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大人は正解を言ってはいけない【『みんなの学校』流 親子関係のつくり方 第4回】

  • 2016.11.10
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トラブル発生、親としてわが子にどう向き合うか

「間違ったらやり直せばいい」と、親が言えるか?

「怒られずに済んだ」という成功体験をつくらない の続きです。

「どんなに大きな悪さをしようと、いつも一番困っているのは子ども。親でも先生でもない。そこを忘れたら、絶対にあかんと思います」と、木村先生。

© Olesia Bilkei - Fotolia.com

■子どもに「どうしよう?」と相談を受けたら

―― 子どもがトラブルを起こしてしまったとき、困っている子どもの気持ちに寄り添えたとして、次は何をすればいいのでしょう?

木村先生(以下、木村):優しい声で、さりげなく「どうしたの?」と、子どもに問いかけたらいい。子どもにしゃべらせたらいいんです。

―― 「どうしたの?(怒声)」でなく? そもそも信頼関係がないと子どもは話してくれないと思うのですが…

木村:それは当然ですね。信頼関係がなければ、子どもが話してくれるまで時間はかかるでしょう。でも、やり直しはいくらだってできる。信頼関係が繋がっていれば、子どもは「どうしよう?」と言ってきます。

校長室に入ってきて、「校長先生、どうしよ。人の物をとっちゃった。言うたら怒られるから、嘘ついちゃった」と言うわけですよ。私が「嘘ついたん? どうしてついたん?」と尋ねると「だってね、『怒らん』て言うけど、先生、絶対怒るから。ママに言うもん。どうしよう?」と話してくれます。

―― 「どうしよう?」って言われて、どうするんですか?

木村:「どうする?」と、聞き直します。「どうしよう?」って言われても、私が答えを出す話じゃないもの。

■大人は「正解」を言いたがる

―― ―え! そうなんですか?

木村:「どうしよう?」って子どもに聞かれたら、答えないとあかんと思っているでしょ?

―― 思います!

木村:それは自分が子どもより上の存在と思っているから。大人やから、そう思うんです。対等な関係だと思ってみたら? その子がどう思ってそれをやってしまったか、わかりますか?

―― わからないです

木村:そしたら、自分がその子に聞かなければならないでしょ。でも、大人は、ついわかったつもりになって、正解を言いたがんねん。

―― そう、そう、そうです!

木村:すべての根本は、そこです。大人だからって、子どもの何がわかるん? 「自分のことだって、わからんのに」って私は思っているよ。だから、「どうしよう?」って聞かれたら、「どうする?」って問いかけるだけでいいんです。そしたら、子どもはそこで、「う~ん…」って、やっと考え始めます。

今は、子どもが自ら考える機会を与えられていない。

だって、「言え、言え」って言われてね。「正直に言え」って。言えば反省が待っているのに。相手に謝らないとあかんのに。そんな状況で正直になって言いたくないよね。それに、そもそもトラブルを解決するときの目的は、相手に謝ることではないですし。

■目的は、「子どもに謝らせること」ではない

―― え!? 謝ることが目的ではないんですか?

木村:やってしまった子が、「自分がしてしまったことは、やってはいけないことだ」と思うことが、やられた子にとって一番安心することでしょ。

やった子が謝ってきたとしても、やられた子が「先生がいてへんところで、『お前、先生にチクったやろう』と言われたら、どうしよう」と思っていたら、それは謝っても何の意味もない。

みんなこれが怖くて、トラブルが解決しても、そいつがおったら怖くて学校に行けないわけよ。相手に謝ることを目的とする生活指導で問題解決をしようとするから、「いじめた子」「いじめられた子」、その両者が安心できる学びの場が奪われていくわけよ。

■今回取材にご協力いただいた木村泰子先生の著書

『大人がいつも子どもに寄り添い、子どもに学ぶ!

「みんなの学校」流 自ら学ぶ子の育て方』

(木村泰子・著/小学館 本体1,500円+税)

(楢戸ひかる)

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