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【コラム】七十二の季節を感じる – 南青山の小さな花屋 #08 草露白し「ヘクソカズラ」

  • 2016.9.12
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【七十二候とは?】
私達は季節を大きく4つに分け、季節の訪れに気づき楽しんでいます。
古くから親しまれてきた暦「二十四節気・七十二候」をご存じでしょうか?
昔の人は季節を72種にも分け、5日ごとに変わる季節を楽しんで生活していました。

一年に72もの季節に分けて生活をおくっていた感覚とは?
季節の移り変わりを感じながら生活をおくる心地良さとは?

そんなコトを考えながら、花屋の目線で、季節にあった草花を探して紹介します。

【白露】
9月7日頃〜9月22日頃、二十四節気では「白露(はくろ)」。大気が冷え始め、露を結ぶ頃。残暑も次第に落ち着き、本格的に秋が訪れはじめる頃です。

|第四十三候 草露白し(そうろしろし)

9月7日〜 9月11日頃は「草露白し(そうろしろし)」。

草に降りた露が白く光って見える頃です。東京は朝夕若干、涼しくなり少しずつ過ごしやすくなってきましたが、日中はまだまだ暑い日が続いています。露は空気中の水蒸気が放射冷却や冷えた草木や石などに触れて水滴にとなったものです。残暑の日中の高い気温と、朝晩の涼しい気温の差が大きくなることで露ができやすくなります。朝夕の気温が下がって、秋が深まりつつある事を感じられる現象です。

露はすぐ消えるので、儚いものの象徴として、秋の季語としても古くから用いられており、「露」に関する言葉も多く使われていました。

その中で、露の異称(別の呼び名)として「月の雫」という言葉があります。
「夜月がこぼしていった雫が朝の露となる」と、儚さのなかに美しさを見い出そうとする昔の人の想像力豊かな感性を感じ取ることができます。今でも「お酒・和菓子・居酒屋など」商品名・店名で目にする機会が多い言葉でもあります。

「露の玉」という言葉は露の美しさを称した言葉。煎茶の「玉露」は露の玉のように、茶葉を丸く焙ったことが、そもそもの由来ともいわれています。

露は普段の生活ではあまり意識しないものですが、今でも商品名や店名に用いられているように、私たちの感覚に馴染みがあり、美しく感じる不思議な現象・言葉です。

「露の玉」のような美しさを持つ植物として選んだものは「屁屎葛(ヘクソカズラ)」。「露の玉」が連なるように美しく実る、つる性の植物です。

露のもつ美しさから一転し、インパクトの強い強烈な名前の植物ですが、その名の通り、生の実を潰すとひどい悪臭が漂います。英語名では「スカンクヴァイン(skunk vine)」。「スカンクのような臭いのする蔓性の植物」と呼ばれています。英名の方が、どちらかというと可愛らしい名前ですね。

「屁屎葛」は名前も、香りもインパクトがありますが、流れるように実った姿は、独特の美しさを感じさせてくれる魅力的な植物です。主に秋から冬にかけて、お花屋さんに並びます。リースの材料として使用される事も多く、ドライフラワーにしても色がしっかりと残り長く楽しめる魅力的な植物です。

flower & photograph by yosuke sugawara

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