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こじらせ女子のバイブル『不思議の国のアリス』のダジャレと言葉遊びの世界

  • 2016.7.4
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小さい頃から『不思議の国のアリス』の原作が大好き(こじらせたまま年を取った人独特の特徴のような気もしますが、それはそれとして)。何が好きって、落っこちたウサギの穴のその下に別の世界がつながっている、っていう発想が好きで、その世界が本当に自由奔放でバカバカしいのが好きです。

アリスの原作者ルイス・キャロル(この人自身がこじらせ系)はそもそも文学者ではなく、オックスフォード大宅の論理学・数学の先生で、その文章はいわゆる文学者の書く流麗な文章ではなく、言葉遊びと愛すべきダジャレに満ちています。私が大好きなのは『鏡の国のアリス』に出てくる「バタつきパン蝶」という変な生き物なんですが、「Bread and Butter」(パンとバター)という言葉に「Butterfly」(蝶)を付けたもの、いうたら「あたり前田のクラッカー」とか「すみま千円」レベルです。

さらにキャロルはもともと画家を目指した写真家だったので、こういうバカバカしいものをいちいちイラストでビジュアル化しています。自分でも描いていますが、世界中で最もよく知られているのは最初の版で挿絵を描いたイラストレーター、ジョン・テニエルによるもの。

キャロルの注文がメチャメチャうるさくてウンザリだったようですが、彼の絵が本当に原作のイメージを膨らませていて、この絵なしでは『不思議の国のアリス』はここまで大ヒットはしなかったかもしれません。その後の作品は、ある意味この絵を原点に、それを知るファンを裏切らずにどこまで自由になれるか、というところの勝負だったのではないかと思います。

さて公開中の『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』は『アリス・イン・ワンダーランド』の続編。最初に実写のビジュアルイメージを作ったティム・バートンもそのあたり、きっと苦労したんじゃないかなーと想像するのですが、テニエルのモノクロの世界を彼らしい極彩色で見事に振り切っています。映画を見たら、ぜひ原作も手に取って比較して見てくださいませ。

ライター:渥美 志保

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