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トラブル前に徹底! 個人間の借金で利息を請求する方法と注意点

  • 2016.8.8
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【ママからのご相談】

半年前、ママ友にどうしてもと頼まれて5万円を貸してしまいました。必死に頼む姿に心を動かされ、私のお小遣いを貯めたものの中から貸してあげ、半年以内に5万円返すと一筆書いてもらい、それも保管しています。

しかし期限が来ても少しも返済されず、こちらも厚意で貸したのに納得いきません。

今すぐ返せないのであれば、利息だけでもほしいと思っているのですが、最初に利息の取り決めをしていなければ請求することはできませんか? できるとすれば、どのようにすればいいのでしょうか?

●A. 事前の取り決めがないと無利息になりますが、遅延損害金は請求することができます。

ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の正木裕美です。

お金のトラブルで友情にヒビが入ってしまうこともよくあること。

親しい間柄でもお金のことは言い出しにくいですし、自発的に約束通りにちゃんとしてほしいのが本音ですが……今回は、このままになってしまいそうですのでご友人とお話をした方がよさそうですね。

●個人間の借金で利息ってとれるものなの?

さて、利息だけでもほしいというお気持ちも理解はできます。個人間でのお金の貸し借りでも利息をとることはできます が、ご友人と利息の約束はしていますか?

個人間での借金では、貸主と借主の間で利息のとりきめがないと、無利息 になります。

利息をとることを約束していても、利率がきまっていないときは、民法の法定利率の年5%とみなされます。

また、自分たちで利率を決めることもできますが、『利息制限法 』という法律があり、利率の上限は元本が10万円未満なら年20%、10万円~100万円未満の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%です。

今回は、5万円を貸して返済日が半年後とすれば、年利20%なので、5000円の利息をとることができます。

なお、この利息制限法の上限を超えた利息をとると返さないといけないですし、また、『出資法 』で109.5%以上の利息をとると刑罰を受けるとされているので、ご注意くださいね。

●借用書に特別な記載がなくてもあとから利息はとることができる?

利息の約束をすることが必要です。借用書に利息の記載がなく、契約のときには利息の約束をしなかったのですよね? とすると、残念ながら無利息になってしまいます。

あとから当初にさかのぼった利息の合意をすることも考えられなくはないですが、現実には相手は応じてくれないでしょうね。

仮に口約束で利息の合意をしていたとすれば利息は請求できますが、借用書に記載がないとすると、相手から「そんな約束した覚えはない」と言われてしまう可能性大です。

そうすると利息の合意があったことを貸した側であるあなたが証明しなければいけなくなるので、予め借用書にちゃんと盛り込んでおくことが大切ですね。

仮に無利息だったとしても、返済期限を過ぎたときは事前の合意がなくても、返済日の翌日から実際に返済が終わるまでの間は『遅延損害金 (遅延利息と呼ばれることもあります)』を年5%の割合で請求できますので、遅延損害金の請求が現実的のように思われます。

相手が返せない状況なのか、うっかり忘れているのかもしれませんし、まずは5万円を返してほしいと話してみてはいかがでしょうか。

●個人間のお金の貸し借りで気を付けたいこと

あとでトラブルにならないよう、お金を貸す時点で契約書や借用書、覚え書き などを作成し、約束の内容を書面に残しておくことが大切です。

もめてそもそもお金を借りてないとか、条件が違うなどと言われてしまうと、裁判では貸主がお金の返還の約束とお金を実際に渡したことを証明しなければいけないんです。

そのため、借用書を作成し、貸付日(お金を渡した日)、返済日、返済方法(分割か一括か振込かなど)、利息をとるときは利息をとることと利率など、約束した内容はすべて記載し、契約日とお互いに氏名・住所を自筆し、押印をするのがベストでしょう。

どうしても難しいときは、簡単にでもお金を貸した旨一筆を書いてもらったり、メールやLINEなどの相手とのやりとりの記録は残しておくようにし、契約内容がわかるよう文字に残しておきましょう。

また、相手の口座にお金を振り込んで、通帳に日付、金額、相手の名前を残しておくのも一つの手です。

なお、借用書は私的な文書なので、返済してもらえないときは、裁判で判決等をもらって強制執行をして回収しなければいけません。

これに対して、公証役場で公証人に契約内容について『公正証書 』という公文書を作ってもらうこともでき、執行認諾文言を記載しておけば、万一返済がされないときでも判決等なしに直ちに強制執行ができます。

費用がかかりますが、大きいお金を貸すときなどは利用するのもよいでしょう。

●まとめ

せっかくの厚意でも、友人や家族、パートナーなどとお金でもめて関係が崩れるのは誰しも嫌ですよね。

「疑ってるんじゃなくて、後で曖昧になっても困るので、念のため一筆書いてね」とか、「本当に返してくれるって言うんなら、あとで揉めたくないし、きっちりしたいから、紙に書いてもらえないかな」なんて上手に話して、トラブルの自己防衛策をとっておきましょう。

●ライター/正木裕美(アディーレ法律事務所:愛知県弁護士会所属)

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