『スター・トレック BEYOND』ジャスティン・リン監督が語る、人気シリーズの重圧と新たな挑戦

2009年の『スター・トレック』、2013年の『スター・トレック イントゥ・ダークネス』に続く、シリーズ第3作『スター・トレック BEYOND』が10月21日に公開された。カーク船長率いるエンタープライズ号のクルーたちの新たな戦いを描いた本作には、クリス・パインをはじめ、ザッカリー・クリント、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、カール・アーバン、アントン・イェルチンらお馴染みのメンバーに加え、イドリス・エルバやソフィア・ブテラら、新たなキャストも参加している。リアルサウンド映画部では、プロモーションのために来日した、ジャスティン・リン監督にインタビューを行った。前2作でメガホンを取ったJ・J・エイブラムスからバトンを引き継いだ彼は、どのような心境でこの人気シリーズに挑んだのかーー。シリーズへの思い入れやエイブラムスとのやりとり、そして本作の撮影後に亡くなってしまったアントン・イェルチンへの思いを語ってもらった。

■「オファーを受ける決断に至るまで、2〜3日かかった」

ーー昔から『スター・トレック』シリーズの大ファンだったそうですね。

ジャスティン・リン(以下、リン):僕は8歳の頃に家族5人で台湾からアメリカに渡ったんだ。その当時、ちょうど『スター・トレック』のTVシリーズが放送されていて、僕は毎晩楽しみにしながら観ていたよ。僕が『スター・トレック』に惹かれたのは、どこか伝統的ではない家族の感覚に触れることができるところだった。いろいろなバックグラウンドを持ったキャラクターたちが、ひとつの家族のようになっていくようにね。移民したばかりということもあって、そのような家族の感覚を共有することができたのは、とても新鮮だったんだ。

ーーJ・J・エイブラムスがリブートした前2作はどう受け入れていましたか?

リン:最初に『スター・トレック』がリブートされると聞いたとき、それは絶対に不可能だと思っていたけど、彼が手がけた『スター・トレック』を観て、本当に驚いたんだ。まず、キャスティングがとてもよかった。オリジナルのキャストを尊重しつつも、新しい風を吹き込んでいた。それに、家族的な背景を含めて、キャラクターたちの子ども時代から現在に至るまでを描いていたのが、すごくいいと思ったんだ。これまでの時系列に別の時系列を加えて、彼らを新しい旅に立たせた。本当に素晴らしいと思ったよ。

ーー子どもの頃から大好きだったシリーズ、そしてエイブラムスが見事にリブートしてみせた新たなシリーズを引き継ぐ気持ちはどうでしたか?

リン:オファーをもらってから決断に至るまで、実は2〜3日考える必要があった。自分が『スター・トレック』シリーズに携われるとは夢にも思っていなかったし、J・Jから連絡がきた時、僕は次の新しいプロジェクトに取り掛かる前で、家族とオフを過ごしていた。でも、家族と過ごしたおかげで、やってみようと決断をすることができたんだ。感情的で個人的な選択だったわけだけど、この素晴らしい功績に自分も貢献することができるかもしれないとね。J・Jが素晴らしいキャストとともに、『スター・トレック』『スター・トレック イントゥ・ダークネス』を作り上げたように、50年続いてきたシリーズの中で、さらに新しいキャラクターを生み出すことが僕にもできるんじゃないかと思ったんだ。これからまた50年続くポテンシャルがある作品だからね。

ーーエイブラムスからは「君の好きなようにやってくれ」と言われたそうですね。

リン:「好きにやっていい」と言ってくれてのはよかったね。というのも、僕は『ワイルド・スピード』シリーズを手掛けてきたわけだけど、自分が役目を果たした時、今後は次の新たな監督を信頼して、自分は関与せずに彼らに任せたほうがいいと思ったんだ。そうじゃないと、自分自身も作品に対して興味を持つことができないし、違うフィルムメーカーによって新たな視点が持ち込まれることが大事だからね。シリーズものの中にも、前の監督が次の監督に注文をつけるような作品がよくある。でも、そういう作品は、やっぱりどこかいびつな形になってしまうんだ。そういう意味では、J・Jの信頼を受けながら制作することができたので、環境的にもすごく恵まれていたね。

ーー人気シリーズを引き継ぐという意味では、『ワイルド・スピード』シリーズとも共通する部分がありますよね。

リン:君の言う通り、確かに『ワイルド・スピード』と『スター・トレック』での経験は重なる部分がある。だけど、実際は状況が全然違ったんだ。僕が『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』を監督することになったとき、『ワイルド・スピード』はまだそこまで知られているような存在ではなかったから、まったく新しい形にする必要があった。実はその当時、僕は車のことなんてほとんど知らなかったから、イチから勉強する必要さえあったよ(笑)。一方、『スター・トレック』は僕もずっと大ファンだった、50年も続く大人気作品だったわけからね。だから今回のほうが大変だったよ。今までの経験をすべて使いながら前進させなければいけないほど、すごく野心的な試みだったと思う。この作品は大規模な大作ではあるけど、実は僕の頭の中にあることを実現するためには、予算が全然足りなかったんだ。だから、あらゆるインディー的なトリックを使い、素晴らしいキャスト・スタッフとともに、知恵を振り絞りながら18ヶ月間チャレンジしていった。おかげで白髪が増えたよ(笑)。でも僕は働くのが大好きなので、これまでの経験を全部使って完成したこの作品にはとても自信を持っている。僕のキャリアの中でもとても誇れる作品になったね。

■「アントンは映画づくりのあるべき姿を教えてくれた」

ーーあなたの作品はアクションシーンが非常に特徴的で、今回もそこがひとつの大きな見どころだと感じました。

リン:インディペンデント映画をやっていた頃から、僕のアプローチはいつも同じなんだ。アクションシーンはキャラクターから始まるものだと思っている。だから、登場するシーンの長さに関わらず、すべてのキャラクターを大事にしたいと思っているし、アクションシーンもキャラクターありきで考えている。自分ではあまり“アクション”の監督だとは思っていないんだ。アクションシーンを楽しんでもらえるのはとてもありがたいことだけど、僕としては映画をデザインする上で、キャラクターに重きを置いているので、そこにも注目をして観てほしいね。

ーー最後に、撮影後に急逝し、この作品が遺作になってしまったアントン・イェルチンについて、思いを聞かせてもらえますか。

リン:アントンのことを聞かれると、今でもまだ感情的になってしまうんだ……。僕は今回新しく参加した立場だったわけだけど、アントンとは最初に会った時から強いつながりを感じていた。ハリウッドにいると、名声に足をすくわれたり、自分を見失ってしまうこともよくあって、“映画を作っている”こと自体を忘れがちになってしまう。けど、アントンはたとえどんなに規模や予算が大きくても、全力で最高の映画を作るという気持ちを常に持ちながら撮影に臨んでいた。自らのアイデアも幾度となく提案してくれたし、熱いエネルギーを現場に持ち込んでくれていたんだ。彼は映画づくりのあるべき姿を教えてくれたよ。ほかのスタッフやキャストと比べて、僕はアントンとそれほど長い時間を一緒に過ごしたわけではないけれど、彼との仕事は本当に楽しかった。一生忘れることはないだろう。(宮川翔)

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