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小さなものをつまむと、脳が発達する?(前編)

  • 2016.8.7
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生後9ヶ月ぐらいになると、赤ちゃんは手の機能をだいぶ発達させてきます。そうしたら、手を使った次の段階、「2本の指でものをつまみ上げる」というステップに進むときです。

■2本の指でものをつまむのは、実は難しい作業

手全体を使って、ものを押さえるようにして持つことは、霊長類の動物であればできるものもいますが、親指と人差し指を使って小さなものをつまみ上げるというのは一部のサルや人間にしかできません。さらに、親指と人差し指を輪っかのような形にして、なにかをつまみ上げることができるのは人間だけです。

進化の過程で、人間は木の上で生活することをやめ、地面に下りて、そこを2本の足で立って歩くことを覚えました。そのおかげで前足が空き、それを手として使うやり方を覚えたのです。人間の手は次第に器用になっていき、さまざまな道具を駆使して現在に至る文明を築くに至っています。

動物の中で唯一2本の指で輪を作ってものをつまみ上げることができる人間は、早い人で生後9ヶ月ごろから、こうした行動を取れるようになります。

赤ちゃんがハイハイを始めたなら、毛糸を短く切ったものを床に置いて、それを2つの指でつまみ上げることができるかどうかを試してみましょう(編集部注:赤ちゃんが誤って飲み込まないよう、十分に注意してください)。最初のうちはうまく指を使うことができないと思いますが、何度も何度も試行錯誤しているうちに、いつのまにか問題なく、つまみ上げられるようになってきます。

この、「短い毛糸をつまみ上げる」という動作は、この後さまざまなものや道具を器用に使って生活をしていくために必要な、細かな指の動きを身につけるための最初の入り口になります。

■「指でつまみ上げる」のは、感覚の連携が必要

「2本の指でものをつまむ」という動作は、触覚や視覚といった感覚の連携が必要な、かなり複雑な行為なのです。

まず、指先の触覚が正しく機能しており、さらには自分が思ったように指先を動かすことができなければなりません。加えて、自分の指と毛糸までの距離や立体感を視覚で捉え、きちんと把握できていなければならず、こうした一連の感覚や運動を連携させることができなければ、指でつまむことはできないのです。

生まれたばかりの赤ちゃんの脳は、視覚なら視覚、聴覚なら聴覚、触覚なら触覚と、それぞれの感覚をつかさどる部分が別々に機能しています。

ここにさまざまな刺激が加わることによって、それぞれの感覚をつかさどる脳の神経回路が関連性を持ち始め、また感覚をつかさどる部分と運動をつかさどる部分の神経回路も関連性を持ち始めます。赤ちゃんの脳は日々そうした関連性をたくさん作っていき、さまざまな行動を自在に行うことができるまでに発達していくわけです。

毛糸の切れ端をうまくつまみ上げることができるようになったということは、赤ちゃんの脳の神経回路が複雑に絡み合ってきたことを意味します。複雑かつ精密な動作が可能になってきたというわけです。

<後編に続く>

(子育ての達人)

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