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「土木」の展覧会で泣きました。(Yaka Matsumoto)

  • 2016.7.13
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六本木の東京ミッドタウンガーデン内に位置するデザインミュージアム21_21DESIGN SIGHTをごぞんじですか? 夏休み企画展のテーマは『土木」。先日その内覧会に行ってきました。デザインの視点から土木にアプローチするユニークな展覧会の想像とまったく違う内容にワクワク! そして途中作家さんの説明を聞きながら、なぜか数回涙目に。私はなぜ土木展で涙したのでしょうか。

渋谷駅の鳥瞰図。

人がどこかへ行く。その過程に介在するものはすべて「土木」。駅も道路も公共のトイレも。展覧会ディレクターの西村浩さんがおっしゃっていた言葉なのですが、渋谷駅も土木の賜物。VOGUE JAPANのオフィスは渋谷駅が最寄りです。普段は数メートル先ばかりをせわしなく見つめて通りすぎてしまう日常のなかの土木をデザインとして切り取ってみつめてみるとすごくなんだか壮大で美しいビジュアルなのです。こちらは建築家の田中智之さんの「渋谷駅解体」。制作には膨大な時間がかかったそうです。展覧会会場の最初のスペースに展示されています。

誰も見たことのない渋谷駅2。

これ、なんだかわかりますか? 新南口から井の頭線のほうまで伸びる、巨大かつ複雑な渋谷駅の5層からなる構造を丸裸にしている模型作品なのです。実際はもっとよこにぐぐっとひろがっています。ちなみに各鉄道会社はテロ対策なのか、こういった図面を公開してないそうなので、作家さんは自分で何度も渋谷駅を歩いたりもしつつ、この作品を仕上げたとか。普段あわてながら走り抜けるこの駅が、こんなふうに地上&地中に手足を伸ばして増殖している姿を目の当たりにしたら、なぜか不思議と目に涙が。私みたいに涙目になる人はいないかもですが、なんというかすごく圧倒されるパワーのある作品です。ぜひいろんな方にみていただきたい!

トンネルの掘り方。

土木写真家・西山芳一さんは、土木の現場で写真を何十年も撮り続けているという方。この写真はトンネルを掘る作業の現場で、掘られる側に西山さんが移動し撮影した一枚だとか。個人的にトンネルを通るたびに、トンネルってどうやって掘るんだ?と思っていたので、なんだかすごく感慨深い“絵”でした。

消えていく橋。

同じく西山さんのこちらの写真は北海道にある、鉄道用に作られた陸橋を撮影したもの。作られてまもなくダム建設が決まり、ダムに飲み込まれてしまったそうです。ダムの水位の上下により浸食されてやせ細っていく様を定期的に撮影しているとか。「ぼくはこの橋を看取るつもりです」と静かにお話されていたのが印象的でした。

土木はライブだ!

パンクロックから(家業を継いで)土木へ転向した柳さんという土建会社の社長さんの野太くしゃがれた声が会場に響いて、違う作品の前からこちらに移動。曰く、「土木の現場はライブ。ライブやっているパンクロッカーたちのように、土木に携わる人たちのカッコよさをきりとりたかった」。なので、この写真はライヴでバンドやミュージシャンを撮影することを専門とするライブ写真家の方に撮影してもらったそう。臨場感あふれる写真のカッコよさも、そこに“いる”ひとたちのたたずまいにもぐっとくるのですが、柳さんの気迫あふれる解説にもまたもや目頭が熱くなるのです。

最高にロックな土木カルチャーマガジン。

その柳さんが、作家の石丸元章さんとともに発刊するのが「土木建築系綜合カルチャーマガジン」こと『ブルーズ・マガジン』。前ページの写真もこのマガジンに掲載されていたもの。フリーマガジンなのですが、求人情報誌ではなく、内容はものすごく濃く、熱く、プロフェッショナル。会場にはこの日、特別に『ブルーズ・マガジン』のバックナンバーが並べられていたのですが、強い思いをもってブレずに雑誌を作ることについて考えさせれ、襟を正したくなりました。いろいろな意味ですてきな雑誌、みかけることがあればぜひお手にとってみてください。三宅一生氏もこの雑誌を絶賛されていたそうです。

マンホールの真実。

いつも上から踏むだけのマンホール。そのなかに入って顔だけ出して記念撮影、なんてこともこの会場では可能です。そんな、おちゃめで楽しい体験型作品も数多くあるので、お子さん連れでも楽しく過ごせそう。マンホールってこうなっているんですね。初めてしりました。

おみやげグッズがクールです。

土木展にいったら絶対に立ち寄っていただきたいのがこのショップ。土木展がらみのグッズのクオリティが最高にクールで、大人もまさに大人買いしてしまいそうなアイテムが揃っています!! 最初に紹介した鳥瞰図や別の作品の絵もポストカードになって販売されています。

参照元:VOGUE JAPAN

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