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南イタリアの世界遺産物件、アルベロベッロとマテーラ、あなたならどっちで撮影する? (Saori Masuda)

  • 2016.7.26
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【さらに写真を見る】南イタリアの世界遺産物件、アルベロベッロとマテーラ、あなたならどっちで撮影する? (Saori Masuda)

屋外で撮影をするとき、担当編集者はベストのロケ場所を探すためにいろいろとリサーチをする。今月号(2016年9月号)と来月号(2016年11月号)に掲載予定の南イタリアをロケ地としたファッションストーリー撮影の際ももちろん大々的なリサーチを行った。その中で、今回はストーリーの内容上適さなかったため使用できなかったが、次回是非撮影したいと思わせる場所を2つ紹介します。1つは白い漆喰の壁に三角帽子のような屋根が特徴的な町、アルベロベッロ。そして、もう1つが世界で最も古いと言われる岩肌に作られた洞窟住居の町、サッシ・ディ・マテーラ。どちらも世界遺産に登録されていて、かつ多くの映画にも登場している名所。編集者気分になってロケ場所を選ぶとしたら、あなたはどちらにする?

おとぎの国、アルベロベッロで、フェアリーテール風なストーリーはいかが?

まるでおとぎ話の中に紛れ込んでしまったのではないかと思うほど、かわいい三角帽の屋根が連なる小さな町、アルベロベッロ。南イタリアのプーリア地方のバーリ近郊にあるこの町は、16-17世紀にかけて、農民たちが自分たちの住居として白い漆喰の三角帽の屋根の家、トゥルッロを作ったと言われている。今は大小のトゥルッロが約1500軒ほどあり、観光地としてお土産を売る店舗や住居として使われている。美観に気を使う彼ららしく、色鮮やかな花がここかしこに咲いている風景もここならではな写真が撮れそう。トゥルッロ自体はそんなに高い建物ではないため、屋根での撮影や、屋根から下を撮影することも可能。フェアリーテールのようなファッションストーリーには抜群のロケーションではありませんか?

トゥルッロを造る職人がいる工務店は、今では2つしかない!?

一般的に、イタリアでのロケ撮影では、よく屋根の上を背景に使う。抜け感が美しいのと、イタリアは各地方によって屋根の形がまるで違うから特徴が見えやすく、独特の雰囲気を撮影できるからと言われている。そして、もちろん、この世界遺産の小さな町、アルベロベッロの三角帽のような屋根も、イタリアのこのプーリア地方でしか見ることができない。余談ですが、アンナ・デッロ・ルッソの別荘はこの白い漆喰の三角帽の家、トゥルッロがいくつも合わさった建物、トゥルッリの家。彼女が言うに、トゥルッロを昔ながらの伝統的な手法で造ることができる熟練の職人がいる工務店は今では2つしかなく、彼女の家も完成させるのに約10年かかったのだとか。この景色をみることができるのも、そう長くないかもと思うと、ロケ場所に選びたいと思いますよね。

映画『パッション』の撮影現場。

サッシ・ディ・マテーラと呼ばれる洞窟住居のこの町は、8世紀から13世紀にかけてイスラム勢圏から逃れてきた修道僧が造ったと言われている。が、この町の向こう側では旧石器時代の出土品も見つかっているため、世界で最も古い町とここに住んでいる人々は言う。この旧石器時代の出土品が見つかった場所は、キリストが十字架の磔になった言われるエルサレムのゴルゴダの丘に似ているため、メル・ギブソン主演の映画『パッション』の撮影場所として選ばれたことでも有名。町のあちこちに映画『パッション』のポスターや実際の映画のロケ現場を記す看板で、このハリウッド映画が如何にこの町を繁栄させたかを窺い知ることができるのも興味深い。

1950年以前の劣悪な環境の洞窟住居は、意外にもフォトジェニック!?

今では博物館になっているある個人宅は、1950年代まで実際に生活していた人々の環境を知ることができる。そこでは、人間と家畜が同じ空間に住み、夏は窓もないため熱がこもり蒸し暑く、冬は石灰岩でできているため湿気が高く寒い、臭いもさることながら、その衛生環境は劣悪だったと言われる。今でこそ、そのような環境を想像することすら難しいくらい清潔な状態が保たれているが、ある意味、その劣悪な環境は、人間のエレルギーに溢れていて、フォトジェニックだったのかもと想像してしまう。

洞窟住居の5つ星ホテルに泊まりながらの撮影も悪くない?

敬虔なカトリック教徒の多い南イタリアでは教会や聖堂も多い。ここ、サッシ・ディ・マテーラには3000戸の洞窟住居に対して150以上の石窟聖堂が見つかっていて、今ではそれぞれがきれいに保存されている。映画『パッション』でもその1つが撮影シーンに入っているが、映画に使われたのは壁だけだったとか。その映画の撮影期間は約3か月間ほどと言われ、大所帯のスタッフの宿舎確保のために5つ星ホテルが多く作られ、おかげで今では5つ星ホテルが幾つもある南イタリア有数の観光名所の一つになっているとのこと。どこをどう切り取っても絵になりそうなサッシ・ディ・マテーラ、洞窟住居ホテルに泊まりながらの撮影も悪くないかも?

参照元:VOGUE JAPAN

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