ユキオと学をどうしようかと思ったときに、いわゆる“クズ男”のユキオを、シュッとしたイケメンが演じたら残酷な話になってしまうなと。

太賀:じゃあ、ミスキャストじゃないですか。

松居:いやいや、だからちょっとショボそうな太賀にね(笑)。

一同:(笑)。

松居:だから、一緒に呑んだりしているときの太賀がユキオにはまれば、面白いことになると思ったんです。太賀の世間的なイメージとは異なる部分も引き出せれば良いと思いましたし、真面目じゃない子に演じてもらおうと。元いじめられっ子の学は誰にしようか、かなり迷ったんです。最初は純朴さを持つキャラクターをイメージしていたんですけど、「こいつ何を考えているのか分からない」という雰囲気を持っている役者に演じてもらえたら、もっと面白くなるなと。ユキオからの誘いで学はどんどんグラフィティアートにのめり込んでいき、最後は彼の持つ個性が爆発するという。そういう「なにか得体の知れなさ」が欲しかった。

葉山:(監督の発言を聞いて)……(笑)。

松居:そう思ったときに、奨之は何かを抱えていそうな気がして。

葉山:そんな風に思っていたんですか(笑)。最近演じさせていただいている役のせいか、“クール”とか、“癖の強い”人間と言われるんですけど、僕はまったくそんな人間じゃないんです。実は、そう言われるのはすごく嫌で、その壁をぶっ壊したいと思っていたタイミングで。この役をいただけたのは有難かったですね。

松居:奨之は演じる役でまったく違う顔になっているから、プライベートの時の顔も含めて、もっと知りたくなるものがあるよね。

−−高畑さんは?

高畑充希(以下、高畑):私は人づてじゃなくて、渋谷の居酒屋で、監督から「一緒にやろう」って直接言われたんです。

−−蒼井さんが決まってすぐに高畑さんとお会いしたんですか。

松居:そうです。失踪しても残り続ける存在感だったり、30代の女性という点だったり、この企画をいただいたときに主役は蒼井優しか考えられませんでした。そして、蒼井優と渡り合える20代の女優は誰かと考えたとき、これはもう高畑充希しかいないと。

高畑:「蒼井優が出るから!蒼井優が出るから!」って口説かれました(笑)。

一同:(笑)。

松居:監督の名前だけでは出てくれる自信がなかったので(笑)。

太賀:僕も蒼井さんと同じ作品に出ることができるのは大変光栄でした。

葉山:やっぱり決め手は蒼井さんですよね(笑)。

■葉山「加瀬さんに惚れてしまいました」

−−本作は日本映画界における、“いま観たい”役者が揃っている映画になっていると感じました。加瀬亮さんも出演シーンはほとんどないですが、インパクトを残していますね。

松居:加瀬さんが自分の作品に出演してくれて大変嬉しかったです。

葉山:待ち時間が3時間ぐらいあったときに、僕と太賀君で加瀬さんを質問攻めにしていました。

高畑:加瀬さんが撮影に来る日、めっちゃテンション上がってたよね(笑)。

葉山:やばい! 今日、加瀬さん来る日だ!って(笑)。僕らが記者さんみたいになって、「あのときの作品はどうだったんですか」「今まで出演した監督で誰が一番印象に残っていますか」とか。

太賀:加瀬さんはその質問ひとつひとつに丁寧に答えてくれるんですよ。

葉山:本当になんて素敵な人なんだろうと惚れてしまいました(笑)。

松居:僕もめっちゃ緊張しましたよ。

太賀:加瀬さんには何か演出されなかったんですか。

松居:加瀬さんが演じる警官は、アイスだったり、フランクフルトだったり、いつも棒の食べ物を食べて交番前に立っているんです。「なんでいつも食べているんですか」って聞かれて、この街の刺激のなさを象徴してほしいんです、という答え方をしました。加瀬さんは自分の出番じゃないときも、ずっと現場にいらっしゃるんです。自分が演じる役のことより、この映画をどういう取り組みで作っているかを聞かれるので、それはすごく刺激的でしたね。

■テンションMAXのグラフィティアート

−−「キルロイ」は失踪した安曇春子の行方を探す張り紙をモチーフにして、春子の顔をグラフィティアートとして街中に拡散していきます。グラフィティを体験できる機会はなかなかないと思うのですが、実際にやってみてどうでした?

葉山:めっちゃ楽しかったですね。スカッとしました!

太賀:演じているシーンのほとんどでグラフィティアートをやっているんですけど、そのときのシーンってすごくテンション上げてるんですよ。そしたらもう声を出しすぎて、喉が枯れちゃって。気付く方もいるかもしれないんですけど、ガサガサの声のシーンがあります(笑)。

松居:ガッサガサのシーンあったね(笑)。

葉山:あとはグラフィティやった後は、手に付いたペンキが落ちない!

−−高畑さんのハイテンションぶりも、これまでのイメージとはまったく違い衝撃的でした。

高畑:最初は愛菜をどう演じるべきなのかよく分からなったんです。結局、最後まで分からなかったんですけど、分からなくてもいいのかなと。それなら思いっきり楽しんだ方がいいんじゃないかと思って、ちょっとずつ変わっていきました。

葉山:ユキオと愛菜がハッキリしているキャラクターだったので、劇中同様に、現場でも太賀君とみっちゃん(高畑充希)に引っ張っていってもらいました。僕は2人に付いていくだけだったので、すごく有難かったですね。

太賀:僕もみっちゃんに完全に助けてもらいました。

松居:だからもう3人に関しては放っておこうと(笑)。放っておけば放っておくほどよくなっていました。思っていた以上にグラフィティをやる回数が多かったんです。

葉山:莫大な数でしたねえ。

高畑:優ちゃんの顔ばっかりやっているから、違うのもやりたくなってたよね(笑)。

葉山:だからジャイアント馬場さんのグラフィティやるときは、めっちゃテンション上がったんですよ! 劇中通り、うおおおおって感じで(笑)。

太賀:あれは素直なリアクションだったよね(笑)。

松居:グラフィティのシーンは、どの場面もかなり長回しで撮っていたので、編集自体は難しかったですけど、その甲斐もあって彼等のエネルギーが画面に映されたいいシーンができたと思います。

■高畑「出演しているみんなが輝いている」

−−本作の面白さは、時間軸がバラバラになっているところにもあります。脚本の段階、撮影の段階では、なかなか映画の全体像が見えづらかったと思うのですが、実際に完成した映画をみたときは?

太賀:自分の楽しみのために行動していたこと、若者の勢いだけではっちゃけていたことが、いかにまったく関係ない人を傷つけているか、そこに気付いていない浅はかさ、それが明確に描かれていると感じました。だから試写で観た後に、あの楽しかったグラフィティアートの撮影の日々を後悔したんです。それが出来上がった映画にはっきりと映り込んでいました。

葉山:僕も台本を読んだときはどうなるか想像もつかなかったんですが完成した作品を観て、これまでに観たことのない映画だと思いました。さっき観たシーンが別の形で違うシーンに繋がったり、なんだか“アトラクション”みたいな映画だなと思いました。

高畑:私は撮影しているときも、完成した映画を観ても、よく分からなかったんです。でも、観終わった後に、いい映画を観たなと感じました。過程は実は重要ではなくて、分かればいいってものでもないんだなと。この映画は出演しているみんながみんな輝いているんですよね。

−−高畑さんが演じる愛菜、蒼井さんが演じる安曇春子など女性が“生きている”映画になっていると感じました。松居監督は高畑さんとは現場でどんなお話をされていたんですか。

松居:「分からないです、どうしたらいいですか?」と高畑さんから聞かれて、「俺も分からないよ」って。

葉山:その会話、現場で何回か聞きましたね(笑)。

高畑:私が「分からないよ、監督」って言っても、「分からなくても、やるしかないだろ」って(笑)。

太賀:今回は“着地点”を松居さんは決めていなくて、あえて決めないでおこうというのがあったんですよね。それを聞いて、“どう演じるか”というのは分からないままでいいし、一緒に分からなくなって作っていければいいなというのがありました。

松居:そうですね。このゴールにみんなで向かおう!ということではなくて……。

太賀:「ライク・ア・ローリング・ストーン」ってことですね。

松居:いや違うよ(笑)。うまく言語化できないですし、分かりやすい言葉にもしたくはないんですが、観たことのない日本映画を作ろう!という気持ちはありました。集まってくれた出演者・スタッフ、みんなを信頼していたので、任せることができたし、ある種無茶な感じで作ることができました。また、みんなと面白い映画を撮りたいですね。(石井達也)