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人は、人生で二回、方向転換していい。今はそういう時代!|斎藤薫の美容自身

  • 2016.11.9
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才能のある人ほど、早々と方向転換を余儀なくされる

奇妙な話だけれど、例えば自分に音楽の才能などが全くなくて本当によかったと、今つくづく思う。なぜなら音楽家として食べていくのは恐ろしく難しいから。

例えばだけれど、音楽の道に進む上で最高峰と言っていい”芸大”を卒業しても、音楽家として生きていけるという保証はない。いやそれどころか、演奏家として成功するのは、そのうちの一握りだと言われる。芸術における東大とも言える大学の出身ですら、そうなのだ。とことん才能ある人たちの世界ほど過酷であるのは皮肉な話。だから平凡でよかったと思うわけだ。以前見たドキュメンタリーでは、 その芸大を首席で卒業しても、結局演奏家としての道は切り開かれず、一般企業に就職するという決断をした人の苦悩が描かれていた。

でもだからその人の仕事ぶりは、”なんとなくその企業を選んでしまったような学生”とは、どこか違っている。人生の厳しさというものを、既にもう経験しているから、”やっと得られた仕事”に取り組む姿勢はもう全然違うのだ。

実際に一流音大出身でありながら一般企業に就職し、女性としては異例の出世をした人を知っている。多分そこには二つの理由があるのだ。一つは、一流音大に合格するほど、一つのことに努力を惜しまなかった人だから。音大受験は才能に恵まれた人でも、一日4時間から8時間の練習が必要と言われる。で、もう一つが、まさしく望んだ道にすんなり進めなかった辛い経験。努力ができて、人生甘くないことを知っている……それが社会に出てから、人並み外れたパワーをもたらしても不思議ではないのだ。

奇しくも、今年独立した人気No.1女子アナ、カトパンこと加藤綾子さんも音大出身者である。この人の場合、幼児教育の音楽教師を目指す学科を専攻していて、少し事情が違うけれど、でも、もともとピアノで音大を目指したわけで、当然のごとく本来はピアニストを目指したはずなのだ。とすれば、大学生活の中で、あるいは大学受験の段階で、一つの方向転換を強いられていたかもしれない。ひょっとするとそこに何らかの挫折があったかもしれないのだ。でもだから、大学時代にアナウンサー育成スクールに入り、全く別の才能を開花させ、入社試験では民放3社全てで合格を果たしている。もちろんこれは異例のこと。美貌や資質もさることながら、明快な方向転換がその人を強くした、と言えなくもない。そもそも局アナで音大出身は極めて稀であるというが、そういう意味でも何かやはり意識や姿勢がスタートから少し違った気がするのだ。”音楽を捨てたこと”を無駄にしてはいけないという思いから。

別に音大出身者だけを崇めるつもりは毛頭ない。だけれども、人よりも早く本気の人生設計をした、その違いはやはり大きい気がするのだ。少なくとも人生思い通りにいかないのを思い知ったこと、その上で方向転換をしなければならなかったこと、それだけでも、他の人にはできないリアルな人生設計を体験していることになる。才能があるからこそ人より早く手をつけられた人生設計。それが人生の質を高めるのだ。スポーツ選手も同様。20代のうちに引退を余儀なくされる選手には、早々と方向転換しなければいけない運命が訪れる。でもその分人より濃密な人生が送れるのは間違いない。

ああしたい、こうしたいという願望ばっかりの人生設計ではなく……

因みにここで言う”人生設計”とは、単に、こうなりたい、ああしたい、という願望ばっかりの設計図ではない。むしろ予定変更のマイナス要素を持った人生設計。何かを願って、そのための努力をして、でもうまく行かずに方向転換をした、そういう人生設計。”ああしたい、こうしたい”という願望ばっかりの、イメージ先行の設計よりも、はるかに尊い設計。

もうわかったはず。人生設計において大切なのは、挫折だけではない、挫折した直後に方向転換する、そのエネルギーなのだ。近頃よく見かける「あの人は今一体何をしてる?」的な企画で、一つ決定的なことを言えば、申し訳ないけれど落ち目になった時、同じことにしがみついているよりも、思い切った方向転換をした人に輝きが宿っていること。そこには、成熟した人生の進め方が見えるからなのだ。自分自身と自分の人生をきちんと見つめた上で、意思を持って方向転換をする、そういう心の強さと冷静さが、人を輝かすのだと思う。いや、一つのことを貫く人も美しいが、自分の力で舵を切る人も美しい。一番いけないのは自分の人生に対して何もしない人……。

元モデルで、今はスタイリストとなっている人がいる。”モデルの寿命はそう長くはないということ”を、なかなか自分自身に言い聞かせられずに、大事なタイミングを外す人は少なくないのかもしれない。でもその人は、仕事が少し減ってきたそのタイミングで思い切って方向転換をした。ファッションの勉強をするために留学をして、自分の30代からの生き方を自分で切り替え、シフトチェンジしたのだ。洋服を着せられる人から、洋服を着せる人へ。

そこには当然、モデルとして生きていくことへの諦めがあるわけだが、女としては辛いその諦めを、ある種のエネルギーに変えて、エイッと方向転換する。それができるかできないかで、人生の質が大きく大きく変わってくるということ。「人は三回家を建てないと、理想の家にならない」という言葉がある。言うまでもなくそれは、住んでみなければわからないし、人間は成長していき、価値観も少しずつ違っていく。

この二つが決定的にあるからこそ、人間はどうしたって家づくりに二回は失敗するのだ。自分にとって理想的な家はどんな家なのか?ということと、自分が何者であるか?ということは、同じくらい不確定なもの。であるならば、人生二回は方向転換するのが当たり前ということにもなる。だから変えるべき時は思い切って変える。そういう勇気と気概を持ちたいのである。

そしていつ方向転換をしようと、それは人それぞれ、でも一回目はできるなら早いほうがいい。自分の思い通りに一生を送れる人は本当に数少なく、だから一度目はなるべく早く来たほうが人生無駄がなくなるはず。一度目の挫折は人を大きく成長させるし、より大きな方向転換のエネルギーに変わりやすいのだ。

人の人生を俯瞰すればそういう人ほどやっぱり早々と人生を充実させ、濃厚な人生を生きているはず。ともかく、才能のある人ほど思い切って方向転換を!

少なくとも今はそういう時代。昔よりもはるかに速いスピードで人生が動いていく時代。ぐずぐずしていると流れが速すぎて、それこそタイミングを逸してしまうかもしれない。なんだか時代に取り残されたような気になるほどに、どんどん切り替えるエネルギーも減っていくが、タイミングは決して外さずに。今のスピードに合わせるよう、方向転換もより早く。

人生は車の運転と同じで、行きたいところに行くその道が一方通行で通れなければ、早々と違う道を探して道を急がないと、立ち往生していたら歳だけをとってしまう。早々と別の道を見つけて前に進む。最終的に行き着く場所は同じなのかもしれないけれど、立ち止まっていたらそこには行けずに終わってしまう。思い切ってハンドルを切ってほしい。人間そういう時は底力が出るもの。そのエネルギーを信じて進んでほしい。