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小さなものをつまむと、脳が発達する?(後編)

  • 2016.8.6
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小さなものをつまむと、脳が発達する?(前編)の続きです。

© naka - Fotolia.com

■複雑な動作を行なうことで、脳が成長する

つまみ上げるという動作を、ロボットを使って再現しようとすれば、非常に複雑で膨大なプログラムを走らせることが必要になってきます。赤ちゃんは、それをあの小さな脳で処理してしまっているのです。

人間の脳は刺激を受けることによって自ら学習を行い、複雑な行動にも対応できるように成長をしていくという点でも、ロボットとは大きく異なっています。たかが「毛糸の切れ端をつまむ」ことですが、複雑なプログラムを大脳の中に作り、大脳を発達させているといった大きな意味があるのです。

■「手先が不器用な子」にしないために

ところで、最近の子どもの様子を見ていると、小学校に入る頃になっても、折り紙が折れなかったり、はさみを上手に使えなかったりする子どもが増えてきています。ひどい場合には、紙の両端を合わせて、きれいに折ることさえできない場合もあります。そのほか、ナイフを使って鉛筆削りができないというのはともかくも、両手で雑巾をしぼれない子どもさえいることに驚かされます。

このように、子どもたちが昔に比べて不器用になってしまっているのは、赤ちゃんの頃から手を使う刺激を与えておらず、手を使うための学習の機会が与えられなかったことが原因の1つだと考えられています。

その背景にあるのは、最近の保護者が、子どもの危険な行為に対して、あまりに神経質になり過ぎている、ということがあるかと思います。たとえば包丁どころか、はさみさえ「危険だから」と子どもに使わせようとしないとか、「鉛筆削りをナイフでするなんて、とんでもない」と言って、電動鉛筆削りばかり使わせるといった感じでしょうか。

はさみであれば最近は刃先がとがっておらず、刃もついていないような、いわゆる「安全はさみ」が売られていますし、いつか料理をすることになったら包丁はどうしても持たねばなりません。なんでも「危険だから」と遠ざけるのも考えものです。

加えて、食事の変化も原因として考えられるではないでしょうか。和食ではなく洋風のメニューを多く食するようになったため、箸を使わずスプーンやフォークを使うことが増えています。それにより、骨付きの魚からお箸で小骨を取るといった、手先の細かな作業をする機会が減っています。

親が子どもから手を使う機会を奪うことで、手先が不器用な子になってしまうといった本末転倒にならないよう、心がけたいものですね。

(子育ての達人)

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